普遍的な生のテーマを描く作家、パウロ・コエーリョとは
パウロ・コエーリョは1947年にブラジルのリオデジャネイロに生まれた作家です。作家と知られる以前は、ブラジル国内のポップスの作詞家として名声を得ていました。
その後ジャーナリスト、TV脚本家として活躍をした後、小説を書く決心をします。そして自らの巡礼の経験を小説化したのがデビュー作『星の巡礼』。ただこの処女作はあまり成功したとは言えず、コエーリョの名前を不動のものにしたのはこの巡礼の道と同じ名前の主人公の冒険を描いた『アルケミスト』です。
近年スキャンダラスなテーマにも積極的に取り組んでいるコエーリョですが、基本的に彼の小説のテーマは全ての人の心の中にある子供、あらゆる種類の愛、そして再生なのです。
今回は、彼の初期の4作品を通してコエーリョの「魂の旅」を紹介します。
パウロ・コエーリョのデビュー作
パウロ・コエーリョにとって小説家になると決心するにあたり、この道を通り、聖ヤコブの祝福を受けることは、重要な意味を持つことでした。この道とはスペイン北部の巡礼道、サンチャゴへの道のことです。そしてその道を彼が禊ながら歩き、産み出されたのが本作『星の巡礼』。
コエーリョ(本文中では私)はひとりのミステリアスなガイドと共に彼が指導する「RAMの修業」を実践しながら旅を進めていきます。そしてこの修行によりコエーリョは艱難辛苦のこの旅で、現実とも、非現実ともつかない不思議な経験をすることになるのです。
- 著者
- パウロ・コエーリョ
- 出版日
毎年世界中から、何十日もかけて、日に照らされ、雨にぬれ、足を引きずりながら、ひたすら歩き続ける人々がこの道を訪れます。目的地はサンチャゴ・デ・コンポステーラの大聖堂。そしてコエーリョにとってこの巡礼の経験は、その後の創作活動の隅々にまで影響を与えるものになります。
日々仕事を抱える社会人にとって何十日もかかる巡礼は実行不可能な贅沢です。そんな贅沢な体験がこの本を読むと擬似的に体験できます。スピリチュアルな旅は現実の世界を離れた不思議な現象を読者に届けてくれます。
パウロ・コエーリョの代表作!夢を叶えるという権利
コエーリョは旅好きが高じて、羊飼いとなったサンチャゴ青年をほとんどすべて知り尽くしてしまったアンダルシアの地から離れて、未知の世界へと旅立たせます。そこで異なる言語、様々な人々、初めて体験する気候、風土、習慣、危機、などと出合いながら夢を追い続けるのです。『アルケミスト』はそんなストーリー。
そんなサンチャゴ青年の最終目的地はエジプトのピラミッド。でもそこへたどり着くためにはアフリカの砂漠を超えなければなりません。さらにどうしても不老不死の薬を発見した有名なアラブ人のアルケミストの助けを借りる必要があります。しかしそのために旅は次第に困難になっていくのです。
- 著者
- パウロ コエーリョ
- 出版日
サンチャゴ青年はその困難を乗り越えるためにどのような知恵を絞って自分の夢を実現させるのでしょうか。
意外な展開で終わる結末は「夢をかなえられるのは選ばれた少数の人々ではなく、すべての夢追い人に与えられた権利なのだ。」という言葉を表しているようなもの。
「一人の人間が実際に何かを望むとき、その夢をかなえるために全宇宙が手を結ぶ。」(『アルケミスト』より引用)
そしてこれこそが本作のテーマと言えるでしょう。つまり、本気で夢をかなえようと一生懸命な人には必ず強力な後押しがあるということです。
旅の過程で成長してゆくサンチャゴ青年の姿は、夢を実現させるためのヒントを読者に与えてくれるはずです。