愛らしい赤ちゃんダヤンが登場、癒しの一冊
ダヤンの絵本シリーズを初めて読む読者にピッタリの絵本です。
動物や妖精などがゆったりと暮らす「わちふぃーるど」に来るまで、ごく普通のねこだったダヤンは自分の誕生日を知りません。友達の誕生日の帰り道、誰にでも誕生日が来ると知ったダヤンは誕生日がやってくるのを待ち続けます。しかし、もちろん誕生日はどこかからやってくる訳ではありません。
誕生日が自分の生まれた日のことだと教えてもらったダヤンは自分の誕生日を見つけるために魔女の元へと向かいます。ダヤンを温かく迎えてくれた魔女たちは、ダヤンの誕生日を見つけてくれましたが、舞い上がっていたダヤンはお礼も言わないまま。
さて、待ちに待った誕生日。友達を呼んでパーティーをしていると怒った魔女たちが乗り込んできましたよ。誕生日を取り上げられてしまったダヤンは赤ちゃんになってしまい……。
- 著者
- 池田 あきこ
- 出版日
わちふぃーるどとは、動物や妖精、魔族や風などがゆったりと暮らす世界で人間は存在しません。ダヤンが元々いた世界は地球ですが、このシリーズ内では「アルス」と呼ばれています。ある雪の日にアルスからわちふぃーるどにやってきた猫のダヤンがこの物語の主人公です。
ダヤンと仲間たちが集まっての盛大なパーティーや3人の魔女たちまでもが、可愛らしく描かれどのページもダヤンの世界の魅力に溢れています。極めつけは魔法で赤ちゃんになってしまったダヤン。毛の一本一本まで柔らかく描かれ思わず触れてみたくなるほど。大きくて透き通った瞳には吸い込まれそうで、赤ちゃんダヤンの魅力いっぱいの作品です。
豊かな森の描写から自然を守ることの大切さが感じられる作品
豊かな自然が生き生きと描かれた作品は、まるで自分がダヤンと一緒に森の中に迷い込んだような感覚に浸らせてくれます。
物語の舞台はボルネオの原生林。ダヤンは誕生日の朝に現れた風の精にアルス(地球)の森に招待されることになりました。森の中ではオラウータンやイリエワニなどたくさんの動物達が暮らし、大きな木や草が生い茂り生命力に溢れています。そして、鳴き声や雨音などの賑やかな音もダヤンを迎えてくれます。
風の精の力で、ミツバチに変身したダヤン。空の上から見た森は、生き物の気配がなく音もありません。白い木の上に1匹、オラウータンの子どもいるだけ……。それまでに見てきた森とは全く違うこの場所は一体何なのでしょうか?
- 著者
- 池田 あきこ
- 出版日
- 2011-09-15
作者の池田あきこが、ボルネオの原生林に魅せられて描き「森を守ろう」をテーマに、雄大な自然の美しさとその自然がなくなりつつあるという事実を読者の心に訴えかけてくる一冊です。
まるで自分が森の中にいて、絵本を読んでいるにも関わらず音までも実際に聞こえて来るような体験をさせてくれる絵の数々は、実際にボルネオを訪れて描いているからこそなのでしょうね。
だからこそ、必要なことであるとは言っても、自然が失われていく様子には胸が痛みます。ダヤンとの旅を楽しむと共に、自然を守るために自分ができることを考えるきっかけをもらっている様に感じずにはいられません。
眠るのが大好きなダヤンと獏の友情を描いた物語
ダヤンと獏との友情を描くと共に、ダヤンがわちふぃーるどにやってきたきっかけが夢の中で思い出しているという設定で描かれているので、ダヤンシリーズの世界も知ることができる2度美味しい作品となっています。
ダヤンは眠るのが何よりも好きな猫。しかし、ヨールカ(わちふぃーるど最大のお祭り)の魔法でわちふぃーるどにやって来てからたくさんの動物が訪ねてくるので、なかなか眠ることができません。ダヤンはゆっくりと昼寝をするために森へ向かいました。夢の中では、わちふぃーるどにやって来た時のことが思い出されます。
そこで出会ったのが、ダヤンの夢をいつも食べているという獏。夢が誰よりもおいしいと言われ、得意になったダヤンは獏と一緒に暮らすことにしました。甲斐甲斐しくダヤンの世話を焼く獏。昼寝もぐっすりとできる様になり満足していたダヤンですが段々と鬱陶しく思い昼寝に帰らなくなります。一方、獏は昼寝中の夢が食べられなくなり、ダヤンの耳やしっぽを噛む様になってしまい益々2人の関係が悪化するという悪循環に。とうとう獏は家を出て行ってしまいます。
2人の友情が戻る日はもう来ないのでしょうか?
- 著者
- 池田 あきこ
- 出版日
ダヤンと獏の友情が親子の様でもあり夫婦の様でもあり、知らず知らずと自分の周りの人との関係に照らし合わせながら読み進めていることに気が付きます。
世話を焼かれ過ぎると鬱陶しく思うけれど、いなくなった時に始めてその人の大切さがわかることってありますよね。この物語はそんな気持ちを正直に描いていて、自分の態度や行動を改めて考えるきっかけをくれるのです。しかも、ダヤンや愛らしいキャラクターの登場で重たくなり過ぎずに読めるので、すっと心に入ってきます。
また、ダヤンがわちふぃーるどに来るきっかけとなったお祭り、ヨールカについても描かれその楽しそうな光景に目を奪われると共に、ダヤンの世界をより深く知るきっかけともなりますので他の作品とも読み合わせてみてくださいね。