人間と動物の共存の難しさを、いもとようこの優しいタッチで描かれる
くまさんがこどもたちに「里におりてはいけないよ」とやさしく話すところから物語が始まります。小さい時にくまさんのお父さんとお母さんは人間につかまってしまい、それきり帰らなくなってしまったのです。その悲しさを経験していたくまさんは、もう誰も失いたくないと思っていました。
「みんなケンカをしないで、仲良くするんだよ。」そういうくまさんの言葉を、りす、うさぎ、きつねの子供たちはよく聞きました。独りぼっちの寂しさを知っているくまさんは、だれも独りぼっちにさせません。
- 著者
- いもと ようこ
- 出版日
昔、山には動物たちがたくさん住んでいましたが、人間が来てから動物たちは山奥に追いやられてしまいました。冬が来る前に、木の実が取れず、やむなくくまさんは、里に降りて行くのです。そして、柿の実を抱えたくまさんに容赦なく鉄砲が放たれ、子供たちのところへ足を引きずりながら倒れこんでしまいます。
子供たちは静かになっていくくまさんのそばで、「ずっとそばにいるよ」と寄り添いました。そして、くまさんも子供たちも静かになり、その上に雪が降り積もって……。そして、神様どうかこの子たちをお守りくださいという、くまさんの思いだけが静寂の中に残ります。
読んだ後に胸が切なくなり、人間と動物の共存を、改めて考えさせられる物語。人間の暮らしがよくなる一方で、山奥に追い出された動物たちは、住むところも食べるものも奪われて、必死に暮らしていることを忘れないようにしたいものです。
いもとようこの優しい動物の絵は、深刻な内容をふんわりと包まれています。しかし、伝えたい本質はしっかりと、私たちの心にずしんと重く伝わってくるでしょう。
愛するご主人様に会えるまで待ち続ける……犬ハチと飼い主の物語
『いとしの犬 ハチ』は、忠犬ハチ公の話を元に作られた創作絵本。飼い主は大学教授の上野先生。毎朝大学へ出勤するために、ハチを連れて渋谷駅まで歩いて行きました。
上野先生を見送ったハチは、夕方先生が帰ってくる頃に、渋谷駅で先生を待ちます。ところが、ある朝渋谷駅まで見送った先生が、出掛けた先で亡くなってしまい……。
そのことを知らないハチは、夕方いつも通り渋谷駅で先生の帰りを待っています。さて、これからハチはどうなるのでしょうか。
- 著者
- いもと ようこ
- 出版日
- 2009-07-30
寝る時も散歩するときも、上野先生と一緒に過ごしていたハチ。ある日、先生が大学へ行ったきり、そのまま帰らぬ人となってしまいました。
ハチは帰ってくるはずの先生を、夕方渋谷駅で待ち続け、次の日も、また次の日も、そのまた次の日も待ち続けます。それを見かねた先生の奥さんが、遠くの親戚にハチを預けました。それでも、すぐに渋谷駅に来てご主人様を待ち続け、何度連れて帰っても、ハチはまた渋谷駅に現れて……。
どんなに遠くに預けても、何日も何日もかけてハチは渋谷駅に。そんな日々が10年も続くのです。10年も経ち、ハチも年をとりました。歩く力も弱ってきた雪の降るある日のこと、上野先生の声が聞こえてきて、ハチは大喜び!
ハチの体には雪が積もり、渋谷駅前に横たわっていました。ハチは、天国で上野先生に会えて幸せそうな表情に。
会えないままで終わるのではなく、絵本では先生と会えて幸せになってお話が終わります。現在でも、渋谷駅にはハチがいて、銅像になったハチは、今でも先生を待っているかのよう。この絵本は、人間と犬の間に生まれた絆の強さに感動する物語です。
いもとようこが描く、赤ちゃんのための絵本
『いないいないばあ』は、赤ちゃんのための絵本シリーズのうちの1冊。『いないいないばあ』は3種類あり、ねこ、桶に入ったぶた、カンガルーがそれぞれの表紙になっています。
赤ちゃんが大好きな、いないいないばあの遊びは、いつの時代になっても変わらず定番のもの。「ねこさんが、いないいない」と書かれた見開きのページには、ねこさんが両手で目を隠しています。そして次は「ばあ」と、両手を広げたニコニコ笑顔のねこさん。次々にいろんな動物が出てきて……。
- 著者
- いもとようこ
- 出版日
- 1993-04-07
絵本のサイズが、約20×17cmと赤ちゃんが見やすいサイズ。ばあ!と勢いよく次のページをめくると、動物の顔が出てきて、赤ちゃんも大喜びです。結末が分かっていても、何度も何度も読んでとせがまれるでしょう。
同じことの繰り返しは、赤ちゃんにとって最高の遊び!この絵本は、破れにくい厚さになっているので、何度でも開いて安心して、楽しむことができます。
いもとようこが描く優しいタッチの動物は、赤ちゃんも優しく包んでくれる温かさがあります。まるで、お母さんの優しさに包まれるよう。親子で過ごす楽しいひとときに家に1冊は置いておきたい絵本です。