先日、部屋の掃除をしている時に幼少期の写真が収められたアルバムが大量に出てきました。そこに写っている人物(自分も含む)に対して、「わぁ、かわいい!」と思わずひとりごちたのですが、その瞬間「ん? なんで『かわいい』って思ったんだ?」という疑問が浮かびました。今回は、いまや世界でも通用するようになった「かわいい」について、改めて考えるための本を3冊ご紹介します。

なぜ澁澤氏は「少女」と「コレクション」を結びつけたのでしょうか。それは「コレクションに対する情熱とは、いわば物体(オブジェ)に対する嗜好であろう。(中略)物体愛こそ、ほとんどエロティックな情熱に似た、私たちの蒐集癖の心理学的な基盤をなすもの」(11ページ)であり、「(中略)少女は一般に社会的にも性的にも無知であり、無垢であり、小鳥や犬のように、主体的には語り出さない純粋客体、玩具物的な存在をシンボライズしている」(13ページ)からだそうです。
- 著者
- 澁澤 龍彦
- 出版日
- 1985-03-10
飯沢氏自身も少女が写されている古写真を集めており、そんなコレクションとともに、なにがそこまで惹きつけられるのかについて紹介している本です。古写真の魅力として飯沢氏が見出したものは、「漂いつつ、不機嫌で、手に負えず、小さくて、脱皮し続け、互いに似ている―そんな引き裂かれ、混乱した『少女』のイメージを捕獲し、固定するのに最もふさわしい手段が写真であることは、いうまでもない」(14ページ)だそうです。
- 著者
- 飯沢耕太郎
- 出版日
- 2001-12-13
この本は、アニメ(キャラクター)/小説/雑誌などのさまざまなメディアを通して「かわいい」とは一体なんなのかについて書かれた、非常に見通しが利いたものです。先ほどの項目の終わりに、「小ささ(異形)」について触れましたが、この本では「きもかわ」という単語を切り口にして不グロテスクなものとかわいいものの接合点について考察をしています。実は、今まで紹介した2冊にもこの「異形」について触れられています。数々のキャラクターは往々にして人間と比べて縮尺が異なっていたり、何かが過剰/欠損していたりします。それを「かわいい」と思うのは一体なぜなのでしょうか。…それは実際に本を読んでみて皆さん自身で感じ取ってみてください。
- 著者
- 四方田 犬彦
- 出版日
「ここまで紹介しておいて結局宙ぶらりんかよ!」と突っ込まれてしまうかもしれませんが、今回紹介している順に読み進めていくと、私がピックアップしたキーワード以外にもたくさんの要素を見出すことができます。つまり、「かわいい」についてどう考えるのかの結論は、経由するものや嗜好によって十人十色だということです。ぜひ皆さんなりの結論を導き出してみてください。
今回は今までと趣向を変えて本を紹介してみました。何かひとつのことを考えるさいに、どんなものを経由して自分なりの結論に至るのか、そんな思考のネットワークを私なりに体現してみました。ちなみに、私の結論は「未熟で、小さくて、少しグロテスクで、手に入れられそうで入れられないもの」です。皆さんはどうでしたか?