5位 イギリス版『美女と野獣』
貴族でありながら浪費家で、経済破綻している両親と、美しい妹たちを持つ本好きのマデリンが主人公の物語。彼女は書店で仲良くなった老人から「自分は花嫁世話人であり、城主の花嫁を探しているのだ」と打ち明けられます。
細密画に描かれた城主に一目惚れしたマデリンは、会ったこともない城主アナトールと結婚することを承諾して結納金を受け取り、断崖絶壁の城に暮らす彼のもとに向かいます。しかし、実際に彼女を迎えたのは画とは似ても似つかない、逞しく粗野な印象の男性でした。
更に、アナトールの一族とその城には、ロンドン育ちで理論派のマデリンには想像もつかない秘密が隠されていたのです。
- 著者
- スーザン・キャロル
- 出版日
- 2008-07-19
『魔法の夜に囚われて』は一見、『美女と野獣』と似た作品に思えます。しかし、単に恐ろしい外見で忌み嫌われ、優しい娘の心に救われるというわかりやすい内容ではありません。城主一族が持つ能力がそれぞれ違っており、また能力を持たない者もいるところから、アナトールの苦悩は深まり、より奥行きのある内容になっています。
そして、ヒロインのマデリンもまた、本好きで優しいだけの女性ではありません。理論武装し、気になることは納得するまで質問しないと気がすまない性格なのです。本人も自覚するとおり、女性としてはなかなか可愛らしいとはいわれない性格ですが、これが彼女の強さになり、結果としてアナトールの心を溶かす一因となります。
力強く粗野に見えるアナトールの、少年のような傷つきやすい心、そして理屈が第一になってしまうがゆえのマデリンの弱さをそれぞれが認め、互いにさらけ出した時、2人の間には本当の愛が生まれるのでした。
この作品は、一族の宿敵であり、絶滅したはずのモートメインの復讐劇や、アナトールの先祖で悪しき魔法使いプロスペローのいたずらなどが絡み、単なる恋愛物語では終わりません。ファンタスティックでハラハラする物語になっており、様々な面から楽しむことができるでしょう。
4位 すべてを持つ男と何も持たない女
主人公のグレイシー・スノーは、両親の経営する老人ホームで働いてきましたが、一念発起して映画配給会社に就職しました。彼女はそこで、自らの故郷テラローザで撮影する映画への出演契約をしながら、期日通りに現場入りしない元フットボール選手のボビー・トムを連れてくるよう、社命を受けます。
女好きで軽口ばかり叩くボビー・トムに手を焼きつつも、惹かれていくグレイシー。ボビー・トムもまた、四角四面で融通の利かない彼女を初めは疎ましく思いながらも、徐々に気になってくるのでした。
- 著者
- スーザン・E. フィリップス
- 出版日
かたや富も名誉も手に入れた色男、かたや失職し貧相な体つきにセンスのない外見の30歳の処女。『ロマンティック・ヘヴン』は正反対の男女が次第に惹かれあっていくさまを描いています。
グレイシーはボビー・トムが今まで付き合ってきた女性とは違い、男性に服や装飾品を買ってもらうことを良しとしません。自分の仕事を全うすることに全力を傾ける女性です。
読者もボビー・トムと一緒に、はじめは真面目過ぎるグレイシーにびっくりするかもしれませんが、読み進めるうちに色男の軽口に全力で応戦するグレイシーが可愛らしく思えてくることでしょう。
作品の見どころは2人の関係の変化だけではありません。テラローザの活性のために、町から撤退しようとする企業を止めに入るボビー・トムの母スージーたちの活動、未亡人であるスージーの葛藤や、嫌われ者のソーヤーの過去が明かされるなど、目が離せなくなります。
何より、ボビー・トムとグレイシーのちょっとずれた会話が可笑しい!笑いながらホロリとしたりホッとしたりと最後まで楽しく読める作品です。
3位 危険な男性に守られるスリルと快感
優秀で美しいインテリアデザイナー、スザンヌのビルの借り手として現れたのは、戦闘の名残をとどめ危険なオスの匂いをプンプンさせたジョン。出会ったその日に夕食を共にし、激しく体を交わした二人ですが、このまま愛を深められるかと思いきや、スザンヌのもとに本物の刺客がやってきます。
身を挺して彼女を守るジョン。二人は逃避行しながら愛を深め、なぜスザンヌが狙われることになったのか、真相を確かめることになります。
- 著者
- リサ・マリー ライス
- 出版日
強くて自信に満ち溢れ、少し陰がある男。ほとんどの女性が興味をかきたてられてしまう男性が出てくる、王道のロマンスです。
ジョンはただ腕っぷしが強いだけでなく、元海軍の特殊部隊SEALにいたこともあって様々な能力を磨いており、機械にも強い。そんな男性が全身全霊をかけて自分を守ってくれるという、まるで青春時代の憧れを体現したような物語です。
スザンヌの所持品やレストランの描写もおしゃれで、読んでいて嬉しくなります。潜伏先でも、自分なりのセンスで居心地の良い場所に変えていく、スザンヌのデザイナー魂には脱帽です。
そして、平穏な日々を送っていた一市民であるスザンヌが、なぜ本格的な刺客に狙われることになったのか?2人は無事に危機を乗り越え、その後も愛を育んでいけるのか?ロマンスにスリルの要素が加わり、ドキドキが止まらない1冊です。