子猫のトムがネコ団子に⁉
第5集の14話は、あるネコの家族とネズミの夫婦のおはなしです。
ネコのタビタおくさんには3匹の子猫がいるのですが、やはり大変ないたずらっ子なのです。少し目を離すと必ずいたずらをはじめるので、パンを焼く間、子猫たちをおしいれに入れておくことにしました。モペットとミトンはすぐに見つり、おしいれに入れられましたが、トムはどこを探してもみつかりませんでした。
- 著者
- ビアトリクス・ポター
- 出版日
- 2002-10-01
タビタおくさんは家に住み着いているネズミたち襲われたのだと思い涙を流します。なぜならタビタおくさんは7匹もの小ネズミを捕まえたことがあったので、もっとたくさん住み着いていると考えたのかもしれません。
「このまえの土よう日の ばんごはんにしましたけど。」
(『ひげのサムエルのおはなし』より引用)
その7匹の命は無駄にはなりませんでした。
トムはというと、煙突を上って、てっぺんですずめを捕まえようと上り始めていました。下のほうからはパチパチと薪が燃え始めている音がしたので後戻りはできません。ところがトムは道に迷ってしまい、いつまでたってもてっぺんに行き着くことができませんでした。代わりに行き着いたところはひげのサムエル夫妻の家で、とても狭くかび臭いところだったそうです。
「えんとつがつまってて、そうじしなくちゃ いけなかったんです」
(『ひげのサムエルのおはなし』より引用)
トムは一生懸命言い訳するのですが、それも空しく……なにがなんだかわからないうちに上着はぬがされ、くるくるまきに紐でしっかり縛られてしまいました。ネコ団子を作るのに必要な材料やら道具やらを揃えるために髭のサムエル夫妻は出かけていきました。
ひとり残されたトムは助けを呼ぼうとなきましたが、とてもきつく縛られていたため他の人に聞こえるほどの声は出せません。もがいてクタクタになったトムのもとに髭のサムエル夫妻が戻ってきました。それから、バターを塗って、ねり粉で巻いて、麵棒でペタペタ伸ばし固めました。その間もトムはくいつこうとしたり、ないたりしましたが身動きの取れなくなったこの頃になってはどうすることもできません。
幸運なことに、トムを探し続けていたタビタおくさんたちに、間一髪で助け出されるのですが……サムエルご夫妻は見つかる前に急いで引っ越しをしなくてはならなくなりました。おかげでタビタおくさんの家にはネズミが出ることはなくなったようです。
大きくなったモペットとミトンは大変上手なネズミ捕りになり、村中から仕事をうけ安楽に暮らすことができましたが……サムエルご夫妻も負けてはいませんでした。お百姓のバレイショさんのなやに引っ越しをした2匹は、ありとあらゆる食べ物を食べつくしバレイショさんをひどく困らせました。
「そのネズミたちは、みんな、ひげのサムエルのご夫妻のしそんー子どもや まごや ひいまごや ひいひいまごたちでした。いつまでいっても、きりが ありませんでした。」
(『ひげのサムエルのおはなし』より引用)
なかなかシュールな絵が多いですが、「生きる」ことについて考えさせられるおはなしです。
尻尾を食いちぎられた子リス「ナトキン」
第4集の10話は、おてんばな男の子のリス「ナトキン」のおはなしです。
ナトキンは兄さんや、大勢のいとこと一緒に湖のそばの森に住んでいました。リスたちは、秋になるとブラウンじいさまというふくろうの住みかである「ふくろうじま」まで食料を採りに出かけます。
- 著者
- ビアトリクス・ポター
- 出版日
- 2002-10-01
私たちが誰かの家にお邪魔するとき、手土産を持っていくのと同じように、リスたちは木の実を採らせてもらうかわりにブラウンじいさまの好物を持っていくのでした。
リスたちが手土産を集めているときも、ブラウンじいさまに挨拶をしているときも、木の実を集めているときも……ナトキンはいつも悪ふざけをしたり、遊んだりしていました。中でもブラウンじいさまに対する悪ふざけは目に余ります。他のリスたちが低姿勢で挨拶をしている中、ナトキンときたらブラウンじいさまの周りをぴょんぴょん飛び跳ねてなぞかけ歌を歌うのです。
ある日、ブラウンじいさまの頭にナトキンがとびかかろうとしたとき、さすがのブラウンじいさまも頭にきたのか……ナトキンをぶら下げて革をはごうとしました。ナトキンは大暴れをして逃げることができましたが、しっぽはぷっつり切れてしまったのです。
おはなしはここで終わっていますが、実は続きがあるようです。ナトキンは尻尾を返してくれとブラウンじいさまに手紙を送り続けるようなのですが、食べられてしまったものが返ってくるはずもなく、ナトキンは尻尾が短いまま生きていくことになるようです。
他のリスたちと一緒に丁寧に挨拶をして、食料を集めていればこんなことにはならなかったのかもしれません。かわいそうなナトキンですが自業自得なのでしょう。
今でもナトキンは他のリスたちになぞかけをされると棒をぶつけたり、悪口を浴びせられたりしているようです。
間一髪助け出された子うさぎたち
第1集の第2話は、ピーターといとこのベンジャミンバニーが、1話のときにピーターがマグレガーさんの畑に落としてきた上着と靴を取り戻しに行くおはなしです。
1話で大変な思いをしたピーターは終始ビクビクしていましたが、ベンジャミンバニーはゆうゆうとしたものでした。
マグレガーさんとマグレガーさんのおくさんは遠くに出かけていたため見つかって追いかけまわされることはなく、かかしの服にされていたピーターの服を取り戻すことができました。
- 著者
- ビアトリクス・ポター
- 出版日
- 2002-10-01
そのまま真っすぐ帰ればよかったのですが、ついでに野菜を盗んで帰ろうとしたので、運悪くネコとでくわしてしまいました。大きなかごをすっぽりかぶって通りぬけようと試みるのですが、かごの上で寝られてしまい、そこから5時間も動くことができない破目に……盗んできた野菜というのは、玉ねぎだったため、かごの中はそれはもうひどい臭いだったようです。
息子を探しに来たベンジャミンバニー氏(ベンジャミンバニーのお父さん)はネコなんてちっとも怖くなかったため、2匹を助け出し、近くの温室にネコを閉じ込めました。ベンジャミンバニー氏は2匹の小ウサギを持っていたムチでぶち、森へと引き上げるのでした。
ベンジャミンバニー氏がこなかったら、この30分後に帰宅したマグレガーさんにまた追いかけまわされていたかもしれません。行先を伝えず、子どもたちだけで遊びに行くのは、ウサギの世界でも私たちの世界でも変わらず危険なことなのでしょう。
うわぎと靴をもって帰宅したピーターはピーターのお母さんに怒られることはありませんでした。罰は一度受け、反省をしたら二度はいらないものです。
ピーターのお父さんがマグレガーさんのおくさんにパイにされてしまってから、ピーターのお母さんはうさぎの毛の手袋やそで口かざりを編んだり、せんじ薬やうさぎタバコを売って暮らしていたそうです。
優しくも強いピーターのお母さんと、頼りになるベンジャミンバニー氏がかっこよく思える作品です。