3位:悲恋に憑依する!初期銀色夏生の魅力
三冊目はふたたび詩集ですが、今度は比較的初期の作品。『君のそばで会おう』は、1989年に出ています。もっとも売れた詩集であり、銀色夏生の代表作のひとつと言っていいでしょう。
- 著者
- 銀色 夏生
- 出版日
『ひとりが好きなあなたへ』に比べると、読み手を励ますメッセージより、うまくいかない恋をするさまざまな女性になりきって歌う詩が並びます。
「すこし遅れた時に私が あなたをつめたいと思い
すこし遅れた時にあなたが 私を気紛れだと言った
私たちは結ばれない恋だった それをどうすることもできなかった」
(君のそばで会おう』より引用)
この詩集には男性の立場から歌った詩もあり、初期の銀色夏生が、恋愛の当事者に憑依するようにしてせつない恋愛心理を歌う詩人だったことがわかります。それは、彼女のもうひとつの職業である作詞の仕事(大沢誉志幸のヒット曲「そして僕は途方に暮れる」などを作詞しています)で身につけたスキルなのかもしれません。
「いろんなところへ行ってきて
いろんな夢を見ておいで
そして最後に
君のそばで会おう」
(『君のそばで会おう』より引用)
遠距離恋愛をしていた多くの女性が、この言葉に励まされたと語っています。
銀色夏生の作品をお得に読む
2位:今を生きやすく!力強いメッセージに溢れた名言集
女性の心の悩みに寄り添ってきた銀色夏生は、本人も恋多き女性であり、数度の離婚を経て二児を育てるたくましい母親でもあります。そしてそういった人生行路を、隠すことなくあけすけに語る女性でもあるのです。
その記録が、2017年2月時点で、なんと30巻も出ている長編エッセイ「つれづれノート」シリーズです。
ですがこの「つれづれノート」シリーズ、何せびっくりするほどの量があります。いまはちょっと時間が……という人におすすめしたいのが、『今を生きやすく つれづれノート言葉集』です。
- 著者
- 銀色 夏生
- 出版日
- 2014-05-24
銀色夏生は憑依型の恋愛詩人から、心の悩みに励ましを送る詩人に少しずつ変わってきたわけですが、その軌跡の中で生まれたものが、メッセージとしてシンプルな形でまとめられたのがこの本だといえるでしょう。
今を生きやすく、というのは彼女の生涯のテーマといってよく、そのことについて考え続けてきた言葉には、読者の心をリセットする力があるようです。
「人と自分は違う。徹底的に違うのだということをもっと冷静に見つめれば、他人へ要求することの不毛さを感じると思う。そして、自分へ要求することの豊かさも。」
(『今を生きやすく つれづれノート言葉集』より引用)
銀色夏生のファン向けの本というのにとどまらず、行き詰りを感じている人が手に取れば、なにかしら心が動く一冊だと思います。
1位:人生まるごと記録した銀色夏生の大長編エッセイ
そして最後に、『今を生きやすく つれづれノート言葉集』の元ネタ、「つれづれノート」シリーズ本編です。
- 著者
- 銀色 夏生
- 出版日
山あり谷あり、笑いありドジあり、痴話喧嘩も別れも全部書いてしまう率直さがたいへん面白く、読みだしたら止まりません。銀色夏生の本を読んできた人ならなおさら、あの詩やこの詩、ナミコやミタカくんの面影を彼女本人や彼女の家族に見いだして、ニヤニヤしたり心配したりしたくなるでしょう。
「つれづれノート」シリーズはいまも書き続けられており、2017年3月25日には、31冊目にあたる『心をまっさらに、さらし期』が出版されます。
銀色夏生の作品をお得に読む