『ぼくらの七日間戦争』でお馴染みの宗田理は、学校が舞台の作品を何冊も書かれています。「学校」という場所の存在意義や「大人」の不条理を問い正す挑戦的な作風はインパクトがあり、学生さんはもちろん、大人の方にも読んでいただきたい作品ばかりです。

青春小説の要素も含まれていますが、本作は学園ミステリーととらえた方が正確でしょう。
主人公は駆け出しの女性教師・本間美幸。2年1組の副担任です。担当している2年1組は問題児ばかりを集めたクラス。そのクラスである日、いじめを理由に学生が自殺してしまいます。
その自殺に疑問を抱いたのが問題児・須藤朗。今ひとつきまらない新米女性教師と、切れ者の問題児中学生のコンビが自殺の謎を追っていきます。
- 著者
- 宗田 理
- 出版日
- 2008-08-25
本作で取り上げられているテーマは「いじめ」「マスコミの過激化」「不倫」。表紙の雰囲気とは裏腹に、とても重く、ドロドロとしたテーマです。いじめられていた子が不登校となり、いじめを行っていた主犯格がクラスのスケープゴートとして次のいじめのターゲットになるなど、いじめの発端・いじめの内容がとてもリアル。子供同士の人付き合い、大人同士の駆け引き、大人・子供それぞれの社会の闇を描いています。
事件が起きてしまった際の学校側の対応やマスコミの様子は、読んでいると空恐ろしいものを感じるでしょう。やわらかい文章ではあるものの、学校という一種の閉鎖空間内で起こる問題の深刻さが見事に表現されています。
しかしそれでも、クラスの問題児達が事件を通して1つにまとまっていく様子が描かれていますので、読後の痛快さはなくなりません。主人公の教師と問題児といったお決まりのコンビも、読者にとって心地良いものとなっています。お決まりとはいえ、本書の探偵役である問題児は主役ではなく、その傍観者である教師が主役という新しい切り口も含まれていますので、新鮮な気持ちで読み進めることができます。
現実世界での問題を取り上げているため、読み終えた時にモヤモヤした気分を抱える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、主人公である教師の視点を通して、少年少女の青春を優しい気持ちで読むことのできる1冊となっています。
大変重たく、苦しい宗田理の作品です。一途な教師が心に闇を抱えた生徒と懸命に向き合う日々に、息が詰まりそうになります。その過酷さは同僚の教師とのやり取りにも如実に表れています。
- 著者
- 宗田 理
- 出版日
『13歳の黙示録』とは対照的な小説です。こんなに軽やかな作品も創り出せるとは、宗田理の発想の豊かさに舌を巻きます。「マミー」がいてくれれば、どんな学校でも毎日通うのが楽しみになること間違いなしです。「マミー」の特徴が出ているクラスメイトからの質問をひとつ紹介させてください。
- 著者
- 宗田 理
- 出版日
宗田理の本シリーズは子どもが読むことが念頭に置かれており、キャラクター設定が明確です。主人公の前川有季はロンドンからの帰国子女で自由で勇ましく、頭の回転が速い可愛い女子です。相棒の足田貢は優しい男子で気が弱い部分もありますが、運動神経が良く有季を支えることにやりがいを感じています。何となく、シャーロックホームズとワトソンの関係を思い起こさせます。
- 著者
- 宗田 理
- 出版日
- 2013-06-18
本作は2003年に小沢征悦主演で映画化されています。ここに紹介している5冊のなかで、最も柔らかな光に包まれている印象を受けます。蛍の光そのものです。山口の方言が使われているのも大きいと思われます。
- 著者
- 宗田 理
- 出版日
子ども版「水戸黄門」のような世界です。悪を懲らしめ、弱きを助ける姿はヒーローそのもの。
- 著者
- 宗田 理
- 出版日
- 2009-03-03
1928年生まれとは思えない、若々しい感性で紡ぎあげられた作品ばかりです。誰もが経験する「学校」という場所は、これから社会を担っていく子どもたちが社会に出る前に多くの時間を過ごす大切な場所です。そんな「学校」を取り上げた作品に触れて、自分自身のこと、子どもたちのことに思いを馳せる時間も素晴らしいものだと思います。