大人向け絵本の先駆けともいえるエドワード・ゴーリーの作品は、独特のダークな世界観をもった手強い作品ばかり。奇妙な作品という印象が深くて、苦手かも……という読まず嫌いの人も、この機会に一冊手に取り、ゴーリーの世界の一端を覗いてみては?

この不思議な動物ですが、登場の仕方にもインパクトがあります。
- 著者
- エドワード ゴーリー
- 出版日
絵本の中に死を描くこと、ましてや主人公が死んでしまうという物語は、絵本としてはタブーと言えます。ゴーリーが『不幸な子供』を出版した1961年当時を考えると、この作品を世に出したことは、非常に勇気のいること。絵本は、子どものものであり、子どもの健やかな精神を豊かに育むものであるべき、という考え方は、現在よりも、一般的に浸透していたはずです。
- 著者
- エドワード ゴーリー
- 出版日
内容としては、殺人について描いているのではなく、二人の異常者の一生について、淡々と記録しているような作品。エドワード・ゴーリー自身、イギリスで起きたおぞましい殺人事件について知り、動揺し、事件を理解しようと調べているうちに、どうしても書かずにいられなくなったと述べています。
- 著者
- エドワード・ゴーリー
- 出版日
- 2004-12-21
翻訳者の柴田元幸によるあとがきには、物語の不条理さを紐解くヒントが書かれています。それを読んでから、絵本をもう一度読むと、ゴーリーの一筋縄ではいかないシュールな世界に、さらに深く迷い込むことができるはず。
- 著者
- エドワード ゴーリー
- 出版日
ナンセンスユーモアが好きな人にも、そうでない人にも、一度は読んで、確かめてほしい、ゴーリーの傑作絵本。ぺ―ジをめくると、いきなり、「ひぴてぃ うぃぴてぃ」という文章。たいていの人は、ここで頭の中に?マークが浮かぶはず。文中には、説明が一切ありません。
- 著者
- エドワード・ゴーリー
- 出版日
- 2000-11-02
AからZまで26文字のアルファベット順に構成された「アルファベット・ブック」。ゴーリーの邦訳本第一号です。
AからZまでのアルファベットを頭文字とする名前の子どもたちが、様々な方法で死んでいく様子が1ページずつ描かれています。記述されているのは死んだ方法のみで、理由は一切語られません。そのバックグランドには淡々とした風情が漂っています。
エドワード・ゴーリーの導入にふさわしいゴーリーらしい1冊です。
- 著者
- エドワード ゴーリー
- 出版日
エドワード・ゴーリーは「迷ったら、アルファベットをやる。素材をまとめる上でこんないい手はない」と発言するほど「アルファベット・ブック」を好んでいました。
その言葉通り、ゴーリーの世界が存分に溢れ出ているこのアルファベット本では、短くとてもわかりやすい文章でそれぞれの子どもの死因が描かれています。
「A is for Amy who fell down the stairs(Aはエイミー かいだんおちた)」(『ギャシュリークラムのちびっ子たち』より引用)
直視するのも躊躇われるような、残忍で恐ろしい運命に出会う26人の子供たち。ページから目を背けたい気持ちに反して続きを繰ってしまうのは、ゴーリーの不思議な世界観に魅せられているかれです。
ぜひ、ゴーリーの本を手に取った事のない方はこの本から始めてみてくださいね。
文字が一切出てこない、作画のみで構成された1冊です。
「どこの西棟なのか? いったい何が描かれているのか? すべてが見る者の想像力にゆだねられてしまう とほうもなく怖い作品」(『ウエスト・ウイング』表紙裏より引用)
あなたにはどのようなストーリーが浮かんでくるでしょうか……。
- 著者
- エドワード ゴーリー
- 出版日
- 2002-11-01
作画だけで、とほうもない怖さに身を包まれるような作品。しかしこの作品には具体的にグロテスクなシーンなどは一切登場しません。本に描かれているのはただの西棟(ウエスト・ウイング)です。
上階へとつながる階段、脱ぎ捨てられた靴、開け放たれた扉、自然が描かれた絵画……考えることさえしなければ、単なる絵に過ぎません。しかし1度想像力が膨らみ始めると「なぜこんなところに?」「どうして倒れているの?」「これは何?」と次々と不可解な疑問が湧き溢れ、止められなくなってりまいます。
人によってストーリーが変わる不思議で恐ろしい大人の絵本。ぜひ手に取って何度も読み返してみてくださいね。
5歳にもならないミリセントという少女が誘拐され、虫の生贄となる様を描いたこの物語は、ゴーリーの初期の作品です。
夕刻、一人で公園を出た少女に黒い車が忍び寄って子をさらい、子守についていたはずの女は、藪の中で骸のような状態で発見されます。警察に捜索を依頼するも、その甲斐はなし……。
さて、ミリセントが連れていかれた場所とは一体どこなのでしょう。
- 著者
- エドワード ゴーリー
- 出版日
- 2014-06-10
この物語には幼い少女の誘拐、骸状態の子守の女、など恐ろしさをイメージさせられる状況はありますが、少女を誘拐する虫たちの動きを始め、特に残忍なシーンは描かれていません。ゴーリーの作品の特徴とも言える状況の描写が、ただひたすら描かれているのみです。
しかし、視覚的な恐ろしいシーンが登場しないにも関わらず、背中のあたりからジワジワと広がる恐怖が、読者を襲います。表紙に描かれている4本足の虫もその1つでしょう。見方によっては滑稽にも見える虫。しかし、ゴーリーの描写、作画方法によって何かとても意味のある恐ろしいものに思えてくるのです。
ぜひ本を手に取り、想像力を働かせて読んでみてくださいね。
エドワード・ゴーリーが好んで作成した「アルファベット・ブック」の1冊です。
AからZまでの26種類の想像上の、不思議な動物たちが登場するゴーリー版「幻獣辞典」。ゴーリーらしいシュールな動物から、人間の内面をついたドキッとしてしまうような動物、そしてゴーリーの本には珍しくクスッと笑ってしまうような動物まで、あらゆる想像上の動物たちが登場します。
柴田元幸の和歌のような邦訳と、ゴーリーの韻を踏んだ原文にも注目です。
- 著者
- エドワード・ゴーリー
- 出版日
- 2004-01-22
この本のタイトルにもなっている「まったき」という日本語の意味をご存知でしょうか?「まったき」とは漢字で「全き」、つまり完全で欠けたところのないことを指します。つまり、この本は完全ですべてを網羅している「幻獣辞典」ということになるのです。
そんな完全な動物辞典に描かれた動物たちはというと、見た目がドアのようだったり、植物のようだったり……、そもそも動物に見えないような滑稽なものまで登場します。邦訳されたものと原文の意味が多少違うものもありますので、邦訳、原文の両方を読むことにより2度楽しむことが出来るでしょう。
ゴーリーの作品の中で、他の作品には無い魅力を味わえる貴重な本です。ぜひ気楽に手に取って楽しんでみてくださいね。
信仰心の深い少年の生き方と天に召されるまでを描いた作品です。日本での刊行時に混乱を避けるためエドワード・ゴーリーと統一されましたが、原作は「レジーラ・ダウディ(Regera Dowdy)」の名で発行されました。
敬虔(けいけん)とは神仏につつしんで仕えるさまを指す言葉。そのタイトルの通り、主人公のクランプ坊やはとても信心深い少年です。でも、作画を見てみると、おや?と思う不思議なところもあるようで……。
- 著者
- エドワード ゴーリー
- 出版日
- 2002-09-11
主人公のクランプ坊やは3歳にして自分の心が邪であることを知っています。空を飛ぶカモメを見ては妹に「死んだら鳥のように天に昇る」とも言い、小銭を恵むためにお菓子も食べません。
その一方で、クランプ坊やは手にかなづちを持っていたり、神の名が軽視されている文章を見るや否や、その書物を念入りに塗りつぶしてしまったり……少しストイックで奇妙な少年像も浮かび上がってきます。
結局、病によって短い生涯を終えることとなったクランプ坊やは、どのような少年であったのでしょう。じっくりと作画を眺め、クランプ坊をじっと観察するように読みたくなる1冊です。
穏やかな人柄ではありましたが、変人には違いないエドワード・ゴーリー。どんな人物だったのか、もっと知りたければ『どんどん変に…』というインタヴュー集を読むと、ゴーリーの世界に、さらにハマれると思います。