「クラシック音楽」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。 大規模な管弦楽、しかめっ面をしたベートーヴェン、会得するのが難しそうな楽器…。これらの要素は言うまでもなく日本古来のものではありません。その一方、今や本にCD、テレビ等々、様々な手段で日常的にクラシック音楽へとアクセスできます。 しかし、これらの要素がいつどの様にして日本へ上陸し、現在に至るのかは意外と知られていません。そこで、今回は西洋の側からばかり見てしまいがちなクラシック音楽を、日本という視点から見ていくことにします。

著者名を見て、「おや?」と思われた人もいるかもしれません。著者は「ぞうさん」や「花の街」の作曲者である團伊玖磨です。なぜ作曲家の團が、日本の音楽史を語っているのか。自伝を読んでみると、実は幼少の頃の團は「歴史を専攻する事に決めていた」と言います(『青空の音を聞いた』17頁)。にも関わらず、どうして作曲家になろうとしたかはまた別の話。
- 著者
- 団 伊玖磨
- 出版日
冒頭に「しかめっ面をしたベートーヴェン」と申しました。この作曲家の名を聞けば、気難しそうな、何かを背負い込んだ様な人物像がイメージされるかと思います。
- 著者
- 西原 稔
- 出版日
教科書に落書きをする時、ザビエルと並んで最大の標的となる人物といえば山田耕筰ではないでしょうか。「赤とんぼ」「ペチカ」「待ちぼうけ」等の童謡の作曲者と、何より禿頭とで、「あぁ」と思い出す人もいるでしょう。
- 著者
- 後藤 暢子
- 出版日
- 2014-08-10
先程、山田耕筰が「戦争犯罪者」と言われ、論争になったという話を持ち出しました。誤解されそうなのですが、音楽は言葉を超え世界の人をつなぐとか、世界を平和にするとかいった話が見事に実践された例はごく稀です。
- 著者
- 戸ノ下 達也
- 出版日
- 2008-02-07
軍歌というのも何かと誤解を招きそうなテーマです。軍歌といえば戦争中に歌われる、お上から押し付けられたもので、現代とは何の関係も無い、過去の遺物だ、と考える人もおられるでしょう。その様な理解をあっさりと覆してくれるのが本書です。
- 著者
- 辻田 真佐憲
- 出版日
- 2014-07-30
「日本のクラシック音楽の歴史を知る」と銘打って5冊紹介して参りました。勿論本の紹介という意図が中心ですが、その歴史的特徴として、発展的に以下の三点を導くことも可能になるかと思います。
第一に、日本におけるクラシック音楽は長い歴史を持ち、その結果として完全に外来のものではなくなってきているということ。
第二に、《ぞうさん》の團伊玖磨や、《赤とんぼ》の山田耕筰。あるいは、ベートーヴェン像などは、一見すると縁遠そうに見えて、それでいて、存在自体も時代的にも決して私たちと縁遠い存在ではないということ。
第三に、戦争との関わりが深く、最近ではあまり顧みられなかった戦争と音楽家との関係の解明が進んできているということ。
そうこうしている内に、クラシック音楽と日本人との関わりにも何らかの変化が起こるかもしれません。「日本という視点から」見るということは、その時、クラシック音楽を自分たちの問題として考えるということです。
外国の楽器、外国の作曲家、外国の演奏家。それとはまた別のクラシック音楽との関わり方というものをお考え頂くきっかけになれたとすれば、これに優る幸せはありません。