例えば人間関係
どこで、だれと、どんな風に生きるのかは、とても大事なことだと思う。一つの出会いやきっかけが人生を変えることはいくらでもある。ただ、その出会いや生き方ほど、自分の自由に出来ないものもないだろう。
学校、職場、あるいは家族。どこでだれと出会うかは全く想定できない。たとえば『椿荘101号室』(ウラモトユウコ、マッグガーデン)の主人公、春子もそう。同棲していた彼氏にフラレて、とにもかくにも飛び込んだ新居が、高層マンションの隙間にひっそりとたたずむ、二階建てのボロアパート、椿荘。
ここまで聞くとなんだかオシャレなシェアハウス生活や、あるいは管理人さんとの新しい恋、などを想像するが、そうはならない。そもそもこの春子、致命的に生活能力がないのである。どう考えても一人で生きていけない春子(もちろん本人に自覚はない)は、椿荘のメンバーにご飯(有料)を作ってもらったり、お風呂(これも有料)を貸してもらったりしながら、生活していくのである。
この春子が成長する……かどうかは連載にゆだねるとして、住む環境というのも、生活を左右する大きな要因だろう。
- 著者
- ウラモトユウコ
- 出版日
- 2014-05-14
あるいは住まい
では出会いを求めてアパートに引っ越し、というのも早急だ。すでにマイホームをもっていたり、仕事の都合で簡単に移れない場合もあるだろう。さまざまな理由で、好きな土地には簡単に住めない。
では、別荘はどうか。もちろんそんなお金はない。作るのである。『モバイルハウス 三万円で家をつくる』(坂口恭平、集英社)ではタイトル通り、三万円で三畳のモバイルハウスをつくり、都内の貸駐車場に“駐車”する。
実際に生活もするし、出前も頼めば、郵便も送る。モバイルハウスを制作する工程も書いてあるので、自分でも出来る気がしてくる、というか同じようにすれば出来てしまうのである。
- 著者
- 坂口 恭平
- 出版日
- 2013-08-21
ならば家具
しかし、いきなり住む、というのもハードルが高いかもしれない。では、家具ではどうか。本棚である。『清く正しい本棚の作り方』((TT)戸田プロダクション、スタジオタッククリエイティブ)は、ただ誠実に本棚を作る本だ。本のある素敵な生活とか、空間作りという側面は薄く、ただただ無骨に一つの本棚を作る。
DIYの“雰囲気”を感じるビジュアル本ではなく、本気で作る。ガチな指南書だ。この本なら間違いなく作れる。家と家具が作れれば、なにものにも縛られない。生活も思いのままである。
- 著者
- (TT)戸田プロダクション
- 出版日
- 2009-11-28