最果タヒのおすすめ作品ランキングベスト5!注目される彼女の世界観

更新:2017.1.16

今回は最果タヒのおすすめベスト5です!圧倒的な世界観とオリジナリティ溢れる語感を持つ最果タヒ。彼女の作品は映画化もされ、その独特の作風に人気が高まっています。

東京都出身。作家志望。特に好きな作家は冨樫義博先生と舞城王太郎先生です。
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最果タヒの独自の世界観に引き込まれる

最果タヒは1986年に兵庫県生まれました。詩人、小説家として活躍する彼女は、『現代詩手帖』の新人作品欄に初投稿し、入選しました。その後2006年に現代詩手帖 賞を受賞し、翌年に第一詩集『グッドモーニング』を生み出しました。

そして京都大学在学中の2008年に中原中也賞を受賞。これは、当時の女性最年少記録で、21歳でした。そこから、その名は世に一気に知れ渡ることとなります。

最果タヒの作風はポップでキッチュな印象と、それでいて繊細さを兼ね備え、弱々しくも見えるのに限りなく強いもの。そういった、陰と陽のような組み合わせが、作品の色として美しく描かれています。彼女の世界観は公式ホームページを訪れるだけでも伝わるので、ぜひご覧になってみてください。

5位:最果タヒワールド全開の日常系ファンタジック小説

ご紹介する5冊の中で唯一の小説 『渦森今日子は宇宙に期待しない。』は書き出しの部分で引き込まれてします。

「簡単に言えばここは宇宙探偵部で、ついでにいうと私は宇宙人です。OK?」(『渦森今日子は宇宙に期待しない。』より引用)

OK?と聞かれてしまえば、オーケー。と言わざるを得ないじゃないか、と一気にその世界に引き込まれてしまします。ロケットスタートに付いて来なさいよと言わんばかりの、この冒頭部分のスピード感がたまりません。
著者
最果 タヒ
出版日
2016-02-27
渦森今日子は女子高校生で、宇宙関係を探偵する部活動に所属している、宇宙人です。本名はメソッドD2。ポカンとしてしまいそうなこの設定にも斬新さを感じます。宇宙人だと知りながらも普通の友達として接している岬ちゃん、柚子ちゃんを筆頭に、それぞれのキャラクターも魅力的に描かれていて、読むのがどんどん楽しくなっていきます。

岬ちゃんが恋する相手は宇宙探偵部の部長、暇を持て余している柚子ちゃんと今日子を道連れに部員になってしまいます。人数はギリギリ、やる気があるのは部長と、方向性を間違えた岬ちゃんのふたりだけ。

放課後、転校生、体育祭に夏合宿、とイベント目白押しの中、進路について考えなければいけない。ただでさえ悩みの多いお年頃でぶつかる将来という壁。普通とはちょっと?違う宇宙人の今日子が見出した答えは……。

宇宙人だから悩むのか、女子高校生だから悩むのか。風変りな設定の中に散りばめられた、普遍的な問題への取り組み方は、人種も年齢も関係なく、私たちと何も変わりません。現実の問題を非現実な対象にあてがうことで見える普遍性、この描き方こそ、本作のみどころです。

非現実的な存在が、現実の中で、非日常を求める部活に関わってしまう日常。一風変わった青春小説ですが、気づきのある一冊です。
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4位:圧倒的世界観を垣間見る最果ての珠玉エッセイ集

4位は、最果タヒの待望のエッセイ集『君の言い訳は最高の芸術』です。やはり、その人となりを知るにはエッセイが一番適しているように感じます。

実に様々なテーマで書かれた本作は、タヒのバカ正直さが全開です。一般的に人と関わりあう以上言葉にしない方が円満にいくであろうことも、この中にはじゃんじゃん書いてしまっています。しかし、それは誰しもが心に秘めているもので、だからこそ読者を共感させ、感動を呼ぶのです。
著者
最果タヒ
出版日
2016-10-26
バカ正直さはタイトルからも見て取れます。ひとつめのタイトルが「友達はいらない」ですから、強烈ですね。他にも、「悪意について」「日常大嫌い」「十代に共感する奴はみんな嘘つき」と、なかなかとんでもないタイトル目白押しで、読むのが怖くなると同時にどこか惹きつけられます。

「究極つまんない日常を生きてフラストレーションで、原稿書いてたいんです。」

「外はうるさいから、だからこそ自分の言葉をもたなくちゃいけないし、言葉を持つということ自体が快楽になっているのかもしれないな。」(どちらも『君の言い訳は最高の芸術』 より引用)

作品の中では、生きる上での悩みや葛藤、想いや情熱がありありと書かれています。最果タヒの真っすぐさが伝わる言葉たちです。愛すべき正直さに心を洗い流されるような清々しすら感じる、ハッとさせられる一冊です。

3位:映画原作にもなった最果タヒのベストセラー詩集

3位は、タヒの第4詩集として出版された 『夜空はいつでも最高密度の青色だ』 です。

最果タヒらしい言葉選びと世界観は瑞々しく透明。それでいて目に刺さるようなビビットな色を隠し持っている、奥深い印象を作り出しています。43の詩はそれぞれが光を放っていて、眩しかったり暖かかったり、優しさや悲しさ、時には重く鈍かったりと、詩によって様々な光を感じることができます。
著者
最果 タヒ
出版日
2016-04-22
本作が圧倒的な共感を呼んでいるのは、その色とりどりの光が読者の心に優しく染み入ってくるから。それは、強烈なメッセージをあえて込めない、読者の感性に任せてしまう、というタヒならではの表現だからこそ成しえることなのです。

その、放任主義ともとれる、意味を読者に委ねるという作風ゆえに、詩という枠を超え、物語すら想像することができます。それは、映像作品を創造するほど、限りなく無限に広がっています。

映画化された本作ですが、この作品は読者1人1人のオリジナルの物語を生み出すことができるような広がりを持った作品です。それこそが、この詩集の最大の魅力なのです。

映画を見る前に原作を読んで、その世界を想像するのは、刺激的で楽しい読書体験になるはず。ぜひ手に取ってゆっくり味わっていただきたい一冊です。
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2位:究極のコラボレーション詩集

この『空が分裂する』の魅力は何と言っても、総勢21名の漫画家・イラストレーターとのコラボレーションです。

タヒにとっての2作目となる詩集ですが、読んで楽しい、見て楽しいこの作品は、なるほど、さすがは現代を代表する詩人と感じざるを得ない仕上がりになっています。
著者
最果 タヒ
出版日
2012-10-05
もちろん、イラストの力も大きいのですが、それ以上に感じるのは、詩とイラストの融合率の高さからくる、表現の幅の大きさです。まるでお互いに溶け合うかのように一体となって、読み手に向かってきます。その情報量の多さは計り知れません。

読めば分かる、開けば分かる、そんな圧倒的な世界観ですが、その中から「誕生日」という詩を少しご紹介します。

「誰かがしぬとお星様になったのよと、いう人がいて、だとすればこの満天の星空は墓場なんだろうか、世界一広い、あの黒い部分にみんな埋められているのだろうか。そう思うと息苦しい。」(『空が分裂する』より引用)

お星様になるというのは誰もが知る比喩ですが、その先の表現は、果たして一般的でしょうか。そうではないにしても、考えたことがある人も多いのではないのでしょうか。平沢下戸のイラストをお見せできないのが残念ですが、イラストと詩が想像のちょっと先の世界観を表現した素晴らしいマッチングを魅せています。

この一冊は「誕生日」で書かれているように、とても身近なものを、独特な視点で、思いのままに表現しています。そのゆえ、誰の心にも響き、それぞれの思考に刺激となるのです。イラストとともに楽しんでほしい一冊です。

1位:最果タヒの代名詞的詩集

堂々の第1位は、最果タヒを最果タヒたらしめたとも言える死の詩、『死んでしまう系のぼくらに』です。まず、秀逸なあとがきから引用させていただきます。

「意味付けるための、名付けるための、言葉を捨てて、無意味で、明瞭ではなく、それでも、その人だけの、その人から生まれた言葉があれば。(略)私の言葉なんて、知らなくていいから、あなたの言葉があなたの中にあることを、知ってほしかった。(『死んでしまう系のぼくらに』あとがきより引用)
著者
最果 タヒ
出版日
2014-08-27
ここで書かれていることは、本作に限ったことではなく、最果タヒが作品を作る上で、何よりも重きを置いていることのように感じられます。

意味付けした創作を嫌悪する最果タヒはきっと面白がるだけでしょうけれど、彼女を最も果てしなく突き詰めていくと、そこには死があり、死を最も果てしなく突き詰めると最果タヒの創作に見られる核に行き着くように思います。

まるで使命感を持っているかのように、死という概念についての創作を続けているのは、偶然とは思えません。死というものの考え方、捉え方を根本から変えようとしているようにも感じる、独自性の高い死の見方。

そんな決して軽々しく扱ってはいけない概念をPOPさで包み込むことで、もっと身近に、親しみやすく、考えさせようという取り組みが、見える作品です。

タヒを下敷きに新しい死の捉え方を見いだせる。ある種、希望にも近い感情が、この1冊には詰まっています。難解なテーマにまるで挑戦状を叩き付けたかのような詩の数々。彼女のスピリットが詰まった最もおすすめしたい作品です!

以上最果タヒのおすすめ作品ベスト5でした。死や愛らしさをテーマに、思うまま書き殴る彼女。なのに繊細で美しく、ポップな詩には、私たちの根底にある概念すらも変えかねないパワーを感じます。

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