昭和30〜40年代の下町を舞台に繰り広げられるホラーを得意とする作家、朱川湊人。2005年には『花まんま』で直木賞を受賞しました。今回はそんな朱川湊人のおすすめ小説を6作品、ご紹介します。

- 著者
- 朱川 湊人
- 出版日
- 2009-08-20
- 著者
- 朱川 湊人
- 出版日
- 2010-01-30
- 著者
- 朱川 湊人
- 出版日
- 著者
- 朱川 湊人
- 出版日
- 2008-04-10
物語の舞台は昭和30年代の東京都足立区です。小学生の和歌子は、母親と姉の鈴音の3人で仲良く暮らしています。
美しく優しいけれど病弱な姉の鈴音には、ある秘密がありました。鈴音には過去に起こった出来事や人の記憶を「見る」能力があるのです。鈴音はその能力をずっと秘密にしていたのですが、ある出来事から和歌子にだけは秘密を打ち明け、誰にも言わないよう頼むのでした。
ある日、和歌子の同級生の男の子が車に当て逃げされるという事件が起こり、和歌子は姉ならば逃げた犯人が「見える」のではないかと思い姉に協力を頼みます。繊細な鈴音は事故現場を見るのを怖がるのですが、「かわいそうな同級生と悪い人を放っておいてはいけない」という和歌子の言葉に動かされ、事故現場に行き犯人の顔と車を「見る」のです。
和歌子はお巡りさんに姉の見た事を伝え、同時に姉の秘密も打ち明けてしまいます。するとそのお巡りさんは、内緒にするという和歌子との約束を破り、鈴音の能力を神楽という刑事に話してしまうのでした。突然姉妹の元を訪れた神楽は、鈴音を未解決の一家惨殺事件の未だ血の跡が残る現場に連れて行き、犯人を「見る」よう要請します。以後、鈴音は何度も事件現場や容疑者を見せられることになるのでした。
- 著者
- 朱川 湊人
- 出版日
- 2009-02-25
神楽は事件解決に行き詰まると鈴音を頼り、和歌子は病弱な姉が「見る力」を使うと極度に気力体力を消耗することを知っていながらも事ある毎に姉の力を当てにしてしまいます。それはまるで、一度便利なものを知ってしまったら元の生活には戻れないといった人間の営みを象徴するかのようです。
この物語は、少女が不思議な力で事件を解決するという単純なものではなく、見るだけでは分からないこと、見たものには必ず別の側面があるという事を教えてくれます。主人公の少女たちはまだ幼いため見たものを見たとおりに捉えてしまいますが、いくつもの失敗を経て、「目に見えないものを見る」ということを学んでいくのです。そして姉妹の秘密を知らないはずの母が時々に発する言葉は、どんな時代にも人にとって大切な事を思い出させてくれます。
- 著者
- 朱川 湊人
- 出版日
以上、朱川湊人のおすすめ小説を5点、ご紹介しました。ノスタルジックな世界の中で、様々な趣向のホラーを展開します。多くが短編で読みやすいですので、気軽に挑戦してみてください。