手塚治虫の、まさに代表作!『火の鳥』より「ロビタ」
手塚治虫の作品でロボットといえば「鉄腕アトム」を思い浮かべる方が多いのではないかと思います。ですが、今回ご紹介するキャラは「アトム」ではありません。「火の鳥」に出てくる「ロビタ」です。
炎を纏う高い知能を持つ鳥、「火の鳥」。そんな「火の鳥」の血を飲めば不老不死になれるという言い伝えを信じる人々が、それを手に入れる為に現在過去未来、時代や国境を越えて争いを繰り返します。
「ロビタ」が登場するのは、未来の世界を描いた「復活編」「羽衣編」です。
人間たちは不老不死を望み、その為に過ちを犯し滅びていきますが、不老不死の「ロビタ」は違います。ずんぐりとした少しレトロな旧式ロボット「ロビタ」は、人の傍で仕事についていました。そんなロビタ達が一斉に仕事を放棄し溶解炉に飛び込んで自殺するという事件が起きます。
ロビタの予想外の反逆に人々は驚きます。なぜ、感情のないはずのロボットが集団自殺の様なことをするのでしょうか。
- 著者
- 手塚 治虫
- 出版日
「復活編」で、そんなロビタの出生の秘密がでてきます。事故により脳の認識に問題がでてしまい、無機質と有機質が反対に見えるようになってしまった少年レオナ。彼にとっては石が生き物に思え、犬が岩のように見えてしまうのです。
そんな彼が恋をした相手は、ロボット「チヒロ」。やがてレオナとチヒロは結ばれ、その二人の集合体が、ロビタなのです。つまりロビタは、ロボットでありながら、人間の心も持ち合わせているのでした。
そんな過去を背負ったまま、ロビタは懸命に人に仕えていました。しかし、とうとう限界が来てしまいます。ロビタは人を殺してしまうのです。そしてこう言います。
「ワタシハ人間ダ!ダカラ人間ナミニ殺人罪が適用サレルハズデス。」
ロビタは、人として裁かれることを切望します。
ですが、彼は人として裁かれるではなく、ロボットとして破棄を言い渡されてしまうのです。
冷酷無比の美しい連続殺人犯『MW(ムウ)』より「結城美知夫」
「MW・ムウ」の舞台は沖ノ島真舟島、離島。国家が隠す毒ガス事故。その事件でたった二人生き残ったのが、容姿端麗、頭脳明晰、エリート銀行員であり、連続殺人犯の「結城美知夫」と、結城の罪を知りながら弱みを握られ共犯となる神父、「賀来裕太郎」です。
結城の目的は、あの事故の原因になった殺人兵器、毒ガス、MWを手に入れること。
事故により負った脳の損傷により良心を失った結城は、得意の変装と魅力的な容姿を最大限に生かして事故の年齢性別を問わす関係者達を誘惑し色仕掛けで支配していきます。結城の悪魔的魅力に流されていく人々。
- 著者
- 手塚 治虫
- 出版日
賀楽の教会に救いを求め通う一人の女性「谷口澄子」は、賀来に密かに思いを寄せていましたが、結城は彼女をもレイプにより支配するようになります。
それを知った賀来は結城を殺害しようといますが失敗し、ますます逃げられない関係へと落ちていきます。
ベッドの中で結城が賀来に言います。
「でもあんたは優しかった。」「ぼくは他人とからだを触れ合ったのはあれが生まれて初めてだった。」
少女の様に可愛らしく大人しい少年の結城。その結城を最初に犯したのが賀来だったのです。
そして、MWを手に入れハイジャックした機内の中で、結城はMWの入った袋を人質の子どもに渡してこう言います。
「大人よりずっと安全だよ。子どもは意外と約束を守るからね。」
結城の魅力は美しい容姿と悪魔的思考回路だけなのでしょうか。
純真無垢な美少女「奇子」
舞台は東北の大地主である旧家。美少女「天外奇子」は、幼くして土偶に閉じ込められます。土偶の中で少しずつ大人になる奇子。
美しく成長した奇子に魅せられた男が寄子をもてあそび、閉鎖された世界で知的な刺激を受けることがなく成長した奇子は、無邪気な少女のまま貞操観念の薄い欲望に忠実な女性へと成長していきます。
- 著者
- 手塚 治虫
- 出版日
- 2010-11-12
そして時は経ち、寄子が閉じ込められていた土偶が取り壊しを避けられない事態になります。奇子の出生の秘密を知る「天下仁朗」は、密かに奇子の身を案じていました。
奇子は、仁郎の父が仁朗の兄の嫁に産ませた子どもでした。土偶の外に出たことのない寄子にとって外の世界は恐ろしいものでしかありません。土偶の中で歪んだ性を学んだ奇子は仁朗にも裸でセックスを誘惑します。
叱りつける仁朗に奇子は恥じるわけでも怒りを表すわけでもなく、親に拒絶された愛に飢えた子どものように泣きじゃくります。ただ好意を持った異性にはこうするもの、寄子にとってそれは無邪気な愛情表現でした。
奇子に普通の暮らしをさせたいと仁朗はできる限りのことをしようと決意します。
ただ、これはやはり手塚治虫の作品です。「奇子」は、旧家の人間関係のおどろおどろしい話で終わるではなく、朝鮮戦争に絡み、GHQの工作員として追われる身となり穏やかな生活を失った「天外仁郎」をキーパーソンに物語は外の世界へ繋がって行きます。
知るということの大切さと知ることの怖さを同時に考えさせてくれる作品です。
『奇子』については<『奇子』5分でわかる怪しい4つの魅力!手塚治虫のトラウマ級エロホラー【ネタバレあり】>の記事で詳しく紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。