『ムッシュムニエルをごしょうかいします』をご紹介します
魔術師のムッシュムニエル。ヤギの風貌で、六つボタンの黒いコートにスーツケースを持つ姿が実に怪しい人物です。弟子を探しに街にやってきたムッシュムニエルが、男の子をさらって弟子にしてしまおう!と目論むお話です。
街で一人の少年を見つけ、さらってしまおうと瓶に呪文をかける姿が、さらに怪しく見えてきます。
呪文をかけたビンは魚の形に変身し空を飛び、少年のもとへ向かうのですが……ムッシュムニエルが、うまく少年をさらうことができるかどうかは、絵本を読んでのお楽しみです。
- 著者
- 佐々木 マキ
- 出版日
- 1989-01-20
まず、ムッシュムニエルというインパクトの強い名前に興味を掻き立てられますよね。魔術師という古典的な職業もとても魅力的です。魔術で生み出したのは、空を飛ぶ魚型の潜水艦。
ビンに向かって呪文を唱える姿は、古典的なのに、生み出した魔術はSF的という矛盾が、ムッシュムニエルの怪しさを上手く醸し出しています。
佐々木マキが描く、ヨーロッパの街並みのようなオシャレな空間を堪能できる作品でもあります。絵本に出てくる風景は、近未来のようでもあり、昔の風景のようでもあり、読んでいるうちに不思議な感覚に陥ってくるでしょう。
クラシックカーが通る道路や、活気的な市場の場面は、細かく描かれていて、何度見返しても楽しさを感じます。
子供時代に読めば、ちょっと背伸びをして大人の世界を垣間見たような、そんな感覚になる絵本です。
千夜一夜物語のようなファンタジーの世界『変なお茶会』
ミスターオオイワカメタロウに例年通り一通の招待状が届きます。「変なお茶会」に招待されたオオイワカメタロウは、電気自動車に乗って会場へ向かうのでした。
5人乗り自転車、クジャクにひかせた馬車、空き瓶の船、空飛ぶ鹿など、愉快な乗り物に乗った招待客が、世界各国から変なお茶会に集まってきます。
昨年のお茶会で次の再会を約束していたみんなとトランスバールのお城で会い、暗い森を抜けた秘密の場所でお茶会が行われます。その「変なお茶会」とは……とっても「おいしい」お茶会なのです。
- 著者
- 佐々木 マキ
- 出版日
この『変なお茶会』という絵本自体が、招待状のようなサイズなのが嬉しくなります。シンプルなカラーで描かれたページは、一枚一枚が絵ハガキのような素敵さです。読んでいると、外国から絵葉書が届いた時のような高揚感を感じます。
招待状、お茶会、魔法の乗り物という要素がうまく配合されていて、ファンタジー好きの人の感性をくすぐってきます。こんなお茶会に招待されてみたいものですね。
楽しい乗り物がたくさん描かれているので、乗り物好きの子どもたちにもぜひ読んでもらいたい絵本。佐々木マキの絵で刺激された想像力を使って、親子で新たな乗り物を創造してみても面白い時間が過ごせるのではないでしょうか。
ハグを覚えたての赤ちゃんと何度も楽しめる一冊『はぐ』
明るい砂浜の静かな海辺。シマウマさんとラクダくんがハグをします。ワニくんとペンギンさんもハグ。おじさんとハグをするのは……?
どうぶつたちが砂浜でハグをする、というだけのことを描いた絵本。ぎゅっとハグをした動物たちの表情がとても幸せそうで、心が和みます。絵本から溢れてくる愛情や温かみを心から体感できる、そんな素晴らしい絵本です。
赤ちゃんのファーストブックとしてもおすすめです。
- 著者
- 佐々木 マキ
- 出版日
- 2013-09-04
幼児が、教えてもいないのにぬいぐるみを抱きしめる行為をすることがあります。なぜなのでしょうか?ぬいぐるみをかわいいと思う気持ち、大切と思う気持ちが「ハグ」という行為として現れてくるとしたら、人間は、愛という感情を生まれ持って備えているということになります。
欧米では、挨拶としてハグをします。しかし日本では相手を思いやる気持ち、相手の悲しみを包み込む気持ち、心に寄り添う気持ち、寂しさを分かち合う気持ち……そういった愛情の表れとしてハグを行うことが多いのではないでしょうか。
そんな日本版のハグの良さを描いたこの絵本。読んだ子どもたちはきっとハグを求めてくるので、心して抱きしめてあげてください。抱きしめているはずの大人の方も、なんとも言えない幸福感を味わえるのが、ハグの魅力でしょう。