続きが気になる本作、ぜひ『続813』も手元に用意を!
ルパンはある男から、ドイツの重大な秘密文書の隠し場所の暗号のカギを入手します。しかし、その男は殺されて死体となって発見されました。ルパンは殺人をしないことで知られていたため、このことは世間に衝撃を与えます。
警部ルノルマンはルパンではないと信じ、捜査を始めますが……。本作はルパン、警察、殺人犯が入り乱れる冒険活劇です。
- 著者
- モーリス・ルブラン
- 出版日
- 1959-05-27
ルパンファンの間で高く評価されている傑作です。次から次へと事件が起こり、謎が提示され、圧倒的なスピードで展開されていく物語に、ページをめくる手が止まりません。ルパンの誇り高い情熱もまた、物語に大きな華を添えています。
物語には普通、クライマックスがありますが、この作品については、どこがクライマックスなのかわからないほど、多くの山場があります。本書を読んだ人にクライマックスがどこかを聞いてみると、おそらく人によって違った回答が返ってくるのではないでしょうか。最初から最後まで、まるでジェットコースターのような勢いを保っている作品です。
本作には続編『続813』があります。あっという間に読めてしまって、先が気になって仕方がなくなること請け負いですので、『813』を読み始める前に、手元に『続813』を用意するのがおすすめですよ!
モーリス・ルブランはルパンだけじゃない!夢中になれる極上のSF冒険小説
1920年に雑誌で発表された、ルパンシリーズではないSF冒険小説です。
英仏海峡で次々と船の遭難が起こっていました。これは大きな地殻変動の前触れといわれ、実際、とんでもないスケールの地殻変動が起き、大陸とグレートブリテン島は陸続きになってしまうのです。この前人未到の地「無人の土地(ノー・マンズ・ランド)」での大冒険が始まります。
- 著者
- モーリス・ルブラン
- 出版日
大きな地殻変動でヨーロッパ大陸とイギリスが地続きになってしまう、というスケールの大きな出来事から始まる魅力的な大冒険が描かれています。「怪盗紳士ルパン」シリーズでもみられるようなスケールの壮大さと、胸が躍るような冒険は、この作品でも健在です。
主人公であるシモンは、健康で勇気に満ちた魅力的な青年で、離れ離れになった恋人を探すために、突然現れた新世界を旅していきます。読んでいくうちに、突然現れた誰の所有でもない土地を自分自身が冒険しているかのように感じることでしょう。一見突拍子もない設定ながら、その世界に読者を没頭させるルブランの語りの巧みさに驚かされます。
ルブランというとどうしても「怪盗紳士ルパン」シリーズが有名ですが、それ以外にも思わず夢中になってしまうような極上のエンターテイメント作品を多く執筆しています。本書も極上のSF冒険小説です!
最高にオシャレな締めに込められた切実な思い
1919年に雑誌で連載された、こちらもルパンものではない作品で、モーリス・ルブラン初のSF小説です。
ビクトリアンは、発明家であるおじに不思議な現象を見せてもらいます。スクリーンが「B光線」という謎の光線を受け止めると、そこに3つの眼が現れ、歴史上の出来事の映像が映し出されました。
おじはこの映像を上映して、研究費を稼ごうとしますが、そんな矢先に「B光線…ベルジ…」という不可解なダイイングメッセージを残して殺されてしまいます。さらに映像を上映するための仕組みも奪われ、ビクトリアンが愛している娘のベランジェールも誘拐され……。
- 著者
- モーリス・ルブラン
- 出版日
上に書かせていただいたあらすじを読んだだけでも、様々な謎が浮かんでくると思います。3つの眼とはいったい何なのか?犯人は誰なのか?ダイイングメッセージの「ベルジ」はやはり愛称がベルジュロネットのベランジェールなのか?
こういった謎に苦悩するビクトリアンに、読者は感情移入できるでしょう。魅力的な謎の畳みかけを巧みに使って読者を物語世界に引き込むのみならず、ビクトリアンの恋であったり、ミステリアスなヒロインのベランジェールであったり、緊迫感のある駆け引きだったり、とにかく読者を惹きつけてくるロマンにあふれた作品です。
ラストには、ロマンにあふれた作品にふさわしい、とても美しく粋な文章が書かれています。一方で、そこにはルブランの切実なメッセージが込められているのです。ぜひこの作品が1919年という、第一次世界大戦終結の1年後に書かれたものである、ということを思い起こしながら、最後の文章を読んでみてください。