グリム童話の本質が垣間見える『本当は恐ろしいグリム童話 』
グリム兄弟は、ドイツの民衆たちから話を集めたのではなく、中流階級や上流階級の家庭より話を集めていったとも伝えられています。
語り継がれているうちに、物語の終わり方がさまざまになってしまう事もあったようですが、そうは言っても、本当はこんなに残酷な物語だったなんて!と衝撃が走ります。その衝撃的な内容が、ドイツで語り継がれていたという事実には驚かされます。
『本当は恐ろしいグリム童話』には、「白雪姫」「シンデレラ」などのグリム童話が掲載されています。人間は、綺麗な部分だけではないという事が浮き彫りにされているのがこの作品。
- 著者
- 桐生 操
- 出版日
まず「白雪姫」の原作では、白雪姫を殺そうとしたお妃は、私たちが良く知っている物語では継母でしたが、本当は実母だったと明かされています。そして、妃が白雪姫を殺そうとした衝撃的な理由とは……。
最後には、妃は白雪姫に処刑されてしまうという結末。白雪姫のお話って、こんな内容だったの?と絶句してしまう話の展開が続いていくのです。これらの衝撃的な内容を受け入れられるか、受け入れられないかというのは、その当時の時代背景というのがあるのですね。
また、「シンデレラ」の原作は、妖精の魔法で馬車やドレスを与えられたというファンタジーな話ではありません。そこには、地に足の着いた現実的な仕掛けがあった事が書かれてあります。
子ども向けに結末を替えて語り継がれてきた意味がわかる、本当は怖いグリム童話の作品です。
本来のグリム童話に触れることができる『初版グリム童話集』
現代に語り継がれ、多くの人々が知っているグリム童話は、メルヘンな世界だったり、ロマンチックでハッピーエンド的な世界だったりすることが多いですよね。
そんな非日常の世界が子どもたちに愛され、大人たちにも夢をみさせてくれているのです。グリム童話とは気づかず、童話集に収められている中の1つの物語として大好きな方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、グリム兄弟が集めた物語を編集し始めていた当初は、そんなロマンチックな物語とは違うものでした。そのハッピーエンド的な要素は、グリム兄弟が何度も何度も改訂する中で、生まれてきたものだったのです。
- 著者
- グリム兄弟
- 出版日
『初版グリム童話集』には、その当時に語り継がれていたそのままの残虐さを持ち合わせる中でも、人間味や素朴さが溢れる物語の数々が収録されています。時に、人間の自分勝手な醜い部分、汚い部分や影の部分も躊躇することなく描かれているのです。
例えば、「灰かぶり」では、王子さまは、シンデレラを自分の妃にしようとシンデレラが残していった靴を頼りに、彼女を探します。妃になりたいシンデレラの義理の姉たちは、妃になれば、自分で歩く必要がないとの事で、自分の足の一部を切って無理やりでも靴を履こうとします。靴には血が滲み、彼女たちの嘘は、ばれるのですが……。
自分の欲望の為に平気で人を騙したり、嫌がらせをしたり人間。そんな醜い部分を浮き彫りにしています。
大人だからこそ理解でき、また、現代に受け入れられている内容と比べながら楽しめるグリム童話の一冊。ダークな世界も感じてみたい人におすすめの作品です。
現代では考えられない残虐性が垣間見れる『大人もぞっとする初版「グリム童話」王様文庫』
「ヘンゼルとグレーテル」や「シンデレラ」などが収められています。道徳観や悪い事をした時の処罰の仕方が現代と比べると、だいぶ違うように感じられます。
例えば、「ヘンゼルとグレーテル」です。継母にヘンゼルとグレーテルが森へ捨てられてしまうところから物語が始まります。でも、本当は実母だったのです。飢饉が理由の口減らしの為に実母に捨てられたのでした。昔、日本でも生活の困窮から、口減らしの為に自分の子を捨てたり、間引きが行われていたりしたと聞いたことがあります。
- 著者
- 由良 弥生
- 出版日
現代の私たちからすると、異様と思えることでも、その当時では、生きていくために仕方なかった事、よくある事だったのでしょうか。だとすると、今、私たちが知っている価値観も、後の世ではどのように受け取られているのだろうか、と考えてしまいます。
昔の人が生きて経験したことで、痛い思いをした事。また、「これは絶対やめた方がいい。」と感じた事を学習して今の社会のルールが作られているのは、理解できるのですが……。
『大人もぞっとする初版「グリム童話」』の内容の向こう側に、当時の人々の生活が透けて見えるようで、より一層の恐怖感とリアリティーを感じてしまう一冊です。