夏目漱石といえば、旧1000円札の絵柄にもなっており、非常に有名な文豪です。教科書に載っている作品を読んだことがある人も多いのではないでしょうか。その平易な文章と魅力のある物語から、現代においても人気のある作家となっています。

『吾輩は猫である』は猫の視点で描かれた作品です。猫という視点の特性から、人間を皮肉ったり、私たちが普段常識であると思っていることを別の視点から見たり、生活様式は100年前のものではありますが、それでも現代と通じることの多い名作だといえます。
- 著者
- 夏目 漱石
- 出版日
- 2016-06-24
『坊ちゃん』は夏目漱石がわずか10日足らずで書き上げました。しかしながら、物語のクオリティは非常に高く、「坊ちゃん」の痛快な行動は、私たちの心を晴らしてくれます。何より、抑圧的な日常を送っている人には特におすすめな作品といえるでしょう。
- 著者
- 夏目 漱石
- 出版日
『草枕』は、洋画家の主人公が那美を描くまでの物語をつづっています。田舎での生活を通して、人の世の中の生きづらさを描いているのです。また、「非人情」の体現者である那美との付き合い、そして漱石が思い描く芸術論など、様々な要素が統一され、一本の物語となっています。「非人情」を漱石がどう捉えているのかを、現代社会と照らし合わせても面白いかもしれませんね。
- 著者
- 夏目 漱石
- 出版日
『三四郎』の中で、田舎と東京の対比が度々登場します。この対比は、現代日本においても散見され、田舎の人であればあるほど、東京が「別世界」として映ることは、一度上京した人ならば経験したことのある人でしょう。その時の気持ちを思い出しながら、あるいは想像しながら読むと、より物語を楽しめることでしょう。
- 著者
- 夏目 漱石
- 出版日
- 1948-10-27
『それから』では、代助が決意をするまでの過程と、そしてその決意の行方を描く小説になります。大きなテーマや社会的な風刺は見られませんが、等身大の青年をメインに据えた物語は面白いものです。特に、代助がした決意がどのような影響を及ぼすのか、というところが大きな見どころとなっています。人を想うことの力の強さを改めて感じさせられるのではないでしょうか。
- 著者
- 夏目 漱石
- 出版日
- 1985-09-15
『門』は罪を犯した宗助が、ひたすら救いを求め続ける日々を描いています。後ろめたいことに対する救いを探すことは誰しもあることですが、彼が救われるべきか、そうでないかは、人によって意見が変わるところでしょう。そんなことを考えながら読むと、非常に味わい深い物語となるはずです。
- 著者
- 夏目 漱石
- 出版日
- 1986-11-29
『こころ』は「私」と社会における、エゴイズムとの葛藤、そして「先生」のエゴイズムのまま行動した結果起きた結末、そして先生の中に常にあった後悔など、「心と、心を抑え付けるものとの葛藤」をメインに描いています。
- 著者
- 夏目 漱石
- 出版日
- 1991-02-25
第一夜から第十夜それぞれの話には繋がりは無く、登場する人物や時代背景は各話ごとに違い、男女や親子、明治時代や神代の時代などさまざまです。ストーリーも、見かたによっては艶を感じる別れの切なさを描いたものや、怪談めいたものがあり広がりがあります。
- 著者
- 夏目 漱石
- 出版日
この学生時代を回想したエッセイは全5章で構成されています。いまや国民作家として知られる漱石ですが、かつては当然のことながら、学業にうち込む若者のひとりでした。
漱石は、帝国大学を卒業してイギリス留学を経験した、たいへん秀才なイメージで通っています。そうした私たちの漱石像をくつがえしてくれるのが、『私の経過した学生時代』というエッセイです。それは誰もが学生時代に感じた思いにつながるのではないでしょうか。
- 著者
- 夏目 漱石
- 出版日
- 2012-09-15
では、どんなことが書かれているのか。漱石はエッセイでこのようなことを告白します。いくら英語を勉強しても、分からないものは分からないと憤ったこと。同僚とボート競走で汗を流したこと。落第したことをきっかけに、授業中は先生の話に耳を傾け、試験の前にはテストに出る範囲を勉強しておこう、と心に誓ったこと。また初めてのアルバイトに英語を教える先生の仕事に就いたことなど、私たちにも身近に感じられる学生時代が回想されます。
夏目漱石も私たちと変わらず同じような学生時代を送り、同じように勉強に苦労して愚痴をこぼしたのです。
もうひとつ、夏目漱石が身近に感じられるエッセイをご紹介します。日本を代表する国民作家として不動の地位を築く漱石。そんな彼の苦手なことをご存知ですか?じつは彼が苦手としていたものがひとつあるのです。それが文鳥を飼うことでした。
夏目漱石は多くの門下生を抱えていましたが、その内のひとりに、鳥好きとして知られる鈴木三重吉という童話作家がいました。彼はある日の夜に、漱石の自宅を訪ねて「文鳥を飼ってみてはどうでしょう?」と執拗に勧めてみるのです。その気になった漱石が鳥を飼う日々の記録を綴ったのが、この『文鳥』というエッセイです。
- 著者
- 夏目 漱石
- 出版日
当初は文鳥の世話を細めにおこなっていました。朝はやくに起きれば、鳥がついばむ粟を餌箱に入れてやり、壺に入った古い水を新しいものに変えてやります。漱石はたいへんに文鳥を慈しんでいたのです。
漱石には楽しみにしていることがありました。三重吉の話によれば、文鳥は「千代々々(ちよちよ)」と美しく鳴き声をあげるというのです。また、飼い主に慣れてくると、手に乗せた餌を自然とついばむようになるというのです。文鳥のさえずる声とその餌をついばむ愛らしい姿を見たいと、はやる気持ちを抑えます。
ところが、鳥の世話をすることに慣れない漱石は、日に日にその世話を、家の者に任せてしまいます。以後、エッセイは、小説の執筆に忙しい漱石と見放されてしまった文鳥との関係に焦点があてられていきます。
漱石の門下生のなかには、内田百閒など鳥好きの文士が集っていました。彼らの綴ったエッセイと読み比べると、文鳥の飼い主たちのそれぞれの性格を比較することで、エッセイがいっそう興味深く感じられると思います。漱石もいわば人の子。このエッセイで、漱石の存在をより身近に感じてみてください。
『明暗』は漱石が死去してしまったため、100年が経過した現在でも未完となっています。しかし、夏目漱石という作家が、その人生で獲得したもの全てを込めた作品は非常に巧みで、面白く、人間のエゴがどれだけ多様なのか、ということを思い知らされます。人と付き合う人が多い人ほど、そう実感することでしょう。
- 著者
- 夏目 漱石
- 出版日
夏目漱石の作品は、どの作品でも共通して人間の「心」を描き切っています。「心」を描くということは全てのことに共通していますが、作品によって視点が違ってくるのです。心は誰しもが持っているものなので、共感しながら、読み進めることができるでしょう。文章も比較的平易で、読みやすいものばかりです。名作と呼ばれる夏目漱石の作品、読み始めるのに遅いということはないと思います。