ショートショートはその短さの中に哲学的な要素が凝縮されていて、それを数分で読み終えることができるのが魅力の一つです。時間に追われる現代人におすすめしたい、ショートショート作品たちをご紹介します。

ショートショートの神様とも呼ばれる星新一の代表作の一つで全50編からなる作品集です。
表題作の「ボッコちゃん」は、ボッコちゃんと言う名の女型アンドロイドの話。バーのマスターはそんなボッコちゃんに、バーを手伝わせることにしました。ボッコちゃんは中身は不完全ですが外見だけは美人で、男性客はその美貌に惚れ惚れ。
しかしある日、ボッコちゃんに恋をした青年が、酒を飲ませ話しかけてもオウム返ししかできないボッコちゃんに怒ってしまいます。そして青年はボッコちゃんに毒を飲ませてしまいました。しかしボッコちゃんが飲んだ毒は……。
- 著者
- 星 新一
- 出版日
- 1971-05-25
人間の愚かさが破滅を呼んだ典型的な話で、「人工知能」ではなく「人工無能」というものにスポットを当てた作品となっています。最低限のアルゴリズムで簡単な返答しかできないものの特性を描いているとも言えますね。「ボッコちゃん」という可愛らしい名前であるのにも関わらず内容はとてもシビア。
コミュニケーションロボットというものが現実にも登場してきた昨今で、感情のない隣人というものがいかに危ういかということを教えてくれます。星新一特有の淡々とした語り口で語られる作品群は、奇妙でもあり物悲しくもありますね。
星新一はショートショートの神様と呼ばれるだけあってそのひとつひとつが秀作であり、特にこの『ボッコちゃん』はショートショート初心者にも自信を持っておすすめできる作品です。
この作品で江坂はショートショート作家デビューを果たしました。作中、幼い頃のお祭り風景を、読み手が実際に体験しているかように感じさせる文章力には息を呑みます。
- 著者
- 江坂 遊
- 出版日
- 1996-03-15
表題作の「最後の喫煙者」は思考実験的に禁煙運動をエスカレートさせていくとどうなるか、という物語です。健康ファシズムが暴走し、喫煙者が国家的弾圧を受けるようになっても煙草をやめない男の話。地球上最後の喫煙者となっても男は闘争を続けるのです。
- 著者
- 筒井 康隆
- 出版日
- 2002-10-30
友人と共に入った一軒のシガーバー、そこで店員に手渡されたのは葉巻のようなもの。吸ってみると、なんと幼い頃の情景が脳裏に浮かび始めます。友人はそれを「夢巻」と言うのが……。
- 著者
- 田丸 雅智
- 出版日
- 2016-07-14
旅を題材にした、作家・森絵都独特の絵本のような物語が原稿用紙3枚分の短さで紡がれています。あっという間に読み終わる一つ一つの物語ですが、トンチのきいたその内容はショートショートならではです。ショートショートらしく本当に少ないページの中でストーリーが完結しているので、絵本のように子供に読み聞かせる物語としても最適かもしれません。
- 著者
- 森 絵都
- 出版日
いかがでしたか。
ショートショート小説というものは軽視されがちなジャンルですが、内容は深いものが多く、人間の矛盾や倫理についての問いを投げかけるような作品が数多くあります。
1編読むのに数分で済むものもあるので、小説を読むことが苦手な人にもおすすめです!