バッタの冒険を通して1歩踏み出す勇気をくれる絵本
『とべバッタ』は自然界の厳しさと、それを勇気を持ってかえようとする1匹のバッタが主役の物語です。
厳しい自然の中で、いつ食べられてしまうかもわからないとおびえて暮らすバッタ。しかしある日、こんな風に生きるのは嫌だと自らの運命を変える決意をします。
全ての力を振り絞り、天敵のへびもカマキリもくもや鳥さえも打ち負かして、高く高く飛び上がったバッタ。最後の試練に打ち勝つためにバッタがとった行動とは……。
- 著者
- 田島 征三
- 出版日
- 1988-07-01
自分を取り巻く環境や運命を変えようと、奮闘するバッタ。その思いは強く自分よりも強い者たちを次々に打ち負かします。その姿に、ハラハラしながらもいつしか心からバッタを応援していることに気付きます。
弱肉強食の厳しい自然の中では、弱いものは生まれた時からその運命を背負っています。しかし自然の中だけではなく、人間の社会でも同じなのではないでしょうか。自分で環境を変えたいと思っていても踏み出す勇気が持てず、諦めてしまった経験はきっと誰でもあることでしょう。
このバッタを自分と重ね合わせながら、子ども達は自分で踏み出す勇気を学びます。そして、最後のページに描かれたバッタの幸せそうな様子に、勇気を出すことで環境を変えることはできるという希望につながるのです。
子ども達にぜひ読んでもらいたい1冊です。
木の実を使って描いた自然の魅力にあふれた写真絵本
『ガオ』は「シロダモ」という植物の実をひとつひとつ並べ、色々な動物に変化させることで移り変わりを描いた作品です。木の実にはどれ一つとして同じものはなく、様々な色、形の木の実が物語を彩ります。
物語は、1匹の山犬が「ガオ」と力いっぱい吠える場面から始まります。すると、元気が身体の中から飛び出して身体は6匹の蛇に、元気は恐ろしい鳥に変化してしまうのです。鳥は1匹ずつ蛇を食べ、残りの1匹が力を振り絞って「ガオ」と吠えます。すると蛇もまた別の動物に変化して……。
- 著者
- 田島 征三
- 出版日
- 2005-02-10
ひとつひとつは小さな木の実ですが、作品としてダイナミックに作り上げられた姿に目を奪われます。自由自在に変化していく様に、ついページをめくる手がとまりじっくりと眺めてしまうことでしょう。
山犬から他の動物へと変わり、そしてその動物もまた形を変えていく。自然の移り変わりや生き物の命がまた次の命へと繋がれていく様子が生き生きと描かれています。
最後のページが最初のページを繋がっていて、再び物語が始まるのことを期待させるラストも魅力的です。
環境問題について考えるきっかけをくれる絵本
『やまからにげてきた』は、後ろから読むと『ゴミをぽいぽい』という話が描かれている、前からも後ろからも読める絵本です。
『やまからにげてきた』は山から逃げることを余儀なくされた、動物たちの視点で描かれています。たぬきも虫も鳥も、沢山の動物が山から必死で逃げているのです。しかし、中には逃げられない動物も。魚は「にげられないの」と言って涙を流します。その悲痛な叫びに胸が締めつけられます。動物たちが逃げる理由とは……。
『ゴミをぽいぽい』は、人間の視点で描かれています。人間たちが捨てたゴミは清掃車で収集され、焼却炉で燃やされ。その灰は一体どこに運ばれるのでしょうか。
2つの物語は丁度同じページで終わりを迎えます。そのラストのページに描かれていたものとは……。
- 著者
- 田島 征三
- 出版日
- 1993-02-05
自然を守るということについて深く考え、子どもと話すきっかけとなる絵本です。
人間が出したゴミによって、山から追いやられ住む場所を奪われた動物たち。逃げることができずに悲痛な叫びで助けを求める動物。その動物たちの姿に心が痛み、自分の生活を顧みると共に、自然を壊さずに生活するということはどういうことなのだろうと深く考えさせられます。
環境問題を子どもとともに考えるというと、難しいイメージがありますが、子どもにとっても身近な動物の様子を知りメッセージを受け取ることで、子どもの心にもすんなりと「自然を守る」という意味が入ってくることでしょう。