2014年『春の庭』で芥川龍之介賞を受賞した柴崎友香。どこにでもいるような若者の日常を繊細な感性で描写した作品を発表し、女性から絶大な支持を集めている作家です。彼女の魅力が詰まったおすすめ5作品をご紹介します。

この作品のモチーフとなり、タイトルにも使われているのは作中で登場する写真集『春の庭』です。この写真集の撮影場所は太郎が出会ったアパートの住人・西が執着する「水色の洋館」であり、本作の大半は太郎と西が古アパートに暮らしながら、水色の洋館に接触しようと試みる日常のようすが描かれています。
- 著者
- 柴崎 友香
- 出版日
- 2017-04-07
「ドアを開けた途端にアスファルトに溜まった熱が、エアコンで冷えた体の温度を一気に戻した。暑かったけれど太陽は随分と傾いていて、やっぱりもう夏じゃないんだと思った。店の前の鉢植えが一つ倒れていたので元に戻して立ち上がると、良太郎の乗った原付バイクが目の前に止まった。」(『その街の今は』より引用)
- 著者
- 柴崎 友香
- 出版日
- 2009-04-25
30歳、女性。3人に流れるそれぞれの時間。それぞれを取り巻く環境や、それぞれの立場。それぞれが抱える問題。それぞれの価値観。それぞれが、守ろうとするもの。多くの女性読者から支持を集める柴崎友香はそれらを丹念に観察し、織り交ぜ、この小説を書いたのでしょう。
- 著者
- 柴崎 友香
- 出版日
- 2015-04-08
遠距離恋愛ものと銘打ってはいますが、柴崎友香は収録の4作品すべてにおいて、甘やかで非日常的、所謂2人の世界的な恋愛模様を描いてはいません。彼女は軽やかな大阪弁の会話で展開していく日常がメインのストーリーに乗せて、「物理的な距離と心の距離がまったくのべつものであること」を等身大な表現で表しているようです。4人の女の子たちは、遠くにいる人をどんなふうに思い、どんな手段で距離を縮めたり、気持ちの整理をつけたりしていくのでしょうか。是非読んでみてください。
- 著者
- 柴崎 友香
- 出版日
「ぼくとコロ助はラーメンがまずくて楽しくなかったけれど、ルリちゃんと恵太はラーメンがまずくて楽しそうだ。」(『次の街まで、きみはどんな歌うたうの?』より引用)
- 著者
- 柴崎 友香
- 出版日
- 2006-03-04
主人公の朝子は、女友達も男友達もいて一応働いている普通そうな20代の女性です。恋人との出会い、別れ、そして別の恋人ができたところでの元彼との再会。このストーリーの中で、朝子のつかみどころのない態度や大胆で意外な選択に一気に引き込まれます。結末にかけては、最後の1ページまでページをめくる手を止められなくなる展開に。
- 著者
- 柴崎 友香
- 出版日
- 2014-05-08
朝子の10年間に渡る恋心を描いていますが、いわゆる「恋愛小説」とは異なります。恋愛が主題なのではなく、朝子という1人の人間の心情や彼女が世界を見つめる視点に焦点が当てられているからです。
何気ない情景描写においても、平凡な日常に潜むちょっとした狂気や、秩序立って見えるものの裏側にある反動がさりげなく描かれており、この日常世界を見つめる柴崎友香の繊細な眼差しが感じられます。
いかがでしたでしょうか。繊細な感性と卓越した描写力で「日常」を描き、傑作を生み出す柴崎友香。是非手にとってみてくださいね。