本格派推理作家・二階堂黎人とは?
二階堂黎人(にかいどうれいと)は1959年、東京都で生まれます。中央大学理工学部卒業。理系の学部ながら、大学在学中には手塚プロ主宰の「手塚治虫ファンクラブ」の初代会長を務めるほど手塚治虫の熱心なファンでした。
大学卒業後は運輸省の外郭団体で勤務しながら、小説を執筆。1990年、『吸血の家』が第1回鮎川哲也賞で佳作入選します。その後、1992年に出版された『地獄の奇術師』で作家デビューしました。
二階堂黎人による、世界最長の推理小説!
ドイツとフランスの国境の、険しい渓谷の上に建つ双子の古城・人狼城。銀の狼城と青の狼城からなるこの城には、城主が人狼に惨殺されたという言い伝えが残されています。1970年、ドイツ側の銀の狼城に10名の客が招待されました。古城で優雅な滞在をするはずが、閉鎖空間となった城の中で連続殺人に巻き込まれていき―。
- 著者
- 二階堂 黎人
- 出版日
本作は、ギネスにも認定された世界一長い推理小説。ご紹介した第1部から最終巻第4部まではあわせて4000ページを超える超長編小説なのです。ただし物語のスピード感や確立された世界観は圧巻です。次の展開が気になり、ページをめくる手が止められなくなるでしょう。
少しネタバレとなりますが、第1部と第2部は「出題編」のため、事件は解決しません。第3部でようやく謎に挑む探偵が登場し、第4部の完結編へと続いていくのです。なお第3部から登場する探偵・二階堂蘭子は、筆者の代表作「二階堂蘭子シリーズ」の主人公。彼女は「ハリウッド女優のような豊かな巻き毛、滑らかな輪郭の顔だち、そして猫のような黒い瞳」と称される美貌と、シャーロック・ホームズを思わせる抜群の推理力とを併せ持ちます。
ミステリーには欠かせない圧倒的な魅力を持つ彼女は、果たしてどのように閉ざされた古城の謎を解決していくのでしょうか? 第4部の完結編までミステリーファン必読の1冊です。
二階堂黎人が変人探偵を描いたシリーズ第1作目
旅行会社に勤務する水乃サトルは、長身の美男子ですが、周りの女性からは変人扱いされれいます。そんなサトルと、彼に密かに恋心を抱く部下・見並由加里が、本作の主人公です。
- 著者
- 二階堂 黎人
- 出版日
- 2008-09-12
ある日、サトルと由加里は出張からの帰途、連続殺人事件に巻き込まれて容疑者にされてしまいます。ペンション、ホテル、列車内で見つかったそれぞれの死体は、同じナイフによって殺されていたのでした。この連続殺人の謎に、変人改め探偵・水乃サトルが挑みます。
本作を魅力的にしているサトルは、ブランド物(偽物やバーゲン品)に身を包み、高級外車(借り物)を乗り回す個性の強いキャラクター。しかしその推理力は侮れません。由加里の密かな恋が進展するのか、という点も見どころの一つでしょう。
前述の『人狼城の恐怖』が重厚な推理小説だとしたら、本作はサクサク読める推理小説入門編のような作品。「水乃サトルシリーズ・社会人編」の第1作目でもある本作は、特にミステリー初心者におすすめしたい1冊です。