想像力を掻き立てる作品を世に送り続けた作家、メーテルリンク
モーリス・メーテルリンクは、世界中で高く評価されている作家です。1862年にベルギーで生まれ、1949年にフランスのニースで生涯を終えました。
1889年に詩集『温室』、戯曲『マレーヌ王女』を発表し、特に戯曲は高い評価を得て、文壇に名が知られていきました。その後も戯曲を書いていき、1892年に発表したのが『ペレアスとメリザンド』です。この作品から偉大な作曲家たちがインスピレーションを得て、曲を書いていますが、特にこの脚本に『月の光』などで知られるドビュッシーが曲をつけたオペラが人気で、よく上演されています。
メーテルリンクが最も成功を収め、よく知られている作品は、日本でも親しまれている1908年発表の5幕10場から成る童話劇『青い鳥』です。そして、1911年にノーベル文学賞を受賞しました。
また、メーテルリンクは「博物神秘学者」とも言われています。自然を冷静に見つめながらも、そこに神秘的な内面の世界を見出すという、独特の魅力的な感性を綴ったエッセイなども出版しました。
メーテルリンクの作品についてよく指摘されるのが、象徴主義と神秘主義の影響です。象徴主義とは、客観より主観に重点を置き、心の世界などの内面的な世界を、象徴的に表現しようとすることを意味します。神秘主義とは、神などの絶対的なものに触れることを、自分の内面世界で実現することに価値を置く考え方です。
メーテルリンクの作品を読んでいると、寓意に満ちており、ミステリアスなものを感じることがあるでしょう。そういった雰囲気は、象徴主義と神秘主義から生まれているのかもしれません。なんとか自分なりにこの物語世界を読み解いてみたい、という気持ちや想像力を掻き立ててくるような作品ばかりです。
不思議なメーテルリンクの世界を読み解いてみませんか?今回はおすすめの4作品を紹介します!
メーテルリンクが描いた不朽の名作
兄妹のティルティルとミティルは、「幸せになりたがる病気にかかった妖精の娘のために、幸せの青い鳥を探してきてほしい」と突然現れたおばあさんから頼まれました。こうしてクリスマス・イヴの夜に、2人は青い鳥探しの旅に出ます。夜の城や幸福の館などを訪れ、妖精たちや自らの運命を抱えた子どもたちなどと出会い、最後に2人が見つけたのは……。
- 著者
- ["モーリス・メーテルリンク", "宇野 亜喜良"]
- 出版日
- 2016-12-15
日本でも児童文学として人気の『青い鳥』。子どものころに読んで、なんとなく話の筋を思い出せる、という方も多くいらっしゃるとは思いますが、大人だからこそもう一度手にとっていただきたい作品です。
青い鳥が幸せの象徴だというのはよく知られていますが、物語を読んでいるうちに、きっとあなたはあなただけの「青い鳥」、すなわち幸せの形を見出せるでしょう。同じ「青い鳥」といえど、人によって違う解釈ができるのが、この作品が名作である理由なのです。
あなたにとって本当に大切なものを再発見させてくれる、珠玉の物語。ぜひ一読してみてください。
植物と人間の内面世界の触れ合い
メーテルリンクの花についての考え方が語られ、そして実際に花の観察を行ったときのことが綴られたエッセイです。博物神秘学者としても知られていた彼の姿が見えてきますよ。
- 著者
- モーリス メーテルリンク
- 出版日
自然の豊かな公園に行ったり、山に登ったりしたときに、人智の及ばない神秘的な自然の力を感じた、といった経験はありませんか?もしくは、植物に不思議と人間性を感じたことはありませんか?メーテルリンクは、どうやらそういったことを強く感じていたようです。
『花の知恵』というタイトルや、『青い鳥』のイメージから、もしかしたら教訓めいたエッセイなのではないか、と思われたかもしれませんが、決してそういったものではありません。花を正確に、現実的に観る視点をあくまで保ちながらも、メーテルリンクらしい情熱あふれる詩的な文章が綴られています。花の姿を冷静にじっと見つめたときに、立ち現れてくる豊かな内面の世界を描いているようです。
人間が植物に対して感じる不思議な思いを、メーテルリンクが鮮やかな筆致で冷静に、かつ情熱的につづったこのエッセイ。植物が好きな方、自然に畏敬の念を抱いたことがある方に、おすすめしたい作品です。