『池袋ウエストゲートパーク』をはじめ、数多くの人気作を発表している石田衣良。社会的問題となった事件をテーマにした作品や、心を軽くしてくれるエッセイなど幅広い執筆活動をしています。今回は、石田衣良のおすすめ作品をご紹介します。

舞台はもちろん池袋。シリーズ通しての主人公は、池袋のトラブルシューターとして活躍するマコトです。家業である果物店を手伝う彼の元には、さまざまな事件や犯罪についての相談が寄せられます。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2001-07-10
石田衣良の本書の魅力は、若者向けであることです。日頃のニュースに関心のない人にも読みやすい文章にしてありますし、どんな社会問題も若者の立場で語ってくれます。若い人にぜひ読んでほしい石田衣良のエッセイです。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2011-11-18
『北斗 ある殺人者の回心』は2012年に発表された石田衣良の小説で、2017年にはドラマ化が決定。前半は北斗の生い立ちから犯行までを、後半は裁判の様子を描きます。虐待されていた少年がやっとの思いで人間らしい愛情に触れた矢先、絶望感に打ちのめされて、怒りを行動にしてしまう。そんなジェットコースターのように上下する北斗の感情が読みどころです。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2015-04-17
本書の魅力は、石田衣良が放つ簡潔でストレートな言葉です。一つのテーマに対して4ページほどしかありません。ですので、回りくどいことを言わず、最短距離で石田衣良のメッセージが描かれています。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2009-03-19
石田衣良の本作では、小説家のシングルファザーを主人公とした、ユーモラスなホームドラマが描かれています。小説家ならではの出版業界の裏話や、小説制作過程の苦悩や焦りが物語を彩ります。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2012-12-24
『40 翼ふたたび』は2006年に発表された石田衣良の連作短編集です。起業したての40歳の男を主人公に、様々な40代の生きざまを描きます。残りの人生の先行きが見えてしまう40代からの生き方について、もっと希望を持ったらどうでしょうかという、石田衣良の前向きなメッセージが込められています。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2009-02-13
表題作となる「スローグッドバイ」は、別れることになった男女が最後に思い出の場所を訪れる物語。その行為は“さよならデート”と呼ばれ、恋人と上手に爽やかに別れるため、友人たちの間でよく使われている方法でした。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2005-05-20
株価をノートに書き写すことを通じて、株取引に重要な技能を身につけた白戸は、小塚から出された課題を無事クリア。ますます株の世界にはまり、小塚の右腕として活躍するようになります。そして白戸は、小塚の壮大な復習計画に参加することになるのです。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2003-09-10
少年犯罪を描くこの小説は、1997年に実際に起きた“神戸連続児童殺傷事件”が下敷きとなっている作品です。
主人公は14歳のミキオという少年。13歳の弟・カズシと9歳の妹ミズハの3人兄弟で、両親とともにごく普通の生活を送っていました。
ところがある日、9歳の女の子が山の中で遺体になって発見される事件が発生します。被害者の女の子は、ミズハの友達で、この事件は閑静な住宅街を震撼させるものでした。事件から10日後の朝、ミキオの家に突然警察が訪ねてきます。なんと事件の犯人は、弟のカズシだったのです。
物語は主人公のミキオと、新聞記者の視点から交互に描かれます。ミキオを取り巻く環境が、一瞬のうちに音を立てて壊れていく様子や、弟がなぜこんな事件を起こしたのかと、真実を追求していく姿が描かれていくのです。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
『美丘』は太一と美丘という大学生二人が友人から恋人となり別れるまでを描いた恋愛物語です。
主人公太一は破天荒な美丘に驚かされながら彼女のことを好きになりますが、二人が初めて結ばれた晩に彼女から秘密を告白されます。それからも二人は恋人として過ごしますが、逃れられない運命は確実に迫ってきて……。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2009-02-25
恋愛をテーマに扱っていますが、美丘という女性の生きる姿を捉えた作品でもあります。そんな美丘の生き方に感化され太一も最後に自分を解き放っていくのです。
「病気のことはわかりました。それで、わたしはあとどれくらいわたしらしく生きられるんですか。」(『美丘』から引用)
寿命というのは永遠に続くものではないとわかっていますが、いつまで生きられるのかを意識して生活している人は少ないことでしょう。また、いつでも自分らしく生きている人なんていないのかもしれません。仕事、家族、恋愛、友人との繋がりの中で自分を正直に出せないときもあれば、自分に対しても偽りを強いているときもあるかもしれないです。
未来がないと悟った美丘とその最期までずっと彼女のそばにいることを誓った太一の生きる姿が物語の後半で描かれています。美丘の最期まで自分らしくありたいという強さと自分だけがなぜこの世からいなくなってしまうのかという恨みに目を背けずにすべてを受けとめる太一の愛に心を打たれることでしょう。
自分らしく生きるとは何なのか、大切な人と最期までどうやって生きていくかという人間としての永遠のテーマを考えさせられる作品となっています。
版画家の女性と喫茶店店員の青年との出会いからこの物語は始まります。
45歳の咲世子は17歳年下の素樹に年齢差を気にしつつも恋心を抱きますが、彼に好意を寄せている女性がいることもわかっていたので諦めていました。こんな年の離れたおばさんなんてと思っていましたが、素樹の方もだんだん咲子に惹かれていき二人は恋人の関係におさまります。
年の差カップルという言葉は定着しつつありますが、咲世子は素樹といる間も一人でいる時も年齢を意識しています。身体も年をとり心も老いていくのを日々感じていました。年下の男性と付き合っている女性は少なくとも一回は咲世子と同じ気持ちを抱いたことがあるのではないでしょうか。
そういった女性心理を緻密に表現している石田衣良は本人の性別を疑ってしまうほど深いところまで女性視点の作品を描くことのできる作家だといえるでしょう。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2008-11-27
「仕事をしよう。女が一人で生きていくにはなにはなくとも仕事をしなくちゃ」
(『眠れぬ真珠』引用)
素樹と別れた後に落ち込んでいた咲世子がいつまでもこのままではいけないと自分に喝をいれた場面です。この一文からも自立した女性の心理描写が表れています。
二人は一度別れますが、一年後再会を果たします。その時も咲世子はあと十年後、二十年後と考えるときっと別れる瞬間が訪れるだろうが、今の気持ちに素直になろうと覚悟を決めました。
年老いていく自分に悩みながらも、そのときの心にまかせて生きていこうと決意した女性の姿がラストを飾ってくれます。肉体が老いるのは自然なことで仕方がないことですが、心はいつまでも若々しくすることはできるのではないでしょうか。
この作品を読んでみて、凝り固まってしまった心を柔らかくしてくれるようなきっかけに出会えたら幸いです。
リョウは誰もが抱えるであろう、女性のちょっとした闇の部分を見逃す事なく、それを癒していきます。そして同時に自分の抱える闇とも向き合っていくことになるのです。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2004-05-20
超高層マンション「新宿ホワイトタワー」の55階に住む瀬野周司は43歳にして脳腫瘍を患い余命は2か月しかありません。抗がん剤と放射線治療のため髪は抜け落ち、車椅子での生活を送っています。
ある晩いつもより激しい頭痛に襲われ気を失った瀬野は、目覚めると自分が住む新宿のマンションよりはるかに高いタワーの中にいることに気付くのでした。
その世界での彼はセノ・シューと呼ばれ、「ブルータワー」と呼ばれる巨大な塔に住んでいます。ブルータワーでは住んでいる階層が住民の階級そのもので、下層部に行くほど貧しい世帯が住んでおり、セノ・シューはタワーの最上階に住む支配階級です。
そしてブルータワーの外では「黄魔」と呼ばれるインフルエンザウィルスが蔓延し、この世界には「黄魔」に対するワクチンがないため人類は全滅の危機にさらされていました。
再び頭痛で意識を失った瀬野は、目が覚めた時には新宿のマンションに戻ります。しかしそれ以来、激しい頭痛が起こるたびに瀬野はブルータワーと新宿のマンションを行き来するようになるのです。
最初は脳腫瘍と薬による幻覚だと思っていた瀬野は、やがてブルータワーが現在より200年後の世界で、自分の意識だけがタイムワープしていることに気付きます。
瀬野はかつての部下で今でも自分を慕ってくれている武井利奈の力を借りて未来の人類を救う手段を考えます。そしてセノ・シューとしての瀬野も下層階で知り合った貧しい娘のリーナと共に、貧しい人々を見捨てようとする支配階層との戦いを始めるのでした。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2008-03-07
瀬野に未来の人類を救うことができるのか、セノ・シューは支配層との戦いに勝利することができるのか、現在と未来での戦いが並行するところが本作の見所です。さらに脳腫瘍と「黄魔」という2つの病気も進行し、物語は常に緊張の連続で進んでいきます。
重病の中年男性が世界の危機に立ち向かうという斬新な設定とインフルエンザとタワーマンションという分かりやすい素材を組み合わせた、かつてないSF大作です。その他にもファンタジーや恋愛要素が盛り込まれており、感動の結末に至るまで全てが贅沢なエンターテインメント作品になっています。
水越千晴は都内の名門私立大学の3年生で、いよいよ就職活動に入ります。
千晴の第一志望は出版社ですがテレビ局も視野に入れており、同じくマスコミ関係を目指す大学の仲間たち7名で「シューカツチーム」を結成し、就職試験の対策を研究し合い、チーム全員での内定獲得を目指すのでした。
仲間と就職試験の練習を繰り返す中で、千晴は就職試験が今まで経験してきた受験勉強とはまったく違うことを思い知らされます。それは参考書の丸暗記など通用しない、即時の対応力が試されるものでした。
また、テレビ局のインターン制度にシューカツチームの仲間の恵理子と参加した時には、容姿端麗で裕福な家庭に生まれた帰国子女の恵理子と自分に対する周りの態度のあからさまな差に、持って生まれた資質も就職に大きく影響することも思い知らされることになります。
出版社やテレビ局で働いている同じ大学の先輩を訪問した際には、大きな夢に向かって生き生きと働く先輩がいる一方、希望の就職先に入ったにも関わらず疲れ切ってすでに目標を見失っている先輩もいました。
これらの経験を通して、千晴は改めて自分の将来や自分が仕事に何を求めるのかを考え、遂に就職試験本番へと向かいます。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2011-03-10
千晴が無事に就職試験に受かるのかが本作の最大のポイントですが、千晴以外のチームメンバーもそれぞれ悩みや問題を抱えており、全員合格の約束が果たせるのかというところも読みどころになっています。
また本作は千晴がシューカツチームに入ってからの努力と奮闘の物語ですが、作中で語られる千晴の過去からは、彼女が昔から努力を重ねて勉強を積んだ結果として名門大学に入学したことが伺われ、千晴の就職活動を支えているのはシューカツシミュレーションで得たテクニックだけではなく、今までの人生の中で何事にも全力で取り組んできた彼女の真面目な性格から蓄えられた経験が大きな要素であることが分かります。
自分が望む未来を手に入れるためには過去をしっかりと生きることが大事だというメッセージが全力で就職活動に挑む千晴の姿に込められた、清々しい作品です。
中道良太は25歳、希望の丘小学校の教師です。髪を茶色く染め、首にはドクロのモチーフの銀のネックレスをしているため年配の教師からの評価は良くありませんが、子供が大好きな良太は教師という仕事に熱意を持って取り組んでいます。
希望の丘小学校では毎年各学年のクラスごとに成績や生活態度、課外授業などで競争をしており、良太が受け持つクラスはいつも最下位争いをしているため、彼の受け持つクラスは「バカ組、リョウタ組」と言われていました。
そんな良太とは対照的に、良太と同世代の染谷龍一の受け持つクラスは毎年1位2位を争っています。
染谷は端正な顔立ちに細いフレームの気障なメガネをかけ、他の教師が学校ではジャージを着ている中1人ジャケット姿で働き、仕事内容や言動など万事にそつがない事で校長や副校長から信頼されている人物です。
最初は主人公の敵役かと思わせるような染谷は、良太の良き友人として学校で次々に起こる事件を共に解決していきます。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2010-05-16
事件は生徒の事だけでなく親や教師、学校の体制などに関わることもあるのですが、深く考えることが苦手な良太に賢い染谷がわかりやすく説明をするという形で話が進むので、読者も良太の置かれた状況や学校のしくみが理解できるのです。
染谷はなぜか良太の教師としての素質を高く評価しており、いずれ自分と良太がトップ争いをする日が来ることに自分の乗っているドイツ製スポーツカーを賭けてもいいとまで言うのでした。
染谷は直情型の良太の暴走を抑え、時には考えるのを面倒臭がる良太を叱咤激励し、良太の教師としての成長を促します。
良太を最大のライバルに育てているのは染谷自身なのですが、それは染谷にある目的があるからなのです。
この染谷の存在が本作に大きな魅力を与えています。
良太の教えるクラスが本当に染谷の言うとおりクラス競争でトップ争いをするようになれるのかが本作の読みどころの1つです。
また、物語の最後で良太が染谷に頼らず1人で下す決断こそが、良太の教師としての得難い素質を示しています。
こんな先生になれたら、こんな先生に出会えたら良いのにと思わせてくれる青年教師の成長を描いた、心温まる爽やかな作品です。
以上、石田衣良のおすすめ作品をご紹介しました。心温まるエッセイから、社会派の小説まで様々な作品があり、様々な層の読者におススメできる小説家です。ぜひ石田衣良の描く作品を読んでみてください。