待機児童問題の解決のために必要な対策とは?
国や自治体では、待機児童問題に対して、以下に4点の対策を実行しました。
①小泉内閣によって、2002年に行われた「待機児童ゼロ作戦」
②2011年から東京都が独自にスタートさせた認証保育所制度
③安倍内閣が2013年からスタートさせた「待機児童解消加速化プラン」
④2016年に厚生労働省が発表した「待機児童解消緊急対策にかかる方針」
①~④に共通していえることは、認可保育所の新増設というよりは、規制緩和(※定員を超えた入所を増やしたり、資格を持つ保育士の配置数の割合を変更したりした)によって、待機児童の問題を解消しようとした点にあるといえるでしょう(季刊「人間と教育(No. 92)」を参考)。
この他にも、認可保育施設の基準の見直しや、無認可保育施設の活用推進、保育士の労働環境改善、待遇の是正など、対策をとるべきことは山積みです。
また国や政府だけではなく、企業の協力も、待機児童問題の解決に大きく貢献することでしょう。企業内保育園の建設や在宅勤務の増加、フレックスタイムでの勤務を可能にするなど対策をとることが可能です。
政府や企業が一丸となって、待機児童問題の対策に努めるべきでしょう。
保育園の整備が追いつかない理由とは?
増加傾向にあるという保育園の数。しかし待機児童問題を解消できるまでには、保育園の数が足りていません。それはなぜでしょうか。『世界一子どもを育てやすい国にしよう』では、保育事業を行う認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎氏が、保育園の供給が間に合っていない背景として「4つの壁」を挙げます。
- 著者
- 出口治明・駒崎弘樹
- 出版日
- 2016-08-05
①予算の壁
・都市部の保育士不足を解消するために必要である、保育士の処遇改善のための予算
②自治体の壁
・過剰インフレを避けようとして行われる、過少なコントロール
・待機児童がいても認められないこともある、保育園の定員の弾力化
・都市部の保育園運営に必要な「上乗せ補助」を根拠にして行われる、過剰規制
③物件の壁
都市部における、大規模認可保育園のための用地や物件の不足
④制度の使い勝手の壁
小規模保育などを含む「地域型保育」を中心とした制度の不備
なるほど、保育園が増えない原因は、マスメディアなどでよく取り上げられる保育士不足だけではないのですね。
なお本書では、認定NPO法人フローレンス代表理事と、ライフネット生命保険の会長による対談形式がとられています。「安心して子どもを育てられる社会にしていくために必要なものは何か」ということを軸に話が進められ、待機児童問題から少子化の問題まで、子どもが関係してくる問題が多岐にわたって語られていきます。
課題も多い今の社会の未来について、一人ひとりが「前向き」に考えられるきっかけとなるような1冊です。
幼保一体化と、待機児童の繋がりとは?
ここまで紹介した待機児童対策のほかに、幼稚園と保育園の一体化を目指す政策である「幼保一体化」が挙げられます。『母の友(2016年8月号)』では、保育問題について長年取材を重ねてきた猪熊弘子が、幼保一体化について、数ページでコンパクトに解説していきます。
母の友 2016年8月号 特集「子どもも大人もなぜ惹かれる? やっぱり妖怪が好き」
2016年07月02日
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水木 しげる (著), さとうわきこ (著), 石黒 亜矢子 (著), 西平 あかね (著), 小松 和彦 (著), 沼野 正子 (著), 近藤 初江 (著), 佐々木 周 (著), 中村 柾子 (著), 菅澤 順子 (著), 東 直子 (著), 内澤 旬子 (著), 大野 更紗 (著), 猪熊 弘子 (著), 山田 真 (著), 浅生 ハルミン (著), 金原 由佳 (著), 手島 渚 (著)
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福音館書店
「認定こども園」という言葉を、ニュースなどで聞いたことがあるという方も多いかもしれません。認定こども園とは、幼稚園と保育園が一体化た施設のこと。その普及は、2015年より開始した「子ども・子育て支援新制度」の大きな目的の一つとして掲げられていました。
しかしなぜ、認定こども園が待機児童の解消に繋がるのでしょう。本書を参考に、段階を追って見ていきましょう。
①都市部では、保育園に使える土地が不足している
↓一方で、
②幼稚園では、園庭が認可の必須条件で、園によっては広大な敷地がある
↓だから、
③広大な敷地に、こども園や小規模保育所を建てれば「幼稚園の預かり保育と連携して0歳〜2歳の子どもを預かること」ができる(「」内は本書より引用)
↓結果的に、
④待機児童問題の対策の一つとして期待されている
しかし現場の職員や保護者の立場に立つと、いくつか課題も見えてくるようです。詳しくは、ぜひ本書で確認してみてくださいね。
ちなみに月刊雑誌「母の友」の発行元は、絵本で有名な福音館書店。薄めで(今回紹介している号は84ページ)、サイズも21×17cmと大きくはありませんが、内容は充実しつつもわかりやすく、保育に関わる全ての人にぴったりの1冊といえるでしょう。