三畳間から世界へ飛び出した、作家・高野秀行
高野は、日本のノンフィクション作家であり、翻訳家です。1966年に東京都八王子市で生まれ、早稲田大学第一文学部仏文科を卒業。在学中は探検部に所属し、探検紀をまとめた『幻の怪獣・ムベンベを追え』でデビューしました。
1992〜1993年には、タイ国立チェンマイ大学日本語科、2008〜2009年には上智大学外国語学部で講師を務めます。
自身の執筆作品を含めた「エンターテインメント的なノンフィクション」を、「エンタメ・ノンフ」と命名し、反響を呼びました。2009年1月には「エンタメノンフ文芸部」を結成、闘病記『困ってるひと』がベストセラーとなった、大野更紗のデビューのきっかけを作りました。
公式サイトのプロフィールでは、執筆活動のモットーは、「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをして、それを面白おかしく書く」とされています。しかし、本来は、真面目でおとなしく、協調性がある、日本社会に合い過ぎる性質と自己分析されているようです。
1: 三畳一間で繰り広げられる、奇妙な青春日記『ワセダ三畳青春記』
酒飲み書店員大賞受賞作品。著者が、大学時代から11年間を過ごしたアパートでのできごとを綴った作品です。
- 著者
- 高野 秀行
- 出版日
三畳一間、家賃は月1万2千円、ワセダのボロボロアパート・野々村荘に入居した「私」は、奇妙な住人たちと、愉快な大家のおばちゃんに翻弄されることになります。主人公である「私」も、探検部の仲間たちと幻覚植物で人体実験をしてみたり、三味線屋台をはじめて儲けようとしてみたりと、はちゃめちゃで…。
ほのぼの青春日記のような本書には、心温まる善良なエピソードも、厳しく残酷な現実も出てきません。自分が知らない、経験もできないかもしれない、あまりも斬新な他人の生活をのぞくような感覚で読んでみると、本当に楽しめますよ。
2: 東京がトーキョーに見えるトキ『異国トーキョー漂流記』
多国籍の友達を持つ高野が、彼らと過ごす日々を綴る友情物語。自分探しに日本に来たフランス人、大連から来た回転寿司好きの中国人、故郷を追われたイラク人などが登場します。彼らとさまよう「東京」は、「トーキョー」で、「ガイコク」に見えてくるのだとか。
- 著者
- 高野 秀行
- 出版日
本書には、日本に来た外国人の孤独、肩身の狭さ、居心地の悪さが溢れていています。このような状況でも、楽しく快適に生活をし、日本が好きだと言って日本に残る人もいれば、残っていたいけれど出て行かねばならない人もいます。中には、日本に疲れて去ってしまう人も…。切なさを感じずにはいられません。
外国人と日本人がきちんと向き合い、お互いに理解を深められたのなら、日本に来た外国人も日本人も、楽になれるのではないかと思えた1冊でした。知り合いに外国籍の人がいなくても、視野が広まること間違いなしの作品です。