恋愛小説を中心に、古典の現代語訳や社会風刺的なエッセイなどを執筆する芥川賞受賞作家の田辺聖子。今回は数ある田辺作品の中から、おすすめ作品をランキング形式でご紹介します。

- 著者
- 田辺 聖子
- 出版日
- 2010-09-15
主人公の乃里子は31歳、大阪でフリーのデザイナーをしています。以前は生命保険会社に勤務しており、その時の同僚だった美々とは変わらずに友達づきあいをしていました。
ある日乃里子は美々から妊娠したことを告げられます。しかし相手の男性には結婚の意思がなく逃げ回られている事から、せめてお金を巻き上げようと思うのでその交渉に一緒に立ち合って欲しいと頼まれるのでした。
当日交渉に現れたのは美々の相手の隆之と、その友達の剛という野性的な青年です。交渉の結果、隆之は剛にお金を預け、翌日の夜に乃里子が剛のところに取りに行くことに決まりました。
翌晩剛を訪ねた乃里子は、剛の運転する高級車に乗せられ彼の豪奢な別荘に連れて行かれます。剛の家は代々資産家だという事でした。乃里子は剛の自信過剰なところや傲慢で我儘な性格を見抜き、その部分には不快感を覚えるのですが、彼の無邪気さや明るさ、そして自分と波長が一致することには快さを感じ、彼と一夜を過ごします。
仕事は順調で独身の1人暮らしを謳歌している乃里子は、今までも自由な男女関係を楽しんできました。しかし実は乃里子には五郎という本命の男性がいます。五郎とは学生時代からの知り合いで昔から好意を持っているのですが、なぜか五郎に対してだけは気軽に言い寄ることができず、仲の良い友達止まりでいました。
乃里子と剛は気軽に遊ぶ仲になりますが、剛の別荘の隣に住む水野という40歳を過ぎた既婚の男性と知り合い、彼とも肉体関係を持つようになります。水野の洗練された大人の男の魅力に乃里子は強く魅かれていく中、本命の五郎は美々と親しくなっていくのでした。
本作は乃里子の成熟した女としての愛欲や性欲を描いていますが、生々しい性行為の描写がないことや乃里子のあっさりした性格により、爽やかな読み心地を感じることができます。テンポの良い大阪弁に乗せて女の本音と建て前がリアルに描かれており、女性の読者には共感するところの多い作品です。
第50回芥川賞受賞作『感傷旅行』。タイトルのイメージとは違って、ちょっと変わった恋愛小説である本作。語り手の主人公ヒロシによって、女友達の有以子と彼女が思いを寄せる共産党員との恋の顛末が語られていきます。
- 著者
- 田辺 聖子
- 出版日
- 2009-02-02
俳人小林一茶の壮年から晩年を描いた『ひねくれ一茶』。一茶が残した大量かつ克明な日記などから、一茶の人間像に迫り、その人間臭さをいきいきと描きます。田辺聖子の一茶への愛情が感じられる作品です。
- 著者
- 田辺 聖子
- 出版日
- 1995-09-06
- 著者
- 田辺 聖子
- 出版日
- 1987-01-01
表題作を含む8つの作品が収められている短編集『ジョゼと虎と魚たち』。若い男女の純愛ラブストーリーが綴られる表題作は、妻夫木聡と池脇千鶴主演で映画化されたのをご存知の方も多いのではないでしょうか? 原作の小説はわずか20数ページの短編です。
生まれつき足が悪く、ほとんど外出したことのないジョゼは、祖母と二人暮らし。大学生の恒夫が偶然ジョゼを助けたことから、恒夫はしばしばジョゼの家に遊びに来るようになります。ジョゼの祖母が作る手料理をおいしそうに食べたり、ジョゼが暮らしやすいように家の中に手すりをつけたりして交流を深めていく二人。しかし就活活動のため、恒夫はしばらくジョゼの家を訪れることができなくなります。ある日、恒夫がひさしぶりにジョゼの家を訪ねてみると、そこにはジョゼも祖母もいなくて……。
ジョゼはプライドが高くわがままな女性ですが、孤独を感じながらもたくましく生きている強い女性でもあります。そんなジョゼと恒夫との関西弁での会話のやりとりが魅力的な本作。行間から相手を想うやさしさや愛が滲み出ています。他7編は大人の女性が主人公で、愛や別れを通して女性の母性やしたたかさが描かれています。こちらもぜひチェックしてみてくださいね。
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『新源氏物語』は、かの有名な『源氏物語』の現代語訳または翻案(原作の筋や内容をもとに改作したもの)とされる作品です。気になった女性は全て口説くという平安時代のプレイボーイ光源氏の一生が描かれています。
- 著者
- 田辺 聖子
- 出版日
『私的生活』は、幸福な結婚生活が徐々に崩れていくさまをリアルに描いた作品です。主人公の乃理子は、イケメンで金持ちの剛から言い寄られ、独身生活を謳歌していました。
- 著者
- 田辺 聖子
- 出版日
- 2010-10-15
いかがでしたか? 古典に恋愛小説にと紹介しましたが、どれも一度は読みたい名作ばかり。年齢を重ねることで感じ方が変わってくる作品も多いので、過去に読んだ本も再読してみると違った感想を持つかもしれませんよ。