賞味期限の知られざる真実
『賞味期限のウソ: 食品ロスはなぜ生まれるのか』では、賞味期限が短くされている理由が説明されます。それは、食品メーカーがあらゆるリスクを考慮し、必ず問題が起きないといえる賞味期限(=短めの賞味期限)を設定せざるを得ない、ということ。
というのも、メーカーから商品が出荷されれば、流通過程から消費者に届くまでの保存管理は、一律ではありません。季節や天候なども影響してきます。多くの人に安全な食を届ける企業としては、賞味期限を短く設定して、リスクを回避する必要がある、というワケです。
そのうえ、企業によって短く設定された賞味期限の商品は、「あるルール」によってさらに短命となります。それこそが、賞味期間全体の3分の2(=販売期限)が超えた商品を、スーパーやコンビニなどが、棚から撤去するという「3分の1ルール」。
本書によれば、「3分の1ルール」は、法律ではなく「食品業界の商慣習」といいます。賞味期間は3分の1ごとに区分けされ、初めの3分の1は「納品期限」、次の3分の1は「販売期限」とされるのです。
「納品期限」について補足すると、たとえば、賞味期間が6ヶ月であれば、製造から2ヶ月を超えたメーカー・卸による納品は、多くの小売店に拒否されてしまうのです。
以上のように本書では、賞味期限の裏側を辿りつつ、食品ロスがなぜ起きるのか、という疑問に答えていきます。消費者として食品を手にするすべての人が、思わず「へえ〜!」と思ってしまうような、興味深い内容ばかりです。
そして何よりも、節の終わりに登場する「今日からできること」というミニコーナー(?)が魅力的といえるでしょう。身近な人に販売期限の存在を話す、など、一人ひとりがすぐにできることばかりなので、食品ロス問題に対して、一歩踏み出して行動してみよう、と感じられるはずです。
- 著者
- 井出 留美
- 出版日
- 2016-10-28
個人でできる対策
食品ロスに対して個人ができる対策としては、どのようなものがあるのでしょうか。今回は、①食べ残し、②食材の余り、③期限切れ、という3つの観点から、まとめてみます。
①食べ残し対策
・適切な量の料理を作る
・外食時には、自分が食べ切れる量や嫌いな食べ物を見極め、注文時に伝える
②食材の余り対策
・料理レシピサイトなどを活用して、今ある食材を食べ切る
③期限切れ対策
・事前に冷蔵庫の中身をチェックするなどして、食材を買いすぎない
・冷蔵庫での保存場所は、食材に合わせて変える
・賞味期限と消費期限の違いを理解し、適宜判断する
当たり前なようで、意外とできていないことも多いかもしれません。食品ロスのおよそ半分は家庭から出ているので、日頃から地道な努力を続けていきたいものです。
それでは、個人以外ではどのような取り組みがあるのでしょうか。以下では、欧米と日本の食品ロス対策を見ていきます。
【欧米編】個人以外の対策
アメリカやフランスなどで行われている取り組みに、生活が苦しい人たちに賞味期限が近くなった食べ物を無償で提供する「フードバンク」があります。
フランスでは、大型スーパーでの食料廃棄を禁止してフードバンクなどへの寄付が義務付けられている法律もあるほどです。
なお日本では、「セカンドハーベスト・ジャパン」など、精力的に活動を行う団体はありますが、寄付者の責任の重さや、一般的な認知度の低さから、まだまだ一般的とはいえないでしょう。
また欧米の飲食店では、外食時に食べ残した食品を持ち帰れる容器「ドギーバッグ」が広まっています。食中毒などの注意は必要ですが、食品ロスを減らす際には活用できそうなアイディアです。
それでは、「フードバンク」や「ドギーバッグ」が広くは普及していない現状の日本では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。