別れの後には素晴らしい世界が!
続いては『セミくんいよいよこんやです』を紹介します。
いよいよ今夜に何が起こるの?と思った方もいるでしょう。今夜はいよいよセミくんが羽化する日。このように書くと昆虫図鑑のように感じられるかもしれませんが、そこは工藤ワールド。可愛らしく、セミの一生が描かれています。
- 著者
- 工藤 ノリコ
- 出版日
長い間地中で暮らしてきた様子が、セミくんを取り囲むアイテムからうかがえます。例えば黒電話やレコード。今の子どもたちは存在すら知らないかもしれません。そういう細部までにこだわった小道具から、昔はね……と会話に花が咲くでしょう。
一緒に地中を共にしてきた、他の昆虫やお花たちのお別れの準備にも心が温まり、最後にやっと飛びたてたセミくんの姿にほろっときてしまいます。
イラストもストーリーもとても優しく描かれているので、夏にお子さんがセミを見たとき、恐がらずに優しく見守ってあげられる絵本になるかもしれません。
セミの一生を人間の成長に置き換えると、別れはつらいことだけじゃない!素晴らしい世界が待っていると背中を押される絵本です。
はじめての冒険にハラハラ ワクワク!
次に紹介するのは、「ペンギンきょうだい」シリーズの第1作目『ペンギンきょうだい れっしゃのたび』です。
ペンギンの三姉弟が初めて子どもたちだけで列車に乗っておばあちゃんの家に行くというお話。
- 著者
- 工藤 ノリコ
- 出版日
列車に乗って目的地に着くだけのシンプルなストーリーなのに、どうしてこんなに引き込まれてしまうのでしょう? それはやっぱり絵です。駅の構内の売店やほかの乗客のやりとりが忠実に、でも、よくよく見ると行ったことがない外国の駅のような不思議な風景が広がります。
3人が美味しそうにほおばるお弁当を見ると、どこか懐かしく、自分にもこういう時代があったなあとノスタルジックな気分に浸ってしまうでしょう。
そして、主人公だけでなく、他の登場人物の動きを追っていく楽しみ方もおすすめです。このページにいたおじさんがここに!とか、たまたまその場所に居合わせた人の、人となりまで想像して楽しくなる仕掛けが絵本のいたるところにあります。
トンネルを抜けて見える広い海、おばあちゃんにやっと会えた嬉しさ、そして3人だけでやり遂げた達成感! 旅のわくわく感がつまった絵本です。
ちなみに、れっしゃのたび以外に、そら、ふね、バスのたびがあり、シリーズを通して同じ持ち物が登場します。探し出しながら楽しんでくださいね。
食いしん坊なセンシュちゃんの知恵に脱帽!?
最後に紹介するのは、工藤ノリコ人気シリーズ「センシュちゃんとウオットちゃん」の第4弾『センシュちゃんとウオットちゃん おやつの国』です。
食いしん坊のセンシュちゃんがホットケーキにかけるはちみつをひとりで舐めてなくなってしまったので、みつばちさんにまほうのはちみつをわけてもらうと、そのはちみつにはある秘密が......?
センシュちゃんは大好物を独り占めしようと企みますが、ことごとく失敗。ウオットちゃんや周りの動物たちにいつも助けられるほのぼのしたストーリーです。
他にはサクランボを池に落としてしまっておたまじゃくしに食べられたり、みかんを雪だるまの中に隠してどこにいったか分からなくなったり……季節にまつわる食べ物やイベントがたくさん出てくる漫画風の短編が10話集められた絵本です。
- 著者
- 工藤 ノリコ
- 出版日
- 2015-02-18
美味しいホットケーキに、みつばちさんが届けてくれるまほうのはちみつで舌鼓......こんな世界が本当にあったらいいな、と思うストーリーばかりです。センシュちゃんが独り占めして食べようとしても、結局みんなで食べるのが一番おいしいんだということも伝わってきます。
センシュちゃんの子どもらしく時に大胆な発想と、何度失敗しても懲りない行動にはいつもクスっと笑ってしまいます。でも、センシュちゃんが自分の子どもだったらどうでしょう?
どれだけ悪さをしても、ウオットちゃんや周りの仲間たちはまったく怒らず、何事もなかったようにふるまう寛大な姿に、親として肩身が狭くなる人もいるかもしれません。ちょっと叱りすぎたかな?と自己嫌悪に陥ったとき、ぜひ読んでみてください。細かいことは気にしなくていいかと思えるかもしれません。
十五夜にはお団子、クリスマスにはケーキなど色々な食べ物が描かれ、季節と食べ物を合わせて楽しくお勉強もできます。
全56ページと絵本にしてはボリュームがありますが、短いお話ばかりです。今日はここまでと分けて読むことができるので、小さいお子さんにもおすすめの一冊です。