ロリータとヤンキーの女の子が繰り広げるギャグぶっちぎりの青春ストーリー『下妻物語―ヤンキーちゃんとロリータちゃん』の映画化によって世に知られるようになった、作家の嶽本野ばら。彼の作品に登場する人物たちは、性別問わず乙女でハードボイルド(固ゆで卵主義)。そして、繊細な言葉の糸で紡ぎあげられた数々の作品は、「へこたれない」強さへと導いてくれる《アリアドネの糸》のようです。今回は最も知られている『下妻物語』以外で、彼の根底にある「へこたれなさ」を感じさせる4冊(乙女でなくても必読!)をご紹介します。

この本で「へこたれなさ」を体現しているのは、「ミシン」の主人公である「私」です。アイドルの話や男のコの噂話なんかに講じるより、尾崎翠や森茉莉の文学作品、バッハのフーガやシューベルトの歌曲、中原淳一や高畠華宵の挿絵に胸を躍らせる「私」。吉屋信子の『花物語』に心奪われ、エスの関係になれる誰かと出逢うことを夢見る「私」は、ある日たまたまつけたテレビの音楽番組に出ていた死怒靡瀉酢(シドヴィシャス)のヴォーカリスト・ミシンに一目惚れします。そして、彼女の出ている雑誌や彼女の好きなブランドMILKを買い漁り、少しでもミシンに近づこうとしていきます。しかし、ファンとスターという関係性では、憧れのミシンとの距離は縮まらない。そこで「私」が決意したのは「執念の鬼」になることでした。
- 著者
- 嶽本 野ばら
- 出版日
各々が魅力的な「へこたれなさ」を描いているのですが、今回は(一度改装工事をしたものの)現存しているカフェーを舞台にした「素人仕事の贅沢」を紹介します。
- 著者
- 嶽本 野ばら
- 出版日
ひょんなことから学校でいじめられ、ひとりぼっちを選択せざるを得なかった「私(エミリー)」は、日本のファッションブランドEmily Temple cuteを身に纏ってラフォーレ原宿のエントランス前にある小さなスペースでしゃがみこみ続ける日々を過ごしていました。ある日、華奢な体躯にSUPER LOVERSを身に纏った「貴方」と知り合い、奇妙な関係を深めていきます。そして、「貴方」の壮絶な過去を知ったことで、2人の歯車は軋み合いつつもますます噛み合っていくようになり…。
- 著者
- 嶽本 野ばら
- 出版日
- 2005-05-20
この作品に関しては敢えてこれ以上何も書きません。読んでください。悲しみと幸せが隣り合わせであることを痛いほど気付かされる作品です。
- 著者
- 嶽本 野ばら
- 出版日
- 2006-07-14
私は彼の作品に触れるようになってもうすぐ12年目になろうとしています。彼の作品で、言葉の力で「狂」わされた読者の一人です。しかし、大麻所持(2007)・麻薬所持(2015)により懲役8月、執行猶予3年の有罪判決を受けることとなったように、彼自身は不自然に自らを狂わせる道具に手を染めてしまいました。どれだけ長年の読者とはいえ、私は彼の罪を肯定するつもりはありません。やはり許されるものではありませんからね。
そんななか、彼は先日ブログにこう綴っていました。
“自身を再生させる自信が充分ないままに、人に納得して貰える文章なぞ書けはしません。待っていて下さるでしょうか?どうか待っていて下さい。必ず、思った以上のものを携え、私はまた貴方の前に現れます。”(『嶽本野ばらです。ご迷惑ご心配おかけしました。』 http://amba.to/1IgUIUq )
彼自身の「へこたれなさ」を信じ、また《アリアドネの糸》のような文章を紡いでくれる日がやってくることを、いちファンとして切に願っております。
ひらめきを生む本
書店員をはじめ、さまざまな本好きのコンシェルジュに、「ひらめき」というお題で本を紹介していただきます。