子供も大人も楽しめる物語を生み出した作家、スティーヴンソン
ロバート・ルイス・スティーヴンソンは、1850年イギリス生まれの作家です。エディンバラ大学で学び、弁護士資格を得るものの、生まれつき身体が丈夫ではなく、療養で様々な土地に行きながら作品を書いていきました。1894年に彼は生涯を終えます。
スティーヴンソンのデビュー作は、1874年に発表した『南欧に転地を命ぜられて』というエッセイです。日本で最も知られている彼の作品は『宝島』ではないでしょうか。この作品は、古くから翻訳され、児童文学の傑作として多くの人々に受け入れられてきました。子供のころに読んで胸躍らせた経験があるという方もいらっしゃるでしょう。大人になってから読んでも、わくわくする優れた冒険小説です。
1886年に出版された『ジキル博士とハイド氏』もスティーヴンソンの代表作として有名でしょう。その影響力は大きなもので、この作品が元となっている派生作品はたくさんあります。
スティーヴンソンは晩年をサモア諸島の中にあるウポル島というところで過ごしました。彼は現地の人々からストーリーテラーとして受け入れられ、ここでも多くの作品を書いています。
本格ミステリの大御所ジョン・ディクスン・カーや、日本の有名な文豪、夏目漱石なども、スティーヴンソンの作品を愛読していました。多くの研究者が、彼らの作品の中に影響が多々みられると指摘しています。
子供から大人まで、多くの人を魅了してきたスティーヴンソンの作品。彼の作品の中から、おすすめの4冊をご紹介します。
希代のストーリーテラー、スティーヴンソンによる王道の冒険小説
とある宿屋ベンボー提督亭に、ビリー・ボーンズという頬に大きな傷のある謎の水夫が泊まり込んできます。その宿屋の息子であるジム・ホーキンズが本作の主人公ですが、彼はボーンズから「一本脚の船乗り」には気をつけるよう警告されていました。ある夜、ボーンズは酒に溺れ、喧嘩の末に亡くなってしまいます。
彼の死後、ホーキンズ少年は地元の名士トリローニと医師のリヴジーと共に彼の持ち物を調査しました。その際に出てきたのは、宝のありかが示された謎の地図。これをもとに彼らの海への冒険が始まるのです。航海に出るに当たってトリローニは片足の男、ジョン・シルバーに助けを求め、彼も仲間に加わることとなり……。
- 著者
- スティーヴンスン
- 出版日
- 2008-02-07
個性豊かな登場人物たち、宝を求めての航海、緊迫した戦い。そう聞いただけで、なんだかわくわくしてきませんか?
それらが希代のストーリーテラーであるスティーヴンソンによって語られるのです。気が付いたら、物語の中の一員になったかのように夢中になってしまっています。
世界中の子供・大人たちを魅了してきたこの作品は、冒険物語に「海賊もの」という一つのジャンルを確立することに貢献したことでしょう。『宝島』がなければ、『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『ONE PIECE』などの海賊ものの傑作はここまで受容されなかった、ひょっとしたら生まれてすらいなかったかもしれません。
魅力的な仲間たちと共に、宝探しに海へ出かけてみましょう!
あなたは一体、誰なのですか?
ある町に、醜悪で不気味なことで有名なハイドという男がいました。彼は、道でぶつかって倒れた少女を踏みつけようとするほどの暴悪さなのです。
弁護士であるアターソンは、品行方正な紳士である友人のジキル博士が、この凶悪な男であるハイドと関係があると知り、ハイドがどんな人物であるのか探ろうとしますが......。
- 著者
- ロバート・L. スティーヴンソン
- 出版日
- 2015-01-28
この作品はあまりにも有名で高く評価されているために、「ジキルとハイド」といえば何を指すのかを本書を読んだことがなくてもご存知の方はいらっしゃるかもしれません。それは物語の根幹にかかわる重大なネタバレではあるのですが、ご存知だったとしても、十分に楽しめる作品なので、ぜひ手にとってみていただきたいです。
霧に覆われ、ほの暗いロンドンの中で徐々に見えてくるジキル博士とハイドの存在。スティーヴンソンの絶妙な語り口によって、ロンドンの雰囲気と怪しげな2人の関係が見事調和しています。そういった中で調査を進めていくアターソンに、いつの間にか読者は自分を重ねていき、まるで自分が探偵であるかのようなスリルを味わうことができます。
なんといっても真骨頂は、真相が語られるシーン。それまでは探偵役といえるアターソンに自分を重ねていたはずなのに、気が付くとジキル博士かハイド、もしくは両者に自分自身を見出すようになっていると思います。自分は誰なのか?ということを考えさせられる探偵小説であり、冒険小説であり、心理小説のような作品です。