アメリカがイラクに対して攻撃を仕掛けフセイン政権を倒し中東に勢力基盤を築いたのは割と新しい話ですが、そのきっかけは中東の揉め事にアメリカが参戦したことに始まります。今回は、1991年に起こった湾岸戦争について見ていきましょう。

湾岸戦争とは、1991年にイラク、クウェート、サウジアラビアといったペルシャ湾周辺の国家地域で起こったイラクのサダム・フセイン政権とアメリカを中心とした多国籍軍によって行われた戦争で、日本では1980年に同地域で起こったイラン・イラク戦争と区別する際に特に「湾岸戦争」と呼びます。
元々、いわゆる湾岸地域と呼ばれるイスラム諸国では東西冷戦以来ずっと戦争が続いていましたが、1980年に始まったイラン・イラク戦争はそれぞれの政権が支持する教派の違いと先進国への石油輸出の権利を巡ることによって起こりました。
1988年、一旦は国際連合の仲裁によって両国間に停戦が成立しましたが、両国の戦争による財政難は非常に深刻でした。そこでイラクのフセイン政権は石1990年に油を大量に保有しているクウェートに対して攻撃を仕掛け占領します。フセイン政権のこの行為は当然、国際社会から非難を浴びることになります。
国連安保理はイラクに対し期限までにクウェートから撤退することを要求しますが、イラクはこれを拒否。こうして1991年1月、アメリカを中心に非戦闘参加国を含む合計35ヵ国による多国籍軍がイラクなどに対して攻撃を開始。通称「砂漠の嵐作戦」と呼ばれる空爆が数週間に渡って行われました。
空爆が行われた後、戦局は「砂漠の剣作戦」と呼ばれる地上戦に移行します。空爆によって重要拠点が機能停止していたことで勝敗は明らか。戦争は数ヶ月でイラクの停戦合意、そしてクウェートからの撤退という形で終わります。
- 著者
- 河津 幸英
- 出版日
- 2011-07-12
絶賛されている本書の内容は、タイトルの戦車に限らず戦争の経緯や多国籍軍総司令官シュワルツコフの意見も非常に詳細に描かれています。出版当時の環境から主に多国籍軍側の記述が中心となっていますが、イラク側が陸戦において思わぬ善戦をしたことで多国籍軍を戦々恐々とさせたことについても外していません。
多国籍軍擁するM1A1と、イラク軍擁するT72のわずか2日間の陸戦は、最後まで勝敗の予想がつきませんでした。陸戦史における非常に重要なのは1ページを知るには必携の1冊です。
森住卓は米軍基地や環境問題を主に取り組んでいるジャーナリストですが、主要な作品はセミパラチンスクやコソボ自治区、そしてイラク、福島と戦争や原子力被害に苦しんでいる地域の実態を隠すことなく移しています。本書の内容は写真展にもなりました。
- 著者
- 森住 卓
- 出版日
上掲の「湾岸戦争大戦車戦」の作者、河津幸英のバックナンバーです。前掲書以前から現代戦争を長きに渡って研究している著者は、湾岸戦争の予算が日本の手によって捻出されたことを忘れてはならないとして日本の一般国民が戦争と生活をあまりに切り離して考えていることに警鐘を鳴らしています。
本書は2001年の段階でかなり調査が進んでおり高度な内容となっています。湾岸戦争を知るには、前掲書と合わせて読むべき一冊です。
本書の特徴は、「砂漠の嵐作戦」と言われ日本でも空爆の威力を思い知らせたあの航空兵器が、実は1991年段階で依然未熟で空爆が決して多国籍軍勝利の決定打ではなかったのがわかることです。湾岸戦争で重視されたのはIT革命というように、情報戦です。
- 著者
- 河津 幸英
- 出版日
いかがでしょうか。湾岸戦争は日本も関与した戦争です。国際社会で起こる戦争は今やどの国も決して無関係ではいられません。我々日本人は特に戦争というものにことのほか無縁であるために危機感が非常に薄く感じます。
湾岸戦争は屈辱の外交として知られていますが、果たして日本は本当にアメリカがいうような自分勝手な国なのでしょうか?現在も続く中東戦争の実態を知るために、我々は湾岸戦争を学ばなければなりません。その点で、今回紹介した3冊の本は非常におすすめです。