2016リオオリンピック・パラリンピックに盛り上がった今年の夏。観戦しているうちに、道具を駆使した競技を行う選手の身体が、道具と身体が融合しているような錯覚に陥りました。そして、アメリカの学者ダナ・ハラウェイが1991年に『サイボーグ宣言』という論文において、「すでに現代人はキメラ(=サイボーグ)になってしまった」という命題をふと思い出しました。選手たちだけではなく、我々ももはや機械と生体のハイブリット(例えばスマホの使用)となっている今、改めて「身体」について考えてみる本を3冊ご紹介します。

20世紀の美術作品に焦点を当てた本書は、その時代の作品から「(人間)身体への違和感」という共通項を見出し、全12章に渡って一つずつ丁寧に論じられています。前述したセンセーショナルなアオリから想像する期待を裏切ることのない内容となっています。
- 著者
- 伊藤 俊治
- 出版日
次に、美術だけではなく、幅広い分野から未来の身体を考えてみましょう。本書は、20世紀も終わりに近づいた1998年に出版されたものです。「歴史と進化」「異種発生」「変態する主体」「モードの複雑系」「日本の身体を綴じ直す」の全5部構成となっており、21世紀になった今でも非常に興味をそそる論がまとめられています。こちらでは、身体がどのように眼差されてきたのか、そしてどのような変化が起こっているのかについて各領域から見た「身体」について知ることができます。
- 著者
- 巽 孝之 (監修)
- 出版日
『新世紀エヴァンゲリオン』の「人類補完計画」を意識して付けられた本書は、イントロダクションのところでも紹介したダナ・ハラウェイの「サイボーグ宣言」について触れたのち、義手や義足といった人工装具、生体摘出手術や臓器移植、人工臓器といった身体を補完する科学的試みの系譜が20世紀を通じて繰り返されてきたことを指摘し、そこからみえる「サイボーグ表象」について論じています。
- 著者
- 原 克
- 出版日
- 2010-08-20
今回は少々専門的な書籍の紹介となってしまいましたが、どれも図像が多いので比較的触れやすいかと思います。とりわけSF好きな方や読書の秋にSF小説を読もうとしている方は、1冊でも触れておくとより楽しめるかもしれません。お試しあれ!