3位:映画原作にもなった最果タヒのベストセラー詩集
3位は、タヒの第4詩集として出版された 『夜空はいつでも最高密度の青色だ』 です。
最果タヒらしい言葉選びと世界観は瑞々しく透明。それでいて目に刺さるようなビビットな色を隠し持っている、奥深い印象を作り出しています。43の詩はそれぞれが光を放っていて、眩しかったり暖かかったり、優しさや悲しさ、時には重く鈍かったりと、詩によって様々な光を感じることができます。
- 著者
- 最果 タヒ
- 出版日
- 2016-04-22
本作が圧倒的な共感を呼んでいるのは、その色とりどりの光が読者の心に優しく染み入ってくるから。それは、強烈なメッセージをあえて込めない、読者の感性に任せてしまう、というタヒならではの表現だからこそ成しえることなのです。
その、放任主義ともとれる、意味を読者に委ねるという作風ゆえに、詩という枠を超え、物語すら想像することができます。それは、映像作品を創造するほど、限りなく無限に広がっています。
映画化された本作ですが、この作品は読者1人1人のオリジナルの物語を生み出すことができるような広がりを持った作品です。それこそが、この詩集の最大の魅力なのです。
映画を見る前に原作を読んで、その世界を想像するのは、刺激的で楽しい読書体験になるはず。ぜひ手に取ってゆっくり味わっていただきたい一冊です。
最果タヒの作品をお得に読む
2位:究極のコラボレーション詩集
この『空が分裂する』の魅力は何と言っても、総勢21名の漫画家・イラストレーターとのコラボレーションです。
タヒにとっての2作目となる詩集ですが、読んで楽しい、見て楽しいこの作品は、なるほど、さすがは現代を代表する詩人と感じざるを得ない仕上がりになっています。
- 著者
- 最果 タヒ
- 出版日
- 2012-10-05
もちろん、イラストの力も大きいのですが、それ以上に感じるのは、詩とイラストの融合率の高さからくる、表現の幅の大きさです。まるでお互いに溶け合うかのように一体となって、読み手に向かってきます。その情報量の多さは計り知れません。
読めば分かる、開けば分かる、そんな圧倒的な世界観ですが、その中から「誕生日」という詩を少しご紹介します。
「誰かがしぬとお星様になったのよと、いう人がいて、だとすればこの満天の星空は墓場なんだろうか、世界一広い、あの黒い部分にみんな埋められているのだろうか。そう思うと息苦しい。」(『空が分裂する』より引用)
お星様になるというのは誰もが知る比喩ですが、その先の表現は、果たして一般的でしょうか。そうではないにしても、考えたことがある人も多いのではないのでしょうか。平沢下戸のイラストをお見せできないのが残念ですが、イラストと詩が想像のちょっと先の世界観を表現した素晴らしいマッチングを魅せています。
この一冊は「誕生日」で書かれているように、とても身近なものを、独特な視点で、思いのままに表現しています。そのゆえ、誰の心にも響き、それぞれの思考に刺激となるのです。イラストとともに楽しんでほしい一冊です。
1位:最果タヒの代名詞的詩集
堂々の第1位は、最果タヒを最果タヒたらしめたとも言える死の詩、『死んでしまう系のぼくらに』です。まず、秀逸なあとがきから引用させていただきます。
「意味付けるための、名付けるための、言葉を捨てて、無意味で、明瞭ではなく、それでも、その人だけの、その人から生まれた言葉があれば。(略)私の言葉なんて、知らなくていいから、あなたの言葉があなたの中にあることを、知ってほしかった。(『死んでしまう系のぼくらに』あとがきより引用)
- 著者
- 最果 タヒ
- 出版日
- 2014-08-27
ここで書かれていることは、本作に限ったことではなく、最果タヒが作品を作る上で、何よりも重きを置いていることのように感じられます。
意味付けした創作を嫌悪する最果タヒはきっと面白がるだけでしょうけれど、彼女を最も果てしなく突き詰めていくと、そこには死があり、死を最も果てしなく突き詰めると最果タヒの創作に見られる核に行き着くように思います。
まるで使命感を持っているかのように、死という概念についての創作を続けているのは、偶然とは思えません。死というものの考え方、捉え方を根本から変えようとしているようにも感じる、独自性の高い死の見方。
そんな決して軽々しく扱ってはいけない概念をPOPさで包み込むことで、もっと身近に、親しみやすく、考えさせようという取り組みが、見える作品です。
タヒを下敷きに新しい死の捉え方を見いだせる。ある種、希望にも近い感情が、この1冊には詰まっています。難解なテーマにまるで挑戦状を叩き付けたかのような詩の数々。彼女のスピリットが詰まった最もおすすめしたい作品です!