妖怪好きとしてあまりに有名な作家・京極夏彦。デビュー作『姑獲鳥の夏』を読んだ時の衝撃は今でも忘れられませんが、彼の作品は何も妖怪が出てくるものばかりではないんです。妖怪作家が描き出す珠玉の物語、おすすめの10選を集めてみました。

「二十箇月もの間子供を身籠っていることができると思うか」という冒頭部分の関口君の台詞が目に入った瞬間、もうこの物語から抜け出せなくなってしまいます。赤子が生まれるには「十月十日」と言われるように、二十箇月もお腹にいれば母子ともに無事ではいられません。さらに重ねて京極堂が言います。「この世には不思議なことなど何もないのだよ」。はい、これで京極ワールドにどっぷりはまってしまいます。さらに、憑き物落としに向かう京極堂の姿の描写ったら、格好いいのひと言ですよ。
- 著者
- 京極 夏彦
- 出版日
- 1998-09-14
江戸の困りごとや復讐を金で請け負う……まるでどこかの時代劇を彷彿とさせますが、そこはやっぱり京極夏彦らしく、「妖怪のしわざ」にして解決する、というのが何とも痛快です。
- 著者
- 京極 夏彦
- 出版日
「お岩さん」の物語を下敷きに京極夏彦流のアレンジを加えていますが、これはホラーではありません。むしろ純愛を描いた悲恋小説に近いのではないでしょうか。
- 著者
- 京極 夏彦
- 出版日
人間同士の繋がりのほとんどが、端末で行われるようになっている近未来を舞台にしたSFミステリ小説である本作には、無機質で均一化された世界から、リアルな現実世界へ飛び出していく少女たちの姿が描かれています。加えて、「美少女同士の友情」「謎の組織とのバトル」という漫画的要素を盛り込んでいるので、物語にメリハリがついて非常に読みやすいです。
- 著者
- 京極 夏彦
- 出版日
- 2011-09-15
「地響きがする―と思っていただきたい」という一文から始まる7編の短編による連作です。すべてに力士が出てきて、それぞれの話の本筋に何らかの形で作用しているという設定と、各作家陣のベストセラー小説がパロディで楽しめるという画期的な構成で読み応えたっぷりです。「すべてがデブになる」っていうタイトル、想像するだけで嫌すぎて面白いです。
- 著者
- 京極 夏彦
- 出版日
「異なるもの」「怪奇なもの」を描き出すことを得意とする京極夏彦が「厭」なものについて書くのだから、それはもうめちゃくちゃに「厭」なんだろうという想像を裏切らない「厭」のオンパレードです。
- 著者
- 京極 夏彦
- 出版日
- 2012-09-01
京極夏彦が、柳田國男を幼少から読んでいたというのはファンには有名な話ですが、そんな彼が、そもそもからして面白い名著『遠野物語』を「リミックス」するというのだから、本作が面白くないはずはないんです。
- 著者
- ["京極 夏彦", "柳田 國男"]
- 出版日
- 2014-06-20
同じ「妖怪」が登場する物語とはいえ、作品全体の軽やかさが違います。「妖怪について」「妖怪とは何か」については、他の作品でもさんざん解説されていますが、同じ観念でもまるで落語や講談のような軽妙な語り口ですらすらと読み進めることができるでしょう。
- 著者
- 京極 夏彦
- 出版日
- 2010-10-23
ひと言でいうと、暗いです。おどろおどろしい妖怪的な暗さではなく、人間の心の昏さを全面に出してまとめたような暗さが漂っています。その暗さに身に覚えがあるのは、日常に不満をもちつつも変化を恐れる登場人物たちが自分と重なるからかもしれません。だからこそ、ケンヤの「死ねばいいのに」という言葉が突き刺さるのです。
- 著者
- 京極 夏彦
- 出版日
- 2012-11-15
あの頃、そんなこともあったなぁと懐かしくてちょっぴり切なくなる、だけど究極にバカバカしい物語です。主人公の内本健吾は小学6年生ですから、まだまだひよっこです。しかし、小学生には小学生なりの世界がありコミュニティの中での処世術があります。本作では、その処世術として「嘘」が使用されています。嘘というよりは、屁理屈に近いものがあるかもしれません。
- 著者
- 京極 夏彦
- 出版日
- 2014-09-19
妖怪小説家としてあまりに有名な京極夏彦ですが、妖怪ばっかり描いているわけではないんです。分厚い書籍に面食らうこともありますが、京極作品の魅力はその分厚さすら気にならない圧倒的な筆力にあります。気になった作品があったら、一度手に取ってみてください。気づくときっと、京極ワールドの虜になっているはずですよ。