Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2016年 12/27 号 [フェイクニュースの世界]
選挙や、一般の人びとの生活までをも混乱させる「フェイクニュース(偽ニュース)」が注目を浴びています。今回は基本的な知識から、日本・世界での具体例、その対策までを、参考になる本や雑誌とともにご紹介しますƒ。

フェイクニュースとは、真実ではないニュースのこと。短時間で多くの人に情報を拡散できる「SNS」と、客観的な事実よりも、感情的な主張などが影響力を持つという「脱真実(ポスト真実、ポスト・トゥルース)の政治」が台頭する中で、注目を集めています。
デマや虚報と異なる点は、目的を持って意図的に虚偽のニュースを流していることです。誤解や憶測を生むことで、多くの人に混乱を招いています。また、人から人へと広まるのでもなく、マスメディアを使っているわけでもなく、ネットやSNSというコンテンツで虚偽のニュースを流しているのも特徴です。ネットでは、誰でもが情報を発信することが出来るため、拡散すればそのスピード感は大変なものでしょう。
フェイクニュースは、イギリスのEU離脱やアメリカ合衆国大統領選挙に影響を与えたと言われています。選挙といった政治に大きく影響を与える虚偽のニュースは、放っておけない社会問題だといえるでしょう。
なおアメリカのトランプ大統領(2017年4月時点)は、情報が正しいかどうかではなく、政権にとって不都合とされるメディアを「フェイクニュースメディア」と批判しました。ただし今回の記事では、「真実ではないニュース」のことをフェイクニュースとして扱っていきます。
それでは、なぜ虚偽のニュースであると見破ることは難しいのでしょうか。その理由は、核心の部分は偽物であっても、その他の部分が真実であることが多いためです。
例えば、「日本がデフレに陥ったのは、中国やインドから安価な製品を輸入する量が増えたからだ」という嘘のニュース。確かに、中国やインドといった新興国から、安い製品を輸入している量は、貿易輸入量・額から見ても増加しています。しかし、この輸入の増加と、核心部分である「デフレに陥ったこと」は関係性がありません。
このように、核心の部分は嘘であっても、その他の部分が真実であるフェイクニュースが多いため、ついつい騙されてしまうのです。
①日本
2016年に熊本県が地震に見舞われた際に「動物園からライオンが逃げている」という主旨のフェイクニュースが、ツイッター上で拡散されました。被災地の不安を煽る1要因となった、悪質な偽情報といえます。
その他には、「マイナンバーは抹消することが出来る」、「大麻は有害ではない」などの偽のニュースがまわりました。
②海外
2016年のアメリカ大統領選挙では、「トランプ氏がローマ法王に支持されている」というフェイクニュースが広がりました。そのシェア数は、なんと90万回。一方、「このニュースは偽物だ」と伝える正しい情報は、およそ3万3000回しかシェアされなかったといいます。
さらに、クリントン氏に対する虚偽のニュースが広がったのも有名です。彼女が小生児愛者や児童奴隷を運営する組織の中心人物であると報道された「ピザゲート事件」はTwitterで大きな反響を呼美、一部選挙結果に影響がでたとも言われています。
それ以外にも、ドイツでは、ロシア系ドイツ人女性が拉致され、性的暴行を受けたとい嘘のニュースが報道されました。この報道が嘘のものだと分かる前には、大規模なデモが起こるなど大きな反響を呼んだそうです。
このように日本・世界共にフェイクニュースは社会に大きな影響を及ぼしているのです。
- 著者
- 藤代 裕之
- 出版日
- 2017-01-17
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2016年 12/27 号 [フェイクニュースの世界]
2016年12月20日![]()
真実ではないニュースである「フェイクニュース」。国内外を問わず、情報が拡散されやすいSNSや、客観的な事実よりも感情的な主張などが影響力を持つという「脱真実(ポスト真実、ポスト・トゥルース)の政治」が力を発揮していく中で、注目を浴びています。
今回はそんな背景に潜むものとして、情報発信者が広告収入を得たいといった経済的な思いや、新たなネットメディアの誕生を挙げました。企業などが偽のニュースに取り組むことはもちろん、個人としてもそれらの情報に騙されないような判断力を養っていく必要があるでしょう。