たかのてることは
たかのてるこは1971年生まれ。各地を旅する旅人であり、エッセイストであり、テレビプロデューサーです。
今まで旅行した国はインド、モロッコ、イラン、ヨルダン、ウガンダ、バチカンチェコ、クロアチア、ボスニアヘルツェゴビナなど 60か国以上。
また、テレビプロデューサーとして働く傍ら紀行エッセイを執筆したり講演会を開いたりしながら、世界各国で拾い集めた数々のエピソードを伝え続けています。彼女の旅のモットーは「ことばや宗教・習慣が違ってもみんな同じ時代を生きている仲間」。この信条をもとに世界中の人々と仲良くなるべく各地を飛び回っているのです。
世界中を力強く冒険し続けるたかのてるこですが、この彼女の原動力のひとつとなったのがあの人気作家であり、彼女の親友の吉本ばななが言った「動くてるこを映像にすれば天職になる」という言葉だったそうです。彼女の行動力は留まるところを知らず「地球の歩き方」とコラボで旅グッズの開発に取り組むなど精力的に活動を続けています。
旅好きの人に捧げる旅のバイブル
「世界中のすべてをこの目で見てみたくて、世界中のあらゆる笑顔に会いに行きたくて、旅をしている自分を想像しただけて、体がウズウズしだし、胸がドキドキしてしまう。(中略)”思うことは叶うこと”だ。心はもう、動き始めている。あとは、私の心が『行きたい』と思った国に、体を動かしていくだけでいい。私はもうリュックひとつで、世界中のどこにだって行けるんだ!」(『ガンジス河でバタフライ』より引用)
- 著者
- たかの てるこ
- 出版日
この言葉を聞いて胸がときめかない旅好きがいるでしょうか?たかのてるこの旅への熱い思いがこぼれ落ちるように伝わってくる力強い言葉だと思います。
この『ガンジス河でバタフライ』は、たかのてるこのインド旅行の様子を綴ったエッセイです。彼女の人生初の海外旅行である香港とシンガポールへの旅行記も掲載されています。
彼女の目を通して見えてくるインドの「ありのままの姿」。朧げな形でしか捉えることが出来なかった「インド」という国の輪郭を、彼女が太線でなぞって示してくれているようです。
例えば列車で知り合ったインド人のおじさん宅に泊めてもらった時のエピソード。作者は偶然おじさんの奥さんがお手伝いさんに向かってスプーンを投げつけているのを目撃してしまいます。
殴る、蹴るなどの暴行までもはいかないものの、スプーンを投げるという屈辱的な行為が妙に現実的で生々しい。そんな現実にたかのてるこはショックを隠せなかったことを正直に記しています。雇われる側と雇う側。カーストはいったいどのような形で人々の生活に潜んでいるのか。いろいろと考えさせられる要素も含まれています。
旅に出る気持ちを駆り立て、そしてもう一度原点に立ってじっくり旅というものを考え直すきっかけを与えてくれるような作品です。旅のバイブル本としてぜひ旅をする際はスーツケースに忍ばせていってください。
モロッコでたかのてるこが大ピンチ?!
『サハラ砂漠の王子さま』は、たかのてるこのモロッコ旅行の様子を綴ったエッセイです。本書の前半には「ヨーロッパ編」も収録。たかのてるこがヨーロッパを経てモロッコに入る様子も詳細に描かれています。
- 著者
- たかの てるこ
- 出版日
本書をめくるとまず始めに飛び込んでくるのが、今にも動き出しそうな生き生きとしたモロッコの人々の写真の数々。ある写真からは今にもモロッコの風が吹き出し、またある写真からはモロッコの熱い太陽の光が注ぎ出されるよう。たかのてるこのカメラに向けられるモロッコの人々の表情は、どれも実に明るく鮮やか。それを引き出せる作者の才能を感じることが出来ます。
本書で描かれているのは、モロッコ人と日本人の価値観の違い。「恋人はひとりまで」「浮気はいけない」といった日本人が道徳的に信じている価値観が、いかにモロッコ人のそれとかけ離れているかが面白おかしく描かれています。
たかのてること恋人であるモハメッドを「共有」しようとするアイシャ。「自分にも恋人がいるし、浮気は良くないよ」と頑なに拒む作者に彼女はこんな言葉をかけます。
「そんなの黙っておけばいいじゃない。誰だって胸の中にひとつやふたつ、人に言えない秘め事があるものよ。てるこ、バレない嘘は真実なのよ」(『サハラ砂漠の王子さま』より引用)
あまりに冷静に堂々と語るアイシャに「私の方がおかしいのか?」と混乱する作者。一体どのようにこのピンチを切り抜けたのでしょうか……?
日本の「常識」は時に世界の「非常識」であること。本書の大きなテーマになっています。そんな禅問答のようなことを言うアイシャの考えに作者はどう応えるのでしょうか?続きは本書でお楽しみください。