作家・田山花袋をご存知ですか?明治時代における自然主義文学を代表する作家で、日本文学史においては大変重要な人物とされています。現代人が読んでも驚くような、一風変わった作品も残しています。花袋の個性が光る代表作と、その特徴をご紹介します。

これが明治時代、それまで美化された出来事が描かれる小説から、写実的に描く小説が広まってきたばかりの時代に書かれたのです。主人公のモデルは田山花袋自身、また女弟子と彼氏にもモデルらしき人がいて、『蒲団』があまりに有名になったがために、彼女らのその後の人生にも影響を与えたようです。
- 著者
- 田山 花袋
- 出版日
- 1952-03-18
恋にも破れ、夢と現実がどんどんかけ離れていることへの焦燥感とも虚無感から抜け出そうと、絵を描いたり音楽の方向に進もうとも考えたりもしますが、そこでも挫折。真面目だったはずの主人公の日常は荒んで、やがて借金生活に陥ってしまう。ある時ふと悟りを開いたかのようになるのですが、その途端不治の病にかかってしまうという物語です。
- 著者
- 田山 花袋
- 出版日
- 1952-08-19
主人公は兵営を脱走し、道楽に走ります。そしてついには放火事件を引き起こしてしまい、最終的に捕まって銃殺されるのです。どんな悪い男なんだと思いますが、まあいい男ではないにしろ、どちらかというと無責任で流されやすい意志の弱い男といった印象を受けます。
- 著者
- 田山 花袋
- 出版日
- 1955-05-25
「家」という封建制度に縛り付けられ、夫婦とともに歩む喜びもなく、自身の自由も抑え込んで生きる人生は、1人の女性の性格を捻じ曲げるほど強大な力を持っていました。子供たちやその伴侶への嫉妬、孤独感、体が思うようにならないもどかしさ、死への恐怖がさらにそれを助長します。
- 著者
- 田山 花袋
- 出版日
作中ではそんな子供にばかり目を向けている妻を、すっかりオバサン呼ばわりしています。といっても奥さんもそんなに年じゃなく、20代半ばです。でも主人公は10代の初々しい少女が好きでたまらない。で、結局最後は少女に見とれるあまり線路に落っこちて電車に轢かれてしまうといった、悲惨な結末を迎えます。
- 著者
- 田山 花袋
- 出版日
- 2016-07-20
花袋の作品はどれも3人称で描かれているのですが、主人公の心情や生活の様子を丁寧に描写しているため、まるで1人称の小説を読んでいるかのように入り込めてしまいます。写実的に情景を描くと言っても、情景の中のどの部分を切り取って物語として紡ぐかによって、文学性は随分変わってきます。その辺が、花袋の作品は素晴らしく才能を感じさせるのです。明治の作品としては、かなり読みやすい文章であることも魅力のひとつです。是非一度手に取ってみてください。