川端康成といえば、1900年代半ばに活躍を続けた小説家です。人間の負の感情を全て知った上で愛や美を解く小説は、高い評価を受け、今もなお読み親しまれている傑作ばかりだと言われています。そんな川端康成の、おすすめの作品を5つ紹介致しましょう。

『山の音』は主人公の恋心を中心にして話が進みますが、主人公の家庭にもよく焦点が当てられます。本作の最大の魅力は、敗戦後という時代を背景にして、その悲しみに打ちひしがれる日本人の姿を描いていることにあるのです。そして、日本古来から受け継がれる、「悲しみ」の感性を細かく描ききっているところが大きな魅力といえるでしょう。
- 著者
- 川端 康成
- 出版日
- 1957-04-17
『伊豆の踊子』は、あらすじからもわかる通り恋愛小説です。川端康成の心をそのまま映し出したような主人公の心理描写は心をえぐるものがあり、特に最後の部分における主人公の独白は、胸を打つものがあります。最初に発行されたのが1927年と昔の作品でありながら、読みやすい文章で書かれているので、恋愛小説を求めている方にはおすすめの一作といえるでしょう。
- 著者
- 川端 康成
- 出版日
- 2003-05-05
『古都』の見どころは、千重子と苗子のたどる運命もそうなのですが、最も印象に残るのは京都の催しごとや、有名な史跡の数々です。一度も行ったことのない人はその言葉で彩られた美しさに感動するでしょうし、一度行ったことのある人にとっては、その再現度の高さに驚くことでしょう。身分の違いを気にせず双子と接する千重子と、一方で身分と教養の違いを重く受け止める苗子の心理描写の巧みさにも注目です。京都に行ったことがない人はもちろん、京都が身近にある人にも是非おすすめしたい一冊となっています。
- 著者
- 川端 康成
- 出版日
- 1968-08-27
『雪国』の特徴は、主人公が第三者として人物を眺めていくことにあります。そのため、視点が非常に読者と近く、そういった意味で主人公と読者の視点の一致はかなり高精度であるともいえるでしょう。『雪国』の名の通り、雪を背景にした美しい自然描写と、ドロドロとした人間関係との対比が非常にうまくできており、非常に評価が高い作品となっています。川端康成の作品の中でも特に「男女」に重きを置いて書かれており、恋愛が好きな人にとって本作はとてもおすすめできる作品だと言えるでしょう。
- 著者
- 川端 康成
- 出版日
『眠れる美女』は老人の性と、失われていく命との対比表現が非常に美しい作品となっています。裸の美女たちの描写は非常に官能的で、エロチックさえをも感じる作品です。見どころは川端康成の中に存在する、死生観、処女感が色濃く出ている、その描写でしょう。様々なタイプの女性の描写は、まるで目の前に存在しているかのように写実的に記されていました。川端康成の作品としてはイレギュラーな存在ですが、一読の価値ありの名作です。
- 著者
- 川端 康成
- 出版日
- 1967-11-28
以上5作の紹介でした。川端康成の作品は、日本の美を背景に、人間の感情を巧みに描く、という作品が多くなっています。それらは川端康成にとって、どちらも美しいものなのでしょう。人間にせよ、自然にせよ、「美」を描く川端康成の表現は多彩で、文章にさえ美しさを感じるものとなっています。その表現は決して古風ではなく、今もなお色あせていないことからも、完成度の高さがうかがえるのではないでしょうか。