あの頃は良かった、なんて歳をとってから思う時代の一つに、高校時代があります。将来の夢も不安もいっぱいあって、だけど若さの勢いで、色んなことが許される。そんな高校生の読者に、手に取ってほしい青春小説を紹介します 。

誰かに言われた一言が人生を変える、なんて小説だけの出来事のようですが、長い人生を過ごしてくると、そういえば、あのときに聞いたあの一言が印象に残ってるな、と思われる瞬間が、実は現実社会にもあったりするのです。言われたそのときは、そんな風に思わなくても。
- 著者
- 平田 オリザ
- 出版日
- 2014-12-12
もちろん、男女間の色恋沙汰の話も織り交ぜられていて、好きになった誰かが、また違う誰かを好きになって……という高校生ならではの恋愛話も楽しめます。
- 著者
- 越谷 オサム
- 出版日
事件のきっかけが吹奏楽部に勧誘するために起こるものが多く、その辺りがこの物語の特徴と言えるかもしれません。見た目も頭も良いハルタが事件を解決していく様子は、少し強引な部分もありますが、高校生が主人公という見方をすれば楽しめると思います。
- 著者
- 初野 晴
- 出版日
- 2010-07-24
せっかくのバンド活動も音楽を聴くことにストイックで、辞めてしまうアザミは、この年代ならではの潔さを持っている女の子です。とはいえ、辞めて他にやりたいことが見つかるわけでもなく、卒業後の進路に必死になるわけでもない様子が、実にリアルな高校生に見えます。
- 著者
- 津村 記久子
- 出版日
- 2011-06-23
各章、主人公が変わって、それぞれの視点で語られていくのも、今作の面白いところ。まるで、その人に乗り移ったような気持ちで読み進めていくことができるのは、ちょっと他人の心を覗き見できたような感覚です。
- 著者
- 森谷 明子
- 出版日
- 2015-05-20
主人公の神谷新二は、高校のスポーツテストで友人の一ノ瀬連の走りに感銘を受け、陸上部に入部します。陸上初心者の新二にとって、毎日の練習やレースなど全てが刺激的。立ちはだかる強敵や頼れるたくさんの仲間たちと出会いながら成長していきます。
本屋大賞、吉川英治文学新人賞を受賞、ドラマ化もされるなど非常に評価の高い作品です。
- 著者
- 佐藤 多佳子
- 出版日
- 2009-07-15
陸上部へ入部した新二ですが、彼の周りには能力の高い選手ばかり登場します。不器用な新二は、自分の力のなさに失望しながらも、前を向いて努力を続け成長を遂げていきます。
そんな彼の原動力となっているのが、走ることの楽しさ。トラックを走れる喜びや感動が、リアルな感情で表現されており、グラウンドの熱気が読んでいるこちらにまで伝わってきます。
自分と他人を比較して打ちひしがれるのは誰しも経験すること。そんな時に大切なのは、決してあきらめることなく、逃げずに正面から向き合うことではないでしょうか。若さに任せた溢れんばかりのエネルギーを、新二の姿から感じることができます。ときに挫折しそうになりながらも、陸上と向き合い走り続ける新二の姿にパワーをもらいましょう!
大代台高校野球部のエース、「レブン」の持ち味はとびきり速いストレート。しかし、アレルギー体質で乾燥肌という弱点を持っています。そんなレブンを中心に、超理論派監督「ゴキゲン」、ムードメーカーの頼れる主砲「ミスター」など個性豊かなメンバーがそろい、万年1回戦負けのチームに希望の光が見え始めます。
送りバント禁止、猛練習より猛ミーティングなど、ユニークな強化プロセスも目白押しです。そして、突然思いがけない別れもあり……。セオリー破りの練習、戦術と全員野球で、悲願の甲子園初出場を目指します。
- 著者
- 須藤 靖貴
- 出版日
- 2014-03-14
仲間と共に甲子園を目指すという、王道の高校野球物語だと思ったら大間違い。監督の「ゴキゲン」は一風変わった視点から野球について考えており、監督らしからぬ独特な雰囲気を醸し出しています。そして、エースのレブンは剛速球を投げるピッチャーなのに、乾燥肌という弱点持ち。どこか憎めないウィークポイントやこだわりの数々に、読んでいる私たちも思わず突っ込みたくなるでしょう。
しかし、彼らの成長していく姿は確かなものです。数多く訪れるピンチも、仲間とともに話し合い、自分たちの答えを見つけ出していきます。自分の思いや仲間の思い、すべてを共有できれば一枚岩の強いチームワークが生まれますよね。読み進めるにつれ、レブンたちの仲間になったような感覚が生まれてくるでしょう。
当たり前を疑い、物事の本質を掴むことの大切さ、そして全力で立ち向かっていくことの素晴らしさを教えてくれるこの作品。最高に熱い夏を、レブンたちと一緒に過ごしてみませんか?
高校ではサッカー部に入部することに決めていた春彦。しかし、入学先の高校にはサッカー部自体が存在していませんでした。部の創設を目指し、仲間と共に同好会を作ります。
そこに現れたのは、足の不自由な生徒、八千草。抜群のコーチ力を持つ彼を中心に、春彦たちは練習に取り組んでいきます。果たして春彦たちは、サッカー部として認められるのか?サッカーを愛する高校生の姿が鮮やかに描かれています。
- 著者
- はらだ みずき
- 出版日
- 2015-08-25
語り手は、大人になりサッカーライターとなった春彦です。仕事はほとんどなく、家族にも半ば諦められ、人生に疲れていて何ともえない哀愁が漂っています。
鮮やかな青春とは真逆の春彦の現実が、まざまざと描かれており、そのギャップが青春時代の輝きを引き立たせているとも言えるでしょう。
懐かしい時代は過去のものとなっていきますが、当時の熱い気持ちは決して色あせるものではありません。そして時に、その輝かしい想い出が、止まってしまった時間を動かしてくれる原動力ともなりうるのです。
すがるような想いで「サッカーの神様」を探し始めた春彦。その行動は、一見不可解で哀れに見えるかもしれません。しかし、どんなにかっこわるくても、懸命な想いは裏切らないことを私たちに伝えてくれます。
勝敗にこだわる剣道エリート磯山香織と、日本舞踊から転身した異色の経歴を持つ西荻早苗。中学生最後の試合で対決し、早苗が偶然にも香織に勝利してしまうところから物語は始まります。
同じ高校に進学することになった2人ですが、剣道に対する考え方は真逆です。勝利至上主義の香織に対して、楽しむことを大切にする早苗。お互いの価値観がぶつかり合い、最初は衝突を繰り返します。
- 著者
- 誉田 哲也
- 出版日
- 2010-02-10
2人の性格は真逆です。香織は、愛読書が宮本武蔵の「五輪書」というほどの剣道オタクで強気。一方の早苗は、少しおとなしめの普通の女子高生です。
衝突を繰り返していた2人の関係も、月日を重ねるごとに変化していきます。剣道とは何なのか迷いはじめる香織と、そんな彼女とは対照的に成長を続ける早苗。それぞれの形で剣道を愛する2人が、徐々に最高の仲間へと変わっていきます。
香織と早苗は、お互いがお互いの力となって背中を押しあっているような関係性です。迷いながらも、まっすぐにそれぞれの「剣の道」を進む姿が、読者に勇気を与えてくれますよ。
高校からテニスを始めた活字中毒の侃(カン)。すぐにテニスに夢中になった侃は、友人の貴之たちと共に練習に打ち込む日々を送ります。
そんな楽しくも平凡な毎日を送る侃でしたが、ある出来事がきっかけで、人生が大きく動き始めます。テニスから離れていく侃。果たして再びコートに戻ることができるのでしょうか?
- 著者
- 朽木 祥
- 出版日
- 2015-07-07
本作品の魅力は、なんといっても美しい文章表現です。侃の繊細な心の動きが、丁寧に描写されています。
そして、章の合間に登場する葉書の絵にもご注目。一見、何を表しているのか分からないのですが、物語に登場する人物の心情を暗示している重要なカギとなっています。
平凡な日々を過ごしていたのに、突如大きな分岐点に立たされる高校生の姿は、ときには過酷に映るかもしれません。ここには甘酸っぱい爽やかな青春とはひと味違う物語が描かれています。
ところどころに美しい若者たちの感情が散りばめられていて、思わず涙を誘われる、はかない青春小説です。
大人になったからこそ、あの時の色々なことが人生の糧になっているのが分かります。青春時代に通ってきた道は、苦しいことも楽しいこともすべて役に立っているのです。小説を読んで疑似体験できることも、同じ。高校生の皆さん、これらの作品に負けず劣らずの青春を謳歌してください。