日本のホラーがその陰湿な怖さから話題になっていますが、海外のホラーも負けてはいません。古典からモダンホラーにいたるまで傑作と呼ばれ、読者を恐怖のどん底に陥れるホラー小説をご紹介します。

- 著者
- アイラ・レヴィン
- 出版日
- 著者
- シンシア・アスキス他
- 出版日
- 2006-08-30
- 著者
- ブレット・イーストン・エリス
- 出版日
- 著者
- イェジー コシンスキ
- 出版日
- 2011-08-05
- 著者
- ポピー・Z. ブライト
- 出版日
- 著者
- スティーヴン キング
- 出版日
- 2008-08-05
しかしホテルに関する古い記録にジャックがのめり込むようになってから事態は急変。「輝き」と呼ばれる不思議な力を持つダニーはホテルの毒気にやられ、放心状態が続くようになります。ホテルに何かあると妻のウェンディが出たがる一方で、ホテルに出現する幽霊に取りつかれたジャックは家族が自分の仕事とキャリアを故意に邪魔しようとしていると、恐ろしい妄想を抱くようになるのでした。
本書には恐ろしい幽霊が多く姿を見せます。湯を張ったバスタブに横たわる女の霊、手をつなぐ双子の幽霊、そして夜な夜な開かれる死者たちによる舞踏会などです。巧みな心理描写と表現力によって、それら幽霊の登場シーンがより恐ろしく感じられます。モダンホラーの帝王と言われる、キングの力量がわかるシーンの連続です。
幽霊だけでなく精神が崩壊していく様子も本書の恐ろしさのひとつです。狂っていく中で凶暴性を獲得し家族に危害を加えようとするジャックの様子だけでなく、だんだんおかしくなる夫の様子を怖がるウェンディの心理描写が相乗効果をなし、家族に襲いかかる恐怖の物語がより深まります。また特別な力を持っているのに幼すぎてその力を持て余し、なんとか家族を助けようする息子ダニーの健気な姿もこの作品の魅力です。
- 著者
- ロバート・ルイス スティーヴンスン
- 出版日
- 著者
- コーマック・マッカーシー
- 出版日
- 2010-05-30
そして1999年に発表された『ハンニバル』では堂々のメインキャラクターとして警察に追われる犯人側へと転身します。2006年にはレクター博士の幼少期を描いた『ハンニバル・ライジング』も発表されています。
- 著者
- トマス ハリス
- 出版日
- 著者
- シャーリイ・ジャクスン
- 出版日
イギリスに住む弁理士ジョナサンが、とある城に招かれるところから物語は始まります。
ジョナサンは徐々に城主の行動に疑問を抱くようになります。夜な夜などこかへ出かけていく城主、異様なまでに光るおぞましい赤い瞳。その城主こそが、吸血鬼ドラキュラだったのです。そしてジョナサンは、命からがら城から逃げ帰ります。けれどそれはまだ始まりに過ぎず、とうとうドラキュラの魔の手は彼の妻にまで忍び寄ってしまうのでした。
そこで立ち上がるのがヘルシングという男と、その仲間達です。この勇気には読者も心打たれるものがあるでしょう。ドラキュラを打ち倒そうとするヘルシングの意志の固さは、彼の言葉にも表れています。
「われわれは奮って往時の十字軍の武士のごとく、日の出にむかって、もっと多くの魂の済度に出かけるのだ。それで死ねば本望だよ」(『吸血鬼ドラキュラ』より引用)
命さえ惜しくないという彼の熱意に、ここまでドラキュラの恐ろしさを見せつけられてきた読者も共感せざるを得ません。
- 著者
- ブラム ストーカー
- 出版日
このホラー小説には、薄暗くじわじわと心を恐怖に染めていく独特の空気が漂っています。読めば読むほどに、その空気がひしひしと感じられます。繰り広げられている事全てが、まるで自分の事のように思えてしまう、そんな不思議な魅力が読者を物語に引き込みます。
この海外ホラー小説は吸血鬼の持つ恐怖の原点に立ち戻り、間違いなく私達読者を魅了してくれます。 まるでドラキュラの牙が自分のすぐ側まで迫っているかのような恐怖を、ぜひ味わってみてください。
人里離れた無人の館に、仕事で訪れなければならなくなった主人公のキップス。この物語は、彼がその館で体験した恐怖体験を描いています。
キップスは仕事の一環で、孤立した館に住んでいたドラブロウ夫人の葬儀に参列することになります。葬儀が終わった後は、その館でドラブロウ夫人の遺産を整理するという仕事が残っています。そして葬儀の終わりごろ、彼はある女性に気が付きます。
「ボンネット型の帽子をかぶり、顔の一部を隠しているが、しげしげと見やらずとも、何か怖ろしい消耗性の病気にかかっていることがはっきりわかった」(『黒衣の女 ある亡霊の物語』より)
この女性こそがまさに、タイトルの黒衣の女なのです。この時点で読者は既にこの女性への恐怖心と不信感を隠せません。そしてキップスが館で仕事を始めて間もなく、怪奇現象は始まりました。誰もいないはずの部屋から聞こえる謎の音、全てを引きずり込もうとする沼から聞こえる馬車の音、そして子供の泣き声。それらがキップスの精神をじわじわと追い詰めていきます。
- 著者
- スーザン・ヒル
- 出版日
- 2012-10-23
読者は終始、どことなく心にざわざわしたものを感じざるを得ません。このホラー小説の魅力は何といってもスピード感です。たたきつけられるような恐怖の連続が、私達読者を一気に惹きつけてくれます。
これぞまさに正統派海外ホラー小説と言える傑作です。読み終えて、暗闇やふとした影が怖いと感じたら、それはあなたが、この作品から、黒衣の女から解放されていないことの証です。
主人公であるメリキャット、その姉であるコンスタンス、そして二人の伯父。このホラー小説は、三人を残して他の家族は全員殺された、そんな屋敷で閉じこもるように暮らしている小さな世界の物語です。
資産家であったために村の人々から憎まれていたメリキャット達は、外の世界を憎んでいました。こうして閉じこもるようになったメリキャット達ですが、その平穏をおびやかす従兄、チャールズが現れます。そしてとうとう、彼女達の幸せな世界は崩壊へ向かっていくのです。
- 著者
- シャーリィ ジャクスン
- 出版日
この作品のホラー要素は、人間の狂気が深まっていく過程にあります。世界には自分と自分の許すものしかいらないと考えるメリキャット。それを面白がるように壊そうとする村人達。
メリキャットは最初から狂っていたのでしょうか。それとも村人達や従兄にじわじわと狂わされていったのでしょうか。それを見極めるためにも、ぜひ読んでいただきたい海外ホラー小説です。
「あたしたち、とっても幸せね」(『ずっとお城で暮らしてる』より)
何を思い、メリキャットはこの言葉を口にしたのか、最後まで読めばきっとその狂気に触れることができるでしょう。
主人公であるデイヴィットという少年が、隣の家に引っ越してきたメグという美少女とその妹、スーザンと出会うところから、この海外ホラー小説は始まります。
隣の家にはルースという女性とその息子達が住んでいます。メグとスーザンはそこに引き取られてきました。そしてある日デイヴィットは、ルースがメグをきつく叱っているところを見てしまいます。しかしそれは、始まりにすぎませんでした。やがて地下室に監禁されてしまうメグ。そこで行われる、どうしたらこんなに酷い事を思いつくのだろう、と疑問すら抱いてしまうほどのありとあらゆる暴行が、メグの全てを奪っていくのです。
しかし本当に恐ろしいのは、もしかしたらルースではないのかもしれません。それに加わっていた何の責任もない、全てをルースのせいにして楽しんでいた子供達の狂気を忘れることはできません。
- 著者
- ジャック ケッチャム
- 出版日
「わたしにはひどく奇妙に思えたが、子供には大人が持つ権利を与えられていない以上、大人が負う責任も免除されて当然なのだろう。」(『隣の家の少女』より)
デイヴィットはこのように考えましたが、暴行に加わっていた他の子供達がどう考えたかはわかりません。
このホラー小説は、どこまで人間が残酷になれるのかということを追求しています。読んでいるのが痛くなるほどに、目を背けてしまいたくなるくらいの恐怖に、思わず心がすくんでしまいます。ここまで読者の心を重くし、強く揺さぶるホラー小説はないでしょう。
まるで今、自分が普通に暮らしていることが奇跡である、そんな気持ちにさえなることは間違いないでしょう。もしこの地獄が隣の家で繰り広げられていたら、自分ならどうするか、それを考えながら読むとよりいっそう恐怖が止まりません。
これは、学校ではいじめられ、家では狂った母親の教育に耐えなくてはいけない、そんな悲劇的な少女、キャリーについての物語です。あまりにも狂信的な教育をする母親に耐え切れず、キャリーはとうとう、こう言います。
「わたしはただ自分の生活をさせてもらいたいだけよ。わたし……ママの生活なんか嫌いだわ」(『キャリー』より)
この言葉を発するのに、どれだけの勇気が必要だったことでしょうか。キャリーは母親のことも愛したかったのです。しかし悲しいことに二人は、最後まで愛しあうことはできませんでした。
キャリーは母親の制止を振りきって、学校の舞踏会へと出かけます。しかし、そこで起こったある事件のせいで、キャリーの何かが完全に壊れてしまいます。キャリーは念力を使い、舞踏会の会場にいる人々を殺害し、血まみれのまま町へと飛び出します。
- 著者
- スティーヴン キング
- 出版日
そこからの彼女の狂った行動こそが、この作品をホラーに仕上げています。次々と倒れていく人々、止まらない爆発、そしてもはや止まることができないキャリー。彼女の悲しみは、恐怖となって私達読者の心を撫でていきます。読み進めるうちに、この少女がどこか世界から見放されたような印象を受けることになります。
悲しい恐怖、というのはなかなか味わうことができないものです。どうかその目で確かめて、体中で感じてください。そして誰かに愛されたかったキャリーを、愛してあげてください。
イギリスの小説家・イラストレーターであるクリス・プリーストリーの作品です。主人公はエドガーという少年。エドガーは森に住んでいるモンタギューおじさんの家をたずね、モンタギューおじさんから、その家にある「いわく付きの品々」にまつわる怖い話を聞かせてもらいます。作品の中の登場人物たちは、みな酷い目にあってしまうなどゾっとするようなお話ばかりで……。
- 著者
- クリス プリーストリー
- 出版日
おすすめのポイントは、「おじさんが語る怖い話」。この作品は、主人公エドガーが怖い話を聞くという斬新なスタイルです。そのため、読者自身もモンタギューおじさんからお話を読み聞かされているような気分になります。さらに、お話とお話の間でエドガーが怖がっていないと強がってみせたり、モンタギューおじさんがエドガーを怖がらせようとする場面などが見られ、ちょっとほっこりするのも、他のホラー小説とは違って面白い点です。
そして、西洋的な怖さが詰まっている点も魅力です。イギリス出身の著者が書いた小説のため、悪魔や魔女など西洋の子供たちが怖がる要素がたっぷり入っています。日本の読者が読むと少しファンタジー要素を感じ、楽しめるでしょう。
『モンタギューおじさんの怖い話』が気に入ったら、クリス・プリーストリーの怖い話シリーズ『トンネルに消えた女の怖い話』『船乗りサッカレーの怖い話』などもおすすめです。
岩波少年文庫が送る海外のホラー小説を集めた1冊です。この作品は、ホラー小説の中でもジャパニーズホラーや日本の小説家たちが描いた小説とはちょっと違った作風です。
フランスの詩人で『ペロー童話集』などで知られるシャルル・ペロー著の「青髭」。この作品は、妻が次々と行方不明になっている青い髭を持つ男の新妻になった女性が彼の隠す恐ろしい秘密を見てしまうというものです。
次に、タイトルになっている「最初の舞踏会」では、主人公が“メスのハイエナに自分の身代わりにして舞踏会に行かせる”というかなりシュールなお話。ハイエナの顔を隠すためにとった行動がとってもグロテスクです。
- 著者
- ["平岡 敦", "佐竹 美保", "平岡 敦"]
- 出版日
ホラーといっても、この『最初の舞踏会 ホラー短編集3』には、ファンタジーな要素が多いお話や、残酷なもの、怖いながらもシュールな情景が浮かぶお話、怖いというよりも痛そうなお話など、様々なジャンルが詰め込まれています。共通して言えることは、「フランスのホラー小説」である点です。残酷なお話の中にも気品が感じられ、奇怪でシュールな発想は、フランスらしさを楽しむことができます。
「日本のホラーには飽きちゃったよ!」と思ったら、ファンタスティックで奇妙な雰囲気にあふれるフランスのホラーを読んでみてはいかがでしょうか。その手始めに、まずはこの『最初の舞踏会 ホラー短編集3』がおすすめです。
人間が感じる恐怖は幽霊や超常現象だけではありません。それは同じ人間であったり、自分自身であったりもします。多くの作家たちが様々な手法を用いてホラー作品を表現してきました。彼らの用意した恐怖に自ら飛び込んでみませんか。