5位:豪華共演にわくわくが止まらない、ファンタジーの真髄
まずは第5位、『RPF レッドドラゴン』。こちらはシナリオを三田誠が担当し、虚淵玄、奈須きのこら豪華作家陣がプレイヤーとして参加しています。
ドナティアと黄爛という2大強国が冷戦状態となる中、島国ニル・カムイで突如「赤の竜」が発狂します。事態を収めるため、各国より派遣されたのは武装僧侶、黒竜騎士、奴隷、ニル・カムイ統治者の末裔。それぞれの国の思惑を受ける中出会った一行は同道することとなりますが、最中にてメンバーに離反や新たな出会いもあり……。
- 著者
- ["三田 誠", "虚淵 玄", "奈須 きのこ", "紅玉 いづき", "しまどりる", "成田 良悟"]
- 出版日
- 2015-01-09
形式は、簡単に言えば、プレイヤー達が共通のシステム・世界で行うゲーム(選択やステータス、戦闘結果でシナリオが分岐します)を、リアルタイム風に文字化したものです。詳しくはぜひ、TRPGの名前からお調べいただくとして、ここではこちらの書籍の魅力をご紹介しましょう。
それはなんといっても「キャラクター」と「臨場感」です。多くは、”キャラクター名”+「台詞」の形式で綴られるため、やり取りが非常に生き生きしています。台詞の合間に、プレイヤーの「こんなこと言ってる(笑)」というような感想も混じっていて、まるで役者さんと一緒にその出演作品を観てコメントしてもらっているような、にやにやする臨場感があります。
ファンタジーといえば読み慣れない単語の羅列で眠たくなる!そんな方には意外と楽しく読み進められるのではないでしょうか。全六夜ですが、概ね衝撃の展開が続きます。始めてしまったら、やめられなくなってしまうかも……。
4位:雰囲気ミステリー、その実は内面人間ドラマを描き出す
4位は『幻人ダンテ』。三田誠のラノベとしては珍しい新書版、内容も他紹介作品に比べてやや暗めで地味目。ライトノベル然とした作品がお好きな方には、賛否の分かれる世界観かもしれません。
女探偵しじまが記憶を失った男を道端で拾うところから、物語が始まります。しじまが追うのは、ダンテと呼ばれる変幻自在の怪人。しじまにあお、と名付けられた男は共にダンテを追うことになります。しじまが過去に関わった「薔薇城事件」の影も刺しつつ、人間関係が描かれます。
- 著者
- 三田 誠
- 出版日
- 2010-02-05
三田誠作品は健全な女子・男子が出会って始まるコメディー冒険活劇(時々魔法)だけじゃない!この作品、なんだかじわっと「あれ、好きかもしれない」と読者を恋に落とすラノベなのです。
女探偵のすっとぼけキャラクターは三田誠作品らしい楽しさですが、二人共に追う「幻人ダンテ」は自在に容姿を変えられるという怪人。怪人の正体を追うミステリーもの、とも読めますが掘り下げたいのはなんといっても人間というものの本質、とも言えます。
探偵に同行する男には記憶がなく、ダンテは本質を掴ませないよう外面を変質させる。鮮やかな変質は賞賛すべきか、では人間の本質とは何なのか?ストーリーを追うごとに堆積する、根源への問いかけがこのラノベのじんわり染み込む魅力ではないでしょうか。
3位:ちょっとダークな世界で、非日常のワルが活躍
3位は『イスカリオテ』。詳しい方はタイトルだけでピンと来るかもしれませんが、宗教モチーフのある、ややダークなバトルファンタジーラノベです。
英雄であった兄が死に、1年間その身代わりを請われる主人公、イザヤ。断罪衣「イスカリオテ」を使い、七つの大罪を具現化した獣が現れる都市で戦いに身を投じていく……兄を取り巻く人々と少女の形をした兵器・ノウェムと共に、最後に彼が成し遂げる奇跡とは。
- 著者
- 三田 誠
- 出版日
- 2008-11-10
そもそもこの主人公、牢獄からニセモノになりきることを依頼されての冒頭ですから、清く正しいヒーローではありません。それでも明るく楽しいばかりではない、罪に満ちた世界であることがこの作品最大の魅力です。
キリスト教において、裏切りのユダは「イスカリオテのユダ」とも称されます。都市やその存在意義、聖人など設定が非常に作りこまれています。あらすじだけを見ても突拍子もないと思えるのに、読んでみるとまるで歴史書のようです。
こういった描写の綿密で、かつスピード感を失わない所はさすが、三田誠!というところです。アクションの隙間に入り込む主人公の葛藤。ハードボイルドやワルがお好きなあなたに、是非おすすめしたいラノべです。