メロンのぬか漬け、空飛ぶステーキ、ジャムのおむすび……
- 著者
- 嵐山 光三郎
- 出版日
- 2008-01-07
厨房でふるまう、さまざまな料理を記した本。ただの料理本ではなく、素人が試行錯誤して編み出したレシピなので、面白そうで美味しそうな珍しい料理本になっています。
この本を開いてみると、まず目次に書いてあることから、驚くでしょう。
メロンのぬか漬け、空飛ぶステーキ、ジャムのおむすび……。おおよそ、普通の料理本には載っていないメニューの数々。嵐山光三郎のセンスを感じます。
字面だけ見ると美味しくなさそうに感じますが、読むと一転、食べてみたい、作ってみたいと感じさせるものばかり。
メロンのぬか漬けも、嵐山光三郎の探求心からできた逸品であり、同時期に作ったジャガイモの味噌漬け、昆布の粕漬、メロンのぬか漬けの中で一番おいしいため紹介されています。メロンの甘さはぬかによって消され、糖分とぬかが混ざり良い味になるのだそう。
思わずよだれが出てしまう一冊です。
芭蕉狂いが巡る、紀行エッセイ
- 著者
- 嵐山 光三郎
- 出版日
芭蕉狂いで有名な嵐山光三郎が松尾芭蕉の全紀行文の足跡を追いかけた紀行エッセイ集。芭蕉を心の師としてあおぐ著者が、平成10年より2年間かけて実地踏査した大作です。
中学3年の国語の授業で「奥の細道」に感銘を受け夏休みに日光、白河へとひとり旅を決行しました。大学時代には自転車で「奥の細道」の全行程を走破したといわれるほど、嵐山光三郎は芭蕉狂いとして知られています。
松尾芭蕉は、巡った先々でパトロンを獲得し人脈をつくる相当のやり手で、弟子は、豪商と医者と武士が多く、地方興行するときに役に立つ職業でした。
嵐山光三郎によれば芭蕉は危険人物であり、体力強健で食欲と名誉欲、そして意思も人一倍強かっただろうとしています。
そんな芭蕉を思い描きながら著者が巡る旅は、とても読み応えある一冊です。野ざらし紀行やかしま紀行、クライマックスの有名な奥の細道など、松尾芭蕉で有名な場所を嵐山光三郎が巡っています。
芭蕉の生い立ちも書いてあるのですが、芭蕉紹介だけでなく、その土地の美味しいものの紹介をしたり鹿島アントラーズの試合を観ていたり、自分も機会があれば行ってみたいと感じるでしょう。嵐山光三郎手描きの絵地図があるのも、微笑ましいです。
この本を読むと松尾芭蕉やそのゆかりの土地を身近に感じることができ、芭蕉をよく知らない人にも是非読んでいただきたいおすすめの一冊となっています。
老人アイドルを俗人として考える
- 著者
- 嵐山 光三郎
- 出版日
- 2008-09-30
俳聖としてあがめられ、数百二亙研究所や評釈集も、芭蕉を「求道の人」「詫びさびの俳人」とされている松尾芭蕉。しかしながら、周囲は危険人物だらけであり、芥川龍之介に「彼は実に日本の生んだ三百年前の大山師だつた」と言わしめるほどの人物でした。
本書は『悪党芭蕉』というタイトルをつけ、あえて俗人と同じレベルで考え直そうとした本です。
本の表題から挑戦的であり、内容もそれに沿い挑戦的なものとなっています。
芭蕉狂いといわれる嵐山光三郎だからこその膨大な知識、教養、捜査能力や行動力を駆使し、芭蕉の人生と俳句の関係性を暴き、弟子たちとの確執と晩年の孤独、焦燥を見事に表現しました。
「古池や 蛙飛び込む 水の音」など、誰でも知っている句への驚きの切り口や実況のように描かれる解説の面白さ。知れば知るほど、芭蕉の凄さが見えてきます。
嵐山光三郎は、この本を書き終えて、ますます芭蕉捜査への意欲をかきたてられ、じっとしていられないと言いました。同じように、この本を読むことでますます芭蕉について知りたくなることでしょう。