『この人の閾』で芥川賞を受賞した保坂和志。なんでもない日常に妙に引きつけられる。そんな保坂和志の小説をご紹介。

保坂和志の作品の特徴は、とにかくゆったりとしていることです。特に大きな出来事は起こらず、日々がゆっくり淡々と描かれています。何か特別なことが起こっているわけではなく、ごく普通の日々が書かれているのになぜか引き込まれてしまう、そんな魔力があるのです。
- 著者
- 保坂 和志
- 出版日
まず注目すべきは、保坂和志の持ち味である描写の細やかさです。たとえば、主人公がはじめて会った猫に接近しようとする場面を、保坂は次のように描いています。
- 著者
- 保坂 和志
- 出版日
まず、前作との大きな違いは主人公の行動です。前作ではあまり自分から行動することがなかった「ぼく」でしたが、今作では多少積極的になっていて、恋人のような人物も登場してきます。小説の流れとしては相変わらずゆったりとしていますが、そこに起こる、日常的な小さな小さな変化を過去(前作)と比べてみるととてもおもしろいです。
- 著者
- 保坂 和志
- 出版日
例えば、時事問題に関して、本当は自分自身で考えてみたいけれども知識がなく、どうしても大学教授やメディアに登場してくる論客の言うことを鵜呑みにしてしまうというといった質問に対して、保坂は次のように回答しています。
- 著者
- 保坂 和志
- 出版日
- 2013-04-18
希望がなかったとしても、それでいい。夢やその後に対する期待を持たなければならない、そんな風潮を真に受ける必要はない。大事なのは今現在ここに自分が存在していること、それを肯定することだと保坂和志は言います。書かれた言葉の一つ一つがどれも心に響くものばかりで、これまで腑に落ちなかったことが、すっと落ちていきます。
- 著者
- 保坂 和志
- 出版日
- 2013-10-02
保坂和志の作品は特有の雰囲気を持っていて、一度読むとやみつきになってしまいます。どれもおすすめの1冊です。