場面描写やアクションシーンが巧みな真保裕一(しんぽ ゆういち)。読みはじめたらページをめくるのが止まらない作品ばかりです。そんな真保裕一の作品のおすすめをランキング形式でご紹介します。

この小説の魅力のひとつは、いくつもの事件にからむ複雑な人間関係でしょう。
- 著者
- 真保 裕一
- 出版日
- 1994-07-07
真保裕一『繋がれた明日』は仮釈放された元殺人犯、隆太の仮釈放後の生活と取り巻く人々の思いが描かれた物語です。
人の命を殺めてしまった場合、弁償できるというものでもありません。被害者の家族にとっては刑期を終えたからといって、その罪が許せるものでもないのです。また刑期を終えても世間は元殺人犯として白い目で見てしまうことは想像に難くありません。
- 著者
- 真保 裕一
- 出版日
- 2008-07-29
『繋がれた明日』では、そんな加害者に対する被害者の家族の気持ちや、世間の目線、また、殺人犯の家族という重荷を背負っていく家族の生活や、一緒に刑期を終えた服役仲間が、やはり復帰した社会でうまくやっていけない状況も描かれているのです。
隆太のように、「どうせ世間は認めてくれない」という思いや、「俺だけが悪いのか?」という感覚は、犯罪が絡んだ世界だけの話でもありません。仕事上の失敗や、家庭内での不和においても、「あのときの状況は自分だけが原因なのか?」と考えてしまうものです。出来上がってしまった人間関係の中では、「ほらまた」、「どうせこう思われてる」といった本作の主題そのものが日々展開されています。
そんな厳しい仮釈放後の世界であっても、手を差し伸べてくれる人は大勢いるのです。保護司をはじめ元服役者を雇い入れてくれる会社や励ましてくれる元の仲間もいます。
真保裕一は、事件そのものだけでなく、その事後談や経過に重きをおいた作品が得意です。普段は光のあたらない世界に光を当てることで、新たな人間ドラマを世に送り出しています。
『繋がれた明日』では、お互いが相手の立場や想いに気づいたとき、本人の鬱屈した思い込みや相手の思い込みをも変えていくこと、新しい関係に変化していくことが表現されているのです。最後にその部分に到達したとき、きっとすっきりとした読後感に浸ることができます。
記憶喪失とは少し異なる、新たな人生を再び積み上げていくという「再成長」の物語となります。同じ身体でも過去の記憶がまったくなければ別人格なのでしょうか。『奇跡の人』は奇跡の大きさと過去の行状の深さの乖離がもたらす、新たな人生の苦悩を描いた社会派サスペンスです。
相馬克己は車の衝突事故により、脳死寸前の瀕死の重傷を負います。しかし母や医師による手厚い治療により、8年をかけ、退院して独り暮らしができるまでの「奇跡」の回復を遂げるのです。残念ながら母は病に倒れすでに亡くなっていましたが、病院や民生委員のサポートにより、克己は職を得、社会生活を営んでいきます。
しかし、記憶のない入院前の人生に疑問を抱いた克己は、周囲のサポートを振り切って単身東京に向かいます。わずかな手がかりから過去を少しずつ解明していくにつれ、現在とは別の「相馬克己」像が明らかになっていくのです。以前の相馬克己は何をしでかしたのでしょうか?
- 著者
- 真保 裕一
- 出版日
- 2000-02-01
過去と決別し、新たな人生を歩ませるためにあらゆる努力を施した亡き母のふるまいや、医師、以前の仲間は、克己に対し、過去ではなく未来「だけ」を向いていくよう諭していきます。しかし克己の「奇跡」により、それまで葬り去られていた関係者の過去も炙りだされてしまうのです。幾重にも重なる因縁を真保裕一が追い詰めるように明らかにしていきます。
脳死のような重篤な症状の場合は罪に問えるのか?医学の発達や「奇跡」のおかげで復活した場合、その犯した罪はどうなってしまうのか?真保裕一が『奇跡の人』によって読者に突きつけた重いテーマを是非お楽しみください。
「なぜ狙われるのか」という部分を読者は主人公・不破とともに知っていく形の展開になります。最後、その動機がわかったときの相手の執念にぞっとするのではないかと思います。
- 著者
- 真保 裕一
- 出版日
- 2016-03-04
「遺影」が50歳で、「暗室」で42歳、「ストロボ」で37歳、「一瞬」で31歳、「卒業写真」で22歳と、遡っていく形式になっています。
- 著者
- 真保 裕一
- 出版日
- 2016-07-08
どの作品も最後に意外な真実がわかるのですが、その展開のテクニックもさすがでした。実際に登山しているような緊張感も抱ける真保裕一の一作。おすすめですよ。
- 著者
- 真保 裕一
- 出版日
- 2008-01-16
計画した犯罪を行動に起こすための準備が、ノリの良い会話とユーモアがあって、軽快で読みやすい文体で微に入り細に入り描かれていて、さくさくと読み進められる上に、緻密な構成が相まってクライムノベルとしての完成度がかなり高いです。
- 著者
- 真保 裕一
- 出版日
- 2012-06-14
何度もその場から逃げだすチャンスがあった富樫がどうしてひとりでテロリストに立ち向かっていくのか、が描かれる緊張感にページを捲る手が止まらないどころか、最後まで一気に読み進めなければ落ち着かない気持ちになるくらいの作品です。
- 著者
- 真保 裕一
- 出版日
- 1998-08-28
戦争小説としても本作品は卓越しています。前線の活動は映画を見ているようなスピード感と存在感を感じることができるからです。
- 著者
- 真保 裕一
- 出版日
- 2009-06-10
ビジュアル表現が大事なアニメのシナリオなどを書いていたからでしょうか。真保裕一の場面描写はほんとうに巧みで、それを読むだけでも得した気分になれます。もちろんミステリーとしても傑作ばかりですよ!