時代小説も読んでみたいけれど堅い文章や大長編を読む自信はない、という方におすすめなのが、青山文平の小説です。読みやすい文体、流れるような展開、その中に見える人間の生き方と苦悩。江戸中期という時代にこだわった青山文平の作品を5冊ご紹介します。

一方どの作品でも、女はどこかどっしりとしていて自信に満ちています。武家の男たちは、戦乱の世では命を懸けて戦っているという自負もあり自信もあったのですが、戦のない世の中で男たちは自分を見失っていました。まるで現代の男女を見るようです。作者の描きたかった人間の姿が、そこにあったのでしょうね。
- 著者
- 青山 文平
- 出版日
- 2015-07-08
しかし数年後飢饉により、再び財政悪化。藩の家老は多額の藩札刷増しを命じますが、それでは藩の経済は滅茶苦茶になってしまう。そう思った抄一郎は藩札の版木を抱えて脱藩し、江戸にやってきました。結局故郷である小藩は改易してしまいます。
- 著者
- 青山 文平
- 出版日
- 2014-09-10
そんな「名子」が、本当の武家になる方法がありました。それが本書のタイトルでもある「励み場」です。身分に関係なく、仕事に励んで力をつければ報われる場所という意味。江戸時代では勘定所という仕事場が、幕府の中で数少ない「励み場」とされていました。ここで励めば、百姓の身分から旗本にまで出世する夢も叶うかもしれないのです。
- 著者
- 青山文平
- 出版日
- 2016-08-31
それぞれの物語において、時代は同じなのに立場は異なる主人公が登場し、しかしその主人公らが抱える苦悩に共通点があるのです。心理描写が長々とあるわけでもなく、表現としては淡々としています。どの小説も短編ながら設定が細部まで丁寧に記されており、ストーリーが単純というより無駄を省いた印象です。
- 著者
- 青山 文平
- 出版日
- 2014-08-22
重秀の一人娘、理津は昔やはり駆け落ちをして男と逃げ連れ帰られた経緯があるのですが、それを承知で娘婿に来てくれた長英という義理の息子がいて、その息子は江戸で剣術の道を志し、頭角を現しています。この鮭の事業のアイデアも元々長英のものでもありました。
- 著者
- 青山 文平
- 出版日
- 2015-03-10
青山文平は、時代小説でありながら時代小説っぽくなく、それでいてその背景には非常に緻密な設定が見られ、作者の並々ならぬ知識量を感じさせます。多くの時代小説には合戦や下剋上など男たちの熱いドラマがありますが、出てくる武士たちは皆、行き場を失った武士魂を持て余しつつ、平和の世の中で生きていくためのアイデンティティを探しもがくという、全く別の戦いを強いられています。それは、現代にも通じる悩みのように思えますね。短編も多いので、大長編時代小説はちょっと苦手、という方にもおすすめです。