子供が本格的に読書を楽しむようになるのは、まず小学校低学年で基本の読み書きを学んだ後の中学年になってからではないでしょうか。そんな言わば読書初心者の彼らに向けて、おすすめしたい本をご紹介します。

そして、なんといっても、モーリス・センダックの繊細な挿絵が魅力的です。レイアウトも斬新で漫画的でもあり、非常に個性的な構成になっています。
- 著者
- ルース・クラウス
- 出版日
- 2014-10-22
おばあさんを追いかけてふたりが乗り込んだ場所で、繰り広げられる登場人物とのおかしな掛け合いが面白いです。物語のはじめの方の小さな出来事が実は後半に意味を持つことであるなど、「なるほど!」と思う仕掛けもあって引き込まれます。
- 著者
- たかどの ほうこ
- 出版日
会ったことのない相手に向けて手紙を書くというのは、なかなか難しいことですよね。彼らのやり取りを通して、言葉の大切さに気付きます。「百聞は一見にしかず」と言いますが、あるものを見たことのない人に言葉だけで説明するのは、なんと難しいことか!
- 著者
- 岩佐 めぐみ
- 出版日
基本的にはナンセンス・ストーリーですが、どのお話もゲラゲラ笑ってしまうような面白さ。小学生にはなぞなぞ好きな子が多いですよね。お友達にも読んであげたくなること、請け合いです!
- 著者
- 佐々木 マキ
- 出版日
飯野和好の挿絵は大迫力。物語が盛り上がるとともに、リアルに描かれた子供たちの表情が胸に迫ってきます。クラスメートの中に登場人物と似ている子を見つけられるかもしれませんね。
- 著者
- 薫 くみこ
- 出版日
夏休みの始まる前日、ある中学校の1年2組の男子生徒全員が忽然と消えてしまいました。事故か?誘拐か!?と懸命に捜しまわる大人たちの耳に聞こえてきたのは、ラジオから流れる「解放区放送」――。
消えた少年たちは廃工場に立てこもり、そこを自分たちの「解放区」と称して、「叛乱」を起こしたのです。
彼らの闘う相手とは?
テンポ良くコミカルに描かれていて、じつは胸の奥の大切な場所に訴えかける傑作です。
- 著者
- 宗田 理
- 出版日
- 2014-06-20
デジタル大辞泉によると、「叛乱=反乱」とは「権力や支配者に背いて武力行動を起こすこと」とあります。
少年たちの独立した精神を尊重せず、すみずみまで支配しようとする親……。権力をかさにきて鼻持ちならない教師……。彼らの闘い=反乱の相手は、抑圧する親たちであり、規律を押しつける教師たちでした。
ところが、しだいにテレビや警察をも巻き込み、さらには本物の誘拐事件や選挙汚職までもからんできて、闘争の行方があやしくなっていきます。
しかし孤独な闘いではありません。解放区の外側から援護する女子生徒たちや、闘いぶりに感銘を受ける大人も出てきます。
プライドと決意を握りしめ、みずからの自由のために闘う……大人になると夢想すらできないことを、彼らは実現しているのです。結果の算段抜きに、あるいは濃厚な敗色が見えてもなお、ただ一途に闘う少年たち。
刊行は1985年ですが、時代も世代も超えて、胸の奥にきゅんとせまる魅力はまだまだ色褪せません。思春期突入の小学校高学年生はもちろん、元少年少女の大人にもおすすめの作品です。
13歳の誕生日、父親からロードバイクを贈られた涼太はカチンときます。仕事の忙しさを理由に家族と過ごす時間も無い父親が、みずからの趣味を押しつけてきたからです。
しかし売り言葉に買い言葉で、父親と一緒にレースに出ることに……。標高差1200m、距離20kmもの過酷なロードレースに、はたして涼太は耐え抜くことができるでしょうか?
涼太のほかにも個性的な6人の視点が入れ替わりながら、オムニバス式にレース=物語が展開していきます。
- 著者
- 加部 鈴子
- 出版日
- 2015-05-14
ヒルクライム=hill climbとは「急勾配の山道や悪路で行う自動車・オートバイ・自転車などのタイム-レース(――三省堂 大辞林より)」のことで、国内でも有名な山や峠で盛んにレースイベントが行われています。
物語は、作者・加部鈴子の暮らす群馬県の赤城山ヒルクライムが舞台となっており、実際に新緑のコースへ出かけて風を感じながら構想を練ったというだけあって、読者は終始清涼で爽やかな空気を感じることでしょう。
涼太をはじめ、親の夢を背負って走るひたむきな少年や、ママチャリに学ラン姿で劇走する高校生、恋心を秘めてボランティア参加している少女へと、物語は視点を変えながらレースとともに進行していきます。
作者は「親子のかたちを描いた」と語っていますが、群像劇として楽しめる一冊です。涼太たちと同様、小学校高学年は、「父親と子ども」としてではなく、「男同士」として向き合いはじめるころかと思いますので、おすすめしたい作品です。
梅雨明けとともに始まったイヤな予感は、夏休みを目前に現実となります。主人公・桃井は、ゲームに負けたあげく、腕をケガして前歯も欠いて、プール掃除の刑まで課せられたのです。
ヤケ気味な気分になり、罰を一人で引き受けると見栄をきったところ、一緒にやると言い出したのは、ゲームの勝ちをさらってある意味ケガの原因を作ったちょっとイヤなやつ・栗田でした。
自称ハードボイルドな小学6年生桃井と、クールで大人びた栗田との、「サイテーの夏」の物語が始まります。
- 著者
- 笹生 陽子
- 出版日
- 2005-02-15
「階段落ち」という危険なゲームに興じて失敗したあげく、四週間もの罰を引き受けることになった桃井は、元気で自由闊達な“キャラ”をまとっていますが、じつのところ引きこもりの兄や抑鬱気味の母とのあいだでハードボイルドな日々を送っています。一方、クールに見える栗田も、母の帰らない大きな家で自閉症の妹の面倒をみながら暮らしています。
怒るでもなく愚痴るでもなく、みずからの置かれた場所で、彼らなりの自尊心にしたがって、サバイバルしてきた桃井と栗田。灼熱の太陽の下、プール掃除という刑罰を処せられ刑期をともにすることとなった彼らの間に、しだいに化学反応が生じはじめます。
もう庇護されるだけのこどもではなく、かといって大人のようにみずからの居場所を決める自由もない小学校6年生。しかしそんな彼らだからこそ持ちえた「しなやかな強さ」が輝く物語です。
『ぼくらのサイテーの夏』は笹生陽子のデビュー作ですが、講談社青い鳥文庫だと第2作『きのう火星に行った。』も収録されています。無気力少年の「本気」を探ったこの第2作目も、ぜひあわせて読みたいおすすめの作品です。
勉強もスポーツもぱっとしない小学5年生の光平。夏休みのある日、しぶしぶ部屋を掃除していたら未使用の「えにっき」をみつけました。おばあちゃんがくれたノートですが、子どもっぽくて使う気になれず、かといって捨てるのも悪いので、しまったまま忘れていたものです。
「望みはこれに書いておくといいよ。きっとかなうから」――長生きすると言ったのに亡くなってしまったおばあちゃん。その言葉と笑顔を思い出した光平は、なんとなくおばあちゃんの顔を描き、「もう一度おばあちゃんに会いたい」と書いてみます。するとその夜から……!?
- 著者
- 本田 有明
- 出版日
- 2012-08-07
タイトルからすると魔法やファンタジーの物語が想像されるかと思います。たしかに光平の望みは次々にかなっていきます。新幹線のぞみ号にまた乗りたい、転校した石原さんにまた会いたい、お父さんとお母さんに仲直りしてほしい……。
しかし種明かしをすると、彼の望みを実現しているのは魔法やファンタジーの力ではありません。特別な能力など持たない平凡な小学5年生、光平自身の力なのです。いったいどうして、「えにっき」に書いた望みが次々と実現していくのでしょうか?
光平のやわらかな心、抱えていた劣等感、自信の無さ、そこに湧いてくるかないそうにない望み。彼の視点に同化するにつれ、純粋な感情に胸の奥がきゅんと反応してくるのではないかと思います。この純粋な気持ちにみずから向き合うことが、願いをかなえるカギなのかもしれません。
じつは作者の本田有明は、児童書や小説の作家であるばかりでなく、人材育成コンサルタントという顔も持っています。長年能力開発に携わり、大人向けの啓発書やビジネス本を多数発表してきた人物なのです。
『願いがかなうふしぎな日記』は、読み始めると一気に引きこまれる魅力的な物語ですが、見方を変えると"願望実現のハウツー本"ともいえそうです。感受性が豊かに広がってくる一方、現実に直面して自信を無くすことも増えてくる、そんな小学校高学年にぜひおすすめしたい作品です。
弟がほしい……そんな願いを胸に秘めていた健太は、ある日、不思議なお店を発見します。
「ロボットかします」
ロボットがほしい人にしか見えないというきらきら光る文字にひかれて入店した彼は、全財産とひきかえに弟ロボットをかりることに決めました。
健太は弟ロボットを自分好みに設定します――名前はツトム、元気で明るい小学1年生。望みどおりの弟ができた彼は、うれしくてしかたありません。ロボットから出ている特殊な電波のおかげで、突然あらわれた弟・ツトムを、だれも不審に思うこともないのです。
かわいい弟ができ、あこがれのお兄ちゃんになれた健太は幸せいっぱいでした。ところが想定外のことも起こりはじめ、しだいに健太の心と行動にも暗雲がたちこめてきます。はたして健太と弟ロボット・ツトムの関係はどうなってしまうのでしょうか?
- 著者
- 滝井幸代
- 出版日
- 2011-09-07
思い描いたとおりの弟を手に入れたはずの健太ですが、自分だけの場所だったお母さんのひざの上がツトムに取られたり、争う必要もなかったはずのテレビのチャンネルを奪われたり、おやつのポテトチップスを全部食べられてしまったり……、望まなかった現実も同時にやってきました。
はじめのうちはお兄ちゃんとしてぐっとこらえていたものの、しだいに我慢がきかなくなってきます。けんかになったとき、思わず「お店にかえすぞ」と言ってしまったのです。するとツトムがあまりにも従順になるので、いけないと思いつつも、健太はこのことばを使わずにはいられなくなります。
あれほど望んだはずなのに、嫉妬がめばえ、怒りをおぼえ、うとましくなってくる弟。思わずきつくあたって、後悔したはずが、さらに追いつめるようなことをしてしまう健太。彼らのこじれた関係の先に待っていた結末は、読者によって感想が分かれるものかと思います。
小学校高学年は、望むものすべてが手に入るわけではないという現実、あるいは、望まないものもふくんでいるのが現実であるということに、しだいに気づきはじめる年頃かもしれません。読み物として楽しめるこの作品は、貴重な疑似体験の機会を与えてくれることと思います。
いかがでしたか?今まであまり本に興味がなかったのに、中学年になってから急に読書欲がわいてくるお子さんも多いようです。読みたくて仕方がないという時に、良書に出会えることはとても幸せなこと。この度のご紹介本、お試しいただけますように!