生きているのは植物だけじゃない!小さな生き物たちにも注目
- 著者
- 甲斐 信枝
- 出版日
- 2017-03-04
『きゃべつばたけのいちにち』は今までの2冊と異なり、キャベツ畑のみをピックアップした作品です。キャベツを取り巻く生き物たちの躍動感を楽しめます。
キャベツ畑の一日は朝早くから始まります。卵をつけるチョウや葉を食べにくるアオムシやアリといった虫たち……彼らの生きるための工夫を見ることができるのです。静かな畑の様子を描いていますが、読み進めている間、爽やかな朝と植物たちの躍動感で満たされた時間を過ごすことができるでしょう。
この作品もまた、鋭い観察眼で細かくキャベツ畑の様子が描かれています。虫たちも非常によく観察されて描かれているため、虫が苦手な読者は驚いてしまうかもしれませんね。しかしそれ以上に目を見張るような発見があるので、ついついページをめくってしまうでしょう。
農家のように1日中キャベツ畑のそばにいることの出来ない読者のための、観察日記としても良い作品でしょう。生命の営みや生き物を大切に扱うことをしっかり感じてもらえる作品です。
植物たちの気持ちを想像させる甲斐信枝の作品
- 著者
- 甲斐 信枝
- 出版日
- 2015-09-02
『のげしとおひさま』はノゲシの成長を、その気持ちとともに描いた作品です。この絵本を通して、植物の気持ちを楽しめるでしょう。
ノゲシは自分の身の回りを行き来できる虫や動物をうらやましく思います。どうしたら自分も動けるようになるのか、おひさまに相談すると「たくさん陽の光を浴びるように」と教えてもらいます。おひさまのいうことを聞いたノゲシがどうなるか……。大人だったら結末は分かるのに、ワクワク感を抑えられない作品です。
表情や身振りが表現されていないのに、ノゲシの気持ちが手に取るように分かります。虫たちをうらやましいと思い、おひさまの言うことを聞いても何も変わらないがっかり感、そして最後の躍動感は分かりやすく小さな子どもでも楽しめるようになっています。
実際に作中の場面を見てきたかのようなイラストと、丁寧な言葉選びをしている文が見事にマッチしているのです。ノゲシの観察日記としても、植物の物語としても楽しめる二面性を持っている作品といえます。近所でノゲシを見かけたらこの本を思い出して手に取ってみると良いかもしれません。
母の愛と期待を胸に、子どもたちは成長していく。
- 著者
- 甲斐信枝
- 出版日
- 2011-02-02
『のえんどうと100にんのこどもたち』は野エンドウの親子のお話。今回紹介する絵本の中で唯一表情が描かれ、明確な擬人化が施されているので小さなお子様から楽しめる作品です。
野エンドウのお母さんは種である子どもたちに深い愛情をかけながら、おひさまの力を借りて子どもたちの旅立ちに向けて準備をしていきます。一方子どもたちはその愛を受けながら外の世界に希望を見出し、外に出る気持ちを高ぶらせていくのです。
野エンドウのお母さんの表情は、これ以上ないというほどに深い愛と優しさと子どもたちへの希望が込められています。子どもというのは本来これだけ穏やかな笑顔を母に浮かべていてほしいのだということに気づかされるのではないでしょうか。
子どもたちの表情にも、一つ一つに個性があります。またそれぞれのお部屋での過ごし方にも個性が現れています。野エンドウのお母さんはその個性を否定せず、優しく受け止めてくれるのです。その様子は人間の親子との差を感じずに読むことができるでしょう。
子どもたちが旅立ってからのお母さんの様子は少しだけ寂しく描かれていますが、そばにいる子どものおかげでそれも払拭されます。野エンドウの観察絵本としても、親子の深く優しい物語としても楽しめる作品です。