「自由」を楽しみ、「自由」に苦しむ”のが大学生活
高校までと大学、その大きな違いは「自由さ」です。
一方、「自由」であるということは、「誰も決めてくれない」「自分で決めるしかない」ということでもあります。
例えば、いわゆる「楽勝科目」と呼ばれる「単位を取得しやすい講義」ばかりを選ぶこともできます。ところが、「もっと大学で勉強しておけば良かった」というのは社会人のグチの定番でもあります。
では、大学生活にはどのような形の「自由」がありえるのか。
それを紹介しているのが『大学生活30のルール』です。
”「自由」を楽しみ、「自由」に苦しむ”というフレーズも、本書から引用しています。
- 著者
- 常見 陽平
- 出版日
- 2014-03-22
「ルール」というタイトルから「してはいけないこと」が書いてあると想像してしまいそうですが、実際には「大学生活でやってみるオススメ30のこと」が書かれています。
大学生のインタビューも掲載されていて、大学生の「自由」に様々な形があることを知ることができます。
例えば、社会人サッカーチームのキャプテンになった学生、ジャズ・トランペットで最年少優秀ソリスト賞を獲得した学生、読者モデルをきっかけにファッションショーに出演した学生、本の出版を企画し書店に流通させた学生などが紹介されています。
こういったことを紹介すると「そんなにすごいことをしないといけないのか」と不安になってしまうかもしれませんが、著者はそれには否定的です。あくまで「大学生活を楽しみ尽くす」ことを薦め、その結果として就職などの将来が開けてくることを論じた本です。
大学で「やらなくても良いこと」をたくさんやろう
映画化もされた『桐嶋、部活やめるってよ』(集英社)で早稲田大学在学時に小説すばる新人賞を受賞し、作家デビューした朝井リョウ氏。その短編エッセイ集『時をかけるゆとり』(文春文庫)は、もともと『学生時代にやらなくてもいい20のこと』として刊行されたものが文庫化にあたって加筆・改題されたものです。
- 著者
- 朝井 リョウ
- 出版日
- 2014-12-04
本書の巻頭にある、社会現象と朝井リョウ氏個人の出来事を記した「年表」は、いきなりパンチが効いています。
例えば08年(大学1年生)では
「リーマン・ブラザーズが破綻」
「バラク・オバマ氏が初のアメリカ黒人大統領に」
「日比谷公園で派遣年越し村に人々が集まる」
といった社会現象と合わせて、朝井リョウ氏の出来事として、
「山梨で便意が爆発。見知らぬ民家に駆け込み一家団らんをぶち壊す」
「学祭用に映画を製作。2日間で動員2名を記録」
「秋から毎週受けていた講義の教室を間違え続けていたことが発覚」
などが記載され、それが各短編エッセイの目次の代わりになっています。
他にも
「麻布十番にて黒タイツおじさんに遭遇」
「したこともない就職活動についてエッセイを書き、お金をもらう」
「執事喫茶の徹底された世界観になす術もなく閉口する」
「友人とリアル脱出ゲームに参加。友情に亀裂が走る」
「文庫『時をかけるゆとり』を刊行。年表を付けたいと言いだし、担当編集者Kを困惑させる」
といった笑えるネタが満載です。
さて、既に述べたように大学生活は自由です。これは裏返せば「絶対にやらなければならないこと」は極めて少なく(卒業論文が必須ではない大学・学部等もあります)、いかにたくさん「やらなくても良いこと」をするかが、どのような大学生活を過ごすかに大きく関わってくることを意味します。
朝井リョウ氏が日々の生活から人を楽しませるエッセイを作りだすように、学問・学術領域を問わず様々なものを「取り込み」「解釈し」「伝える」といった力を鍛えること自体が「社会に役立つ」のではないかと思います。
自由の中からいかに選び、「決断」するか
さて、何度も繰り返しになりますが、大学生活は自由です。ですから「何をするか」あるいは逆に「何をしないか」を決めなければ、あいまいな日々を送ることになりかねません。
では、迷ったときには、どのように決断すればよいのでしょうか。これについて「ディベート思考」という方法を提案しているのが、2011年に発売されベストセラーにもなった『武器としての決断思考』です。
著者の瀧本氏は東大法学部から大学院をスキップしていきなり助手となり、そこから外資系コンサルティング会社のマッキンゼーに転職、その後、投資家として経営再建などに携わりつつ、京都大学で客員教授として教鞭を取るという異色の経歴の持ち主です。
- 著者
- 瀧本 哲史
- 出版日
- 2011-09-22
本書の本文は次の一文から始まります。
”人間を自由にするための学問”
この言葉は「教養」を英語で「リベラル・アーツ(Liberal Arts)」としてその歴史的背景や意味を紹介し、それを瀧本氏が日本語に意訳し直した言葉です。
なぜ教養、そして決断思考が必要なのでしょうか。
本書から引用すれば
「”私たちは、過去のやり方が通用せず、未来予想もうまくできないなかで、自分の人生や家族の将来を見据えながら、ひとつひとつ最善と思える<意思決定>を行っていかなければ”」
ならないからです。
大学で教鞭をとりながらビジネスの最前線にいる瀧本氏はなぜこういったこと伝えようとしているのか。気になる方は、ぜひ本書をお読みいただければと思います。