激しく若い時代を駆け抜けた若き詩人、アルチュール・ランボー
若さと情熱さがあふれる詩からアルチュール・ランボーは早熟の天才と呼ばれていました。抽象的な概念をイメージとして表現する象徴派を代表する詩人です。散文的な詩なので読みやすいという特徴もあります。その熱情あふれる作風と同じく、ランボーの人生は壮絶なものでした。
1854年にフランス北東部アルデンヌ県で生まれたアルチュール・ランボーは、軍人の父と地主の娘を母に持つ、比較的恵まれた環境で育ちました。しかし16歳の頃から家出を繰り返しては、逮捕や保護を受けて家に帰される生活を送る中で詩人のポール・ヴェルレーヌと出会い、人生は大きく変わるのでした。
出会いをきっかけにヴェルレーヌと愛人関係になったランボーは、彼とベルギーやイギリスなどを放浪しています。同じく象徴派の詩人だったヴェルレーヌとの経験から、詩の才能を育んでいきました。しかし口論の末にヴェルレーヌに左手首を打たれてその関係は終わっています。
ランボーはヴェルレーヌと出会った16歳の頃から嵐のように詩を書き続けましたが、20歳の誕生日を過ぎた頃から突然詩を書くのを止めてしまいます。その後は軍人に商社マンと職を転々とし、1891年に骨肉腫を患い右足を切断しますが時すでに遅く、体中に転移した癌によって37年という短い生涯の幕を閉じました。
旅を通して見た地獄を綴った詩集
『地獄の季節』は アルチュール・ランボーが若くして書き記した詩の数々が載っています。家出し、ポール・ヴェルレーヌ出会い、ふたりで旅をしていた間に書き続けた詩集です。
- 著者
- ランボオ
- 出版日
本書にはランボーが作家であることを自覚し、技術をものにしようとしていた試みが見られます。たとえば「母音の色」の項では母音に使われるアルファベットを色に当てはめて、詩のイメージに関連付けようとしていました。Aは黒、Eは白、Iは赤、Uは緑、Oは青といった具合に。こうした詩人独特のシナスタジアに似た感覚に触れることができます。
視覚的イメージを楽しめるのもアルチュール・ランボーの特徴です。同じく「母音の色」からですが、黒いコルセット、とがった氷の槍、震えるオンベルの花など、視覚的イメージに変換しながら読み進めると、より解釈の世界が広がる彼の代表作のひとつです。
若き詩人が残した未完の集大成
『イリュミナシオン―ランボオ詩集』は散文詩によって書かれたランボーによる詩集です。これまでに多くの研究がなされていますが、掲載されている詩がいつどのようにして書かれたなど判明していないことが多くあります。未完の詩集ですが、世界中で多くの人に読まれている詩集です。
- 著者
- アルチュール ランボオ
- 出版日
この詩集は何度も色々な解釈で出版されています。詩の順番に関してもバラバラなのですが、巻頭に「洪水の後」という詩がくるのは、すべてのヴァージョンの『イリュミナシオン』に共通しています。「洪水の後」は動物たちが人間のように暮らす不思議な内容になっています。そんな日常の中に暗示的な言葉が書き連ねられており、イメージ化すると魅力が増す作品です。
「ヴァガボンド」という作品にはヴェルレーヌとの関係性について書かれています。この詩には兄貴という言葉が度々出てきており、その兄貴をどうにかしなくてはと「俺」は語っているのです。ランボーの兄貴分だったヴェルレーヌですが、精神的にはランボーのほうが上だったことがうかがえます