まど・みちおが日々思うこと『百歳日記』
本書は2009年に2回にわたってNHKで放送されたドキュメンタリー番組「ふしぎがり〜まど・みちお百歳の詩」の取材記録をもとにして構成された1冊です。同年に100歳を迎えたまど・みちおが語った宝物のような言葉を中心に、直筆の絵や写真、そしてたくさんの優しい詩をまじえて1冊にまとめられているため、非常に読みやすい作品といえるでしょう。
真摯な目線で世界を見つめ続けたまど・みちおの100年。彼が日々の中で思ったこと、考えたこと。それらが素直に、優しい言葉で綴られています。読む人の心を包み込む、素敵な1冊です。
- 著者
- まど・みちお
- 出版日
- 2010-11-06
「私は、小さいノートを日記帳にして、そこに書き込んでいます。新しいノートを初めて使うときには、必ず「よろしくお願いします」とノートにもあいさつをします。もともとは立派な木か何かだったのに、こんな紙にされちゃってね、ノートも犠牲者なんですから。『私も粗忽者だからめちゃくちゃなことを書きますよ。覚悟しておいてください』と伝えておきます。」(『百歳日記』より引用)
100歳を迎えたまど・みちおによって丁寧な口調で語られる、謙虚でチャーミングなエピソード。彼の語り口は読者をおだやかな気持ちにさせ、笑みを溢させることでしょう。
彼は著作の中で、難しいことや説教くさいことを、何ひとつ言いません。優しい言葉で読者に語りかけるようにして、自分が100年の人生経験で本当に学んだこと、思ったこと、考えたことを伝えてくれます。私たちはそんなまど・みちおの心からのメッセージを、素直に受け取ることができるはずです。ぜひ読んでみてください。
優しい言葉がならぶ『どんな小さなものでも、みつめていると宇宙につながっている』
2009年に100歳を迎えたまど・みちお。彼が雑誌などのインタビューで語った言葉の中から多くの人に伝えたい言葉を選び抜いて掲載した本書は、言わば詩人まど・みちおの名言集のような1冊となっています。
作中で彼は子どもにも分かるような優しい言葉を用い、目の前にいる読者に向かって語りかけるかのように言葉を紡いでいます。そのおだやかな語り口からは、彼のまとう空気までもがありありと伝わってくるようです。タイトルとなっている「どんな小さなものでも、みつめていると宇宙につながっている」とは、なんて彼らしい、美しい言葉なのでしょうか。
- 著者
- まど みちお
- 出版日
冒頭、著者は本書のタイトルについてこのように述べています。
「引っ込み思案な子どもでした。アリや花のおしべなどの小さいものをじっとみつめることが好きでした。小さいと、ひと目で全体が見えるから、そこに宇宙を感じていたのです」(『どんな小さなものでも、みつめていると宇宙につながっている』より引用)
彼はこれこそが、ありとあらゆるものに命を見出し、詩作する彼自身の感性の「みなもと」であると考えてました。読者は、偉大な詩人のルーツが素朴なものであったことを知ると同時に、生きとし生けるものすべてに向けられた彼の優しさに包まれることとなるでしょう。
また本書には2009年に100歳を迎えたまど・みちおの写真や直筆原稿が多数掲載されています。彼は2014年、104歳でこの世を去りましたが、本書では「まどさん」の愛称で親しまれた生前の彼の面影に触れ、その姿に生きる勇気をもらうことができます。多くの人に読んで頂きたい1冊です。
こどもたちに希望を託す『まどさんからの手紙 こどもたちへ』
最後にご紹介する本作『まどさんからの手紙 こどもたちへ』は上に挙げた4作とは少し異なる作品です。
この本は1994年にまど・みちおが日本人としてはじめて国際アンデルセン賞を受賞した際、彼の母校である山口県徳山小学校の在校生から届いたお祝いの手紙への返事として書かれた手紙をもとにしています。まど・みちおが「徳山小学校のみなさんへ」と宛名を書いた実際の手紙にささめや ゆきが可愛らしい絵を付けて、2014年にすべてのこどもたちに向けた絵本として刊行されました。まど・みちおの願いが子どもにも分かる言葉で、素直に綴られた内容となっています。
- 著者
- ["まど・みちお", "ささめや ゆき"]
- 出版日
- 2014-03-21
「……わたしも ちからいっぱい がんばるつもりですが わたしは もう 八十四さいの としよりです。どんなに がんばっても たいしたことは できません。でも みなさんは ちがいます。みなさんが いま ぜんりょくを あげれば それは もう できないことは ありません。どうか みなさん、まいにち まいにちを むだに しないで げんきいっぱいに やってください。」(『まどさんからの手紙 こどもたちへ』より引用)
まど・みちおは自身の詩作と同様、伝えたいことをこどもにもわかる優しい言葉で、飾らず、まじめに書きました。この手紙を書くことで、彼はこどもたちに希望を持たせ、未来を託そうとしているように見えます。
104年の生涯を一生懸命に生きた詩人、まど・みちお。現世に生きる私たち大人も、彼にとっては子どもみたいなものなのではないでしょうか。私たちも彼からのこの手紙を受け取り、「げんきいっぱいに」今を生きることを頑張ってみたいものですね。あなたもぜひ、まど・みちおのエールを、受け取ってみてください。